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きっかけ

もう…いやようやく高校生活にも慣れた。


「おはよ、颯太そうた


「よっ、まさる。 遅刻ぎりぎりだぞ」


「ほんとだ、アブね~」


「ほらショートホームルーム始めるぞ、藤井座れ」


「はいはーい」


 今返事したのが俺の中学からの親友で藤井将ふじいまさる


「ちっ、池田いけだのやつ。 あとでな颯太」


 担任の池田に文句を言いつつ自分の席に座った。


「じゃぁ連絡するぞー、今日の午後のホームルームで野外活動の班とペア決めるから各自事前に相談しておくように」


 その連絡に教室はざわつくが担任の池田は無視して諸連絡を済ませていく。


 確かにもう入学して二週間、友達関係もそこそこは固まってきた時期ではある…がそれは同性間での話。


 高校一年、高校デビューや友好関係が新しくなるかもしれないこの時期において班を決めることは戦争だ。


「ねぇ颯太君、班組まなない?」


「いいね~、つかさ


 この高校に入ってから仲良くなった前の席の男、村田司むらたつかさ


 あとから知ったが遠くから一人入学し、廊下で困っていた司に話かけたのが出会いだ。


「おいおい、颯太、司。 俺も入れてくれよ」


「もちろん」


 池田が教室をでる時に「班は大体一班六、七人男女半分づつで六班になるように組むように」と言っていたので男子の三人でもとりあえず構わないだろう。


 クラスが四十人でピッタリ割り切れないのに六班にするのは飯盒炊爨の関係かな?


「あとペアは二人で組みなよ」


 俺と将は中学からの友達、そして司との付き合いは二週間ほど。


 そのことを気にして身を引こうとしている…と思う。


「なんだよ、もう友達なんだから俺ら三人でじゃんけんして負けた奴でいいんじゃね?」


「それでいこう!」


 さわやかイケメンの司が身を引こうとする。


 それに対しスポーツマンで暑苦しい感じの将は周りを巻き込んでいこうとする。


 どっちの対応も相手のことを考えたいい対応だと思う…けどダメだ、もう友達だし。


「そう? そういってもらえると嬉しいよ」


「おっけ、じゃぁジャンケンするか!」


「よし、いくぞ~」


「「「じゃんけん! ポン!」」」



 予感は嫌な時ほどあたる。


 これあれだ、入学早々一人になるのはいやだったからみんな積極的に班やペアを組んだ。


「ほら、余ってるやつ手をあげろー」


「はーい…」


 だからジャンケンに負けた俺はそのまま余ったらしい。


 てか池田のやつ、つつみ隠さず言いやがった、普通に傷つく。


「颯太君ごめんね」


「司、勝負だから、悪いな。 な?」


 ニヤニヤと煽るような顔をしている。


「くーー、まぁ班の時ぐらい仲良くしろよ」


「おうよ」


 司は笑っているが俺はどうなるのだろうか。


「お、あとペアが組めていないのは柏木(俺)と稲葉か」


 俺の相手はと周りを探す……女子だ。


 あぁ、稲葉さんという端っこに座っている彼女はこの二週間で話しているところを見たことがない。


 つまりそいうことだろう。


「柏木、稲葉、お前らペアでいいか?」


「はい、大丈夫ですけど…稲葉さん?は俺とでも問題ないかな?」


 別にコミュ障でもない俺が話しかけると声は出さず俯いたまま、コクコクとうなずいていた。


 俺は早く決めて次の話に行きたいのにごねる程子供でもない。


 でもさすがに稲葉さんに断られていたら傷ついていただろう。


「じゃぁ、あとは委員長、任せる」


 陽気な感じの池田だが少しめんどくさがりなところがあるとこの二週間でわかった。


「颯太、女子と二人でよかったな」


「おいおい、やめろって、それで怖がられたらどうしてくれるんだよ…」


「悪い悪い、そう怒るなって」


 将は笑いながら言っているが普通に話していて心で警戒されているとか、立ち直れないかもしれない。


「はーい、静かにー。それじゃ班の男女の組み合わせ決めていくから」


 男女で数字が書かれたくじを代表が引き、同じ数字の異性のグループと組む決め方。


「よし、俺の実力見せるわ」


「はいはい、任せた」


「頼むよ」


 俺も失礼だとは思うが別に気がなくても可愛い子と班を組みたいのが男心。


 自信満々の将が引いたくじは五班、委員長のところの班と合わせて六人の班になった。


 ちなみに委員長はクラス内カーストで自然と決まった。


 だから必然的に委員長の班はレベルが高い。


「見たか、二人とも」


「流石、将君」


 司は持ち上げてるけどあんまり興味がなさそうだ、やっぱ彼女とかいるんだろうなー、イケメンだし。


「にひー」


 将は周りの男子の羨ましそうにこっちを見ている視線に優越感?を感じているようで、満足そうな顔をしている。


「あと班がどことかわからない人いる?」


 あと何気に一人でこの場をまとめている委員長はすごい。


 黒板を書いてくれている人もいるが話しているのは委員長の一人だ。


 普段から周りの目を集める容姿をしているのがこんなところで生きているのかもしれない。


「それじゃあとはペアの人と何処を回るか決めてくれる?


今から回す紙に書いて、提出ね」


「じゃぁ、一緒のルートにしよーぜ」


 と何処からかお約束のずるをしようとする声が聞こえた。


「ふふ、やっぱり。


全くルートが一緒とか、かぶっていると変更されるらしいわ、気を付けてね?」


 予想していたらしい委員長の笑顔に目を奪われていしまった男が数人。


 それにしても、そういった抜け道的な行為は先生達も想定済みなんだろう。


 ペアでは舗装された山や草原で採取やスタンプラリーを集めるというものだし、三時間とかそこらだろう。


 多少将と司と組めないのは悔やまれるが我慢…流石に稲葉さんに失礼か。


「他に質問ない?


私もなにも知らされてないから紙を読むか先生に聞くことになるけど」


 クラスは意外に静かだ。男子が委員長の前でうるさくできないのか、まだ遠慮しているのかスムーズだ。


「はい、それじゃペアの人と二人で相談して、紙に記入してね」


 委員長の一言で班で固まっていたのがペアごとに分かれる。


「それじゃ二人ともあとで」


 二人に一言告げ、俺のペアの稲葉さんのところに移動する。


 稲葉さんは教室の端っこでうつむいたまま固まっていた。


「あ、えと稲葉さんでいい?」


「!」コクッ


 無視じゃなくてよかった。


「ごめんびっくりさせて」


「…」


 ふるふると少し顔を下に向けて首を振っている。


「「……」」


 気まずい、俺が何か積極的に話したほうがいいか。


「それじゃルートだけど希望とかある?」


「…」ふるふる


「俺が適当に決めちゃってもいい?」


「…」コクッ


 言わせた感じではあるがある程度勝手に決めてしまう。


 真ん中に宿舎があってそれを囲うようにチェックポイントがある。


 確かにこれだけあればほかのペアと被らないだろう。


 だからと言って他のクラスの人もいること考えると迷子にはならなそうだ。


「広いな」


「…」コクコク


 現在クラスは配られた地図やルート、予定表を見てペアや周辺で盛り上がっていてうるさい。


 俺は将と司から離れた教室の端っこにいるので二人で声が聞こえるよう近づいて話をしている。


 つまり教室の机の一つを二人で使える距離にいる。


 遠目でもわかっていたが彼女は高校生とは思えない”質量”のあるものを持っている。


 なのに制服のブレザーはしっかりとくびれていて足もむっちりしている。


 …それに近くでみてやっとわかるが髪にアニメで見るような天使の輪があって綺麗だ。


 それをロングで降ろしていてやや顔が隠れて…やめよう。


「んーこんな感じでどうかな?」


 邪念を払うため無心で効率的なルートを考える。


「……」ぺこっ


 覗き込むように確認したあと深くうなずいてくれた。


 声をだすのは苦手なようだけど、しっかり反応してくれるだけで十分としよう。


 まぁ、散々褒めたが口には出さないし、あんまりリアルは興味ない、だから安心してほしい。


……俺は誰に言い訳してるんだろうか。


「じゃぁこれ出してくるから」


「!」ペコッ


 一瞬驚いたような反応の後、お礼を言うようにお辞儀された。


 少しずつ分かって来たかもしれない。


読んでくださりありがとうございます(*- -)(*_ _)ペコリ

稲葉さんの秘密が気になるーという方(題名にある)是非感想、レビュー、応援よろしくお願いします!!

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