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僕の好きな事とみんなの好きな事は違うみたい

作者: 混沌猫

僕はクマ。緑の森で暮らしてる。


森には色々な動物がいて、学校で一緒に勉強してる。

勉強が終わると一緒に遊ぶんだけど、最近なんでかモヤモヤしてる。


僕の仲間のクマ達は草むらから飛び出してワッと驚かせたり、

体をバンバン叩いてコミュニケーションを取るのが大好きだ。


そんな調子で他の動物たちとも遊ぶけど、

みんなはワッやバンバンするのがあまり楽しくないみたい。


この前もサルの反応が悪いからバンバンを繰り返したら、

イタイ、イタイと泣き出しちゃった。


他のみんなも悲しい顔をして離れていくし、

どうしてだろう?


僕はみんなを少し観察してみることにした。


給食の時間、リスが笑顔でドングリを食べている。

僕もドングリが大好きだ。おなかがいっぱいになるとほっこりする。


そうだ、ドングリをいっぱいあげたらいいんだ!


僕は近くの席のウサギにお皿いっぱいのドングリを渡してあげた。

「ねえ食べて。おなかいっぱいになれば笑顔になるよ!」


でもウサギは悲しい顔をする。

「こんなにいっぱい食べられないわ。それに私、ドングリは苦手なの」


僕がせっかく大好きなドングリをあげたのに、断るなんてウサギは悪い奴だ。

僕は両手を挙げて恐い顔をする。


さっと間にイヌが入ってきた。

「ウサギを虐めちゃダメだよ!」

虐めてるつもりはなかったのに・・・

他のみんなも怒ってる。


「ごめんなさい」

とりあえず謝ったものの、僕はモヤモヤしたまま椅子に座った。

おかしいな、どうしてこうなっちゃったんだろう?


放課後、僕はイヌに聞いてみた。

「僕、ウサギを虐めるつもりはなかったんだ。でも、どうしてあんなことになっちゃったんだろう?」


「それはみんなの好きな物と嫌いな物が違うからだよ」

「え、そうなんだ」


「リスはクマといっしょでドングリが好きだけどたくさん食べられないし、ウサギはニンジン、サルはバナナが好きなんだよ」

知らなかった。


「あと、クマは体が強いからバンバンしても平気みたいだけど、そうじゃない子もいるんだよ」

イヌは僕のワッやバンバンにある程度つきあってくれるが、

確かにイヌが他の友達にワッやバンバンをしているのは殆ど見たことがない。


「おしえてくれてありがとう」

僕はうれしくなってイヌをバンバンしようと思ったけど、思いとどまった。

イヌはいつもバンバンに付き合ってくれるけど、少し痛そうだったから。


次の日の給食で、僕はリスにドングリ、ウサギにニンジン、サルにバナナを分けてあげた。

サルは少しもの足らなさそうだったけど、みんな笑顔になった。


僕もなんだかほっこりして胸がいっぱいになった。

きっとこれは僕が探していた答えなんだと思う。


僕が好きなことをみんなも好きとは限らない。

僕の好きを押しつけると、嫌がる子もいるんだ。


探してみよう。みんなの好きを。


とりあえず、昨日はイヌの好きなものを聞きそびれちゃった。

今、イヌはとっても笑顔だし、どうしてか聞いてみよう。

みんなが笑顔になれますように。

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― 新着の感想 ―
[一言] 自分の好きと相手の好きが違うことを学んだクマ君。 みんなと仲良くなりたくて、みんなの「好き」を知ろうと努力できる彼なら、みんなに幸せをもたらすスーパークマ君になれそうですね。 クマ君頑張れ~…
[一言] 優しい気持ちになれる素敵なお話ですね。 思いやりは大事。
2021/01/01 17:08 退会済み
管理
[一言] 自分の好きなものを、相手も好きかわからない。 自分が嫌いなものを、相手は好きかもしれない。 当たり前のことなんですけれど、そのことを考えて行動することは、大人も子どもも難しい。相手の気持ち…
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