ののんののんの
ひたすら前へと進むのののんの、その先に答えはあるのか?
ののんののんのと、その人は言うのだ、いや……その女児は、ののんののんのと言って楽しんでいるのだ。
世の中が荒れ狂っていても、ののんののんのと……楽しそうにしているのだ。
見ている人も何処か心を痛めてる人も、その女児の、ののんののんのという呪文で、癒されているのだ。
ただ一人の、罪人を除いては……
それはいつもより空が低く、いつ雨が降ってもおかしくない気候であった
その時、遠くの方から、ののんののんのと言いつつ歩いてくる女児の姿がある
ののんののんの、のののんの
ののんののんの、のののんのと……
彼女はののんののんの、のののんの
ただそう口ずさむだけだ。
初めて見る人によっては、狂ってるのではないか?頭が壊れてるのでは?
と思うだろうが、彼女は皆の笑顔を見れればそれでいいと思って、ののんののんの、のののんの、と蛇紋を言いながら街から街へと歩いているのだ……ただただ一人で、ののんののんの、のののんのと……
そんな彼女は、とある刑務者までやってきたのだ
「こらこら、子供がこんなところに来てはならないよ、帰った帰った‼︎」
門番の人がそういうと、その女児は
「刑務者の人を笑顔にしたいの‼︎のののんの‼︎」
「お前……隣町で呪文を唱えながら歩いてる女児か……だが、入れるわけにはいかないぞ、許可が必要だからな……」
「のののんの‼︎入れて欲しいの‼︎のののんの‼︎」
「そんなこと言っても入れはしないぞ、子供が一人でに危ないではないか、家に送り返してやるからちょっと待ってなさい……」
と言いつつその子はその門番の後ろについてきて
「待ってなさいと言ったじゃないか、もう……始末書どうしようかな……」
「待てと言って待てる人はいないよ‼︎のののんの‼︎」
「のののんののんのって……聞いてるこっちが参ちゃうなぁ……」
すると、門番に近寄ってくる人影が
「ん?あぁ、お疲れ様です‼︎先輩‼︎」
「よせよせ、交代の時間だぞ?うむ?その少女は?」
「あぁ、この子ですよね、街で噂の呪文を言いふらして歩いてる女児ですよ」
「のののんの‼︎よろしくのんの‼︎」
「うむ、元気でよろしい……それでどうするんだ?」
「家に送り返そうかと……」
「まぁ、それが手っ取り早いが……お嬢さんは何がしたい?」
「のののんの、刑務所の人を笑顔にしたい‼︎」
「笑顔とはまた……しかし、妻他人が笑顔になるかどうかだな……局長に電話繋げられるか?噂の少女が来てるとな?」
「えぇ……分かりましたよ」
気難しい顔をしつつ、門番は局長に電話を入れて
「局長が自らおいでになさるらしい……何故なんだ?」
「俺らには分からない未知の力が、この子にはあるんだよ……しらんけどな」
「しらんのかい……」
そうツッコミをしていると
「局長……」
「待たせたね……それで、この娘が噂の?」
「のののんのなの‼︎よろしくなの‼︎」
「うむ、元気が良いのう、怖い人たちがいるけど、それでも中に入るかい?」
とのことである。流石に門番も、引いてしまったようだ
(局長の心を動かすほどの力ってなんなんだよ……)
そう思いつつも、刑務所の中に入って、巡回する局長の後ろに、のののんのがついて行く
「しーんとして、とても静かですね……」
「これも訓練のうちなんだよ、罪は償う物だからね……なんであろうと……」
と言いつつ、少女はとある牢屋の前までやって来た
「さて、のののんのくんかな……この人を笑顔にできるかい?多くの人を殺めてしまって……280年の終刊を命じられたこの人を?」
その中の罪人は、こちらを睨み付けていた
「あぁ……小娘がなんのようだ?殺されに来たのか?手錠や鎖が付けられようが、俺はやる時は殺るぜ……?」
との事である。
「そんな怖いこと言っても、のののんの、負けないよ」
「怖いか……そんなこと言って、ションベンちびるんじゃねーよ?」
「怖くなんてないよ、のののんの‼︎」
「のののんのってなんだよ……おい、オッサン……説明してくれよ、これなんなんだよ?」
局長は笑顔でニンマリしているだけだった
(こんなの狂気だろ……)
終刊されている牢屋の人物はそう思った
「笑わせるつもりなんだろ?え?」
「違うよ、笑顔にしたいだけ」
「笑顔ぉだぁ?はぁ、くだらん、そんなもん、とっくに捨てたよ……って、お前……なんで手を取って……」
「おじさんの手……長い間、工場で色々な物を作ってきた手だよね……」
「……なんで分かるんだよ……」
「何を犯したのかは見当が付かないけど……ずっと頑張って来たんだよね…認められたくて……人一倍……ずっと」
「だから、それがなん……」
すると、のののんのは、頭を撫でて
「よく頑張って来たんだよね……おじさんは……私はそれを認めるよ……」
すると、抱きついて……
「何を……おい……」
「ずっと、頑張ったんだもんね……」
背中を摩りながら……
「お前……そんなにされたら……その……恥ずかしいじゃねーか……」
「おじさんが嫌がるまで、のののんの、離さないよ……」
「あー……面倒臭いな……うーん……」
するも、罪人は
「俺の負けだよ、お嬢ちゃん……完敗だ……」
「負けもないと思うけども……」
「いや、お嬢ちゃんが一枚上手だよ……何もかも見透かされた気分だ……心地が悪い……しかしだ……なんだか、スッキリした気分だぜ……そのな、ありがたやな、のののんの……」
すると、女児はうんと大きくいうと、その場所から出て
「辛いだろうけども、頑張って」
と、小さく手を振った
「お、おう……」
その人は笑顔でそう答えたのだ……
それから局長についていって
「お前さん凄いな……あんな奴を笑顔にするなんてな……」
「のののんの、凄くないよ……笑顔になってもらいたいだけなの……それだけなの……」
そう言いつつ、その場を後にして、刑務所から出ると、また次の街へと向かっていったのだ。
のののんののんの、のののんの
のののんののんの、のののんの
彼女は今日も行く、遠くの街へと、のののんののんの……
読んでいただきありがとうございました。
これからも精進して、作品を描き続けて行きます‼︎