1.チートを授かる
主にスキルの説明パートになります
突然光に飲み込まれた俺だが目を開けるとそこはさっきの部屋ではなかった。
先程の薄暗い部屋ではなく真っ白で果てのない空間、しっかりと立ててはいるがハッキリと床というものは無く浮遊感を感じる。
「今度はなんなんだよ」
後になって思えばこの時の俺は体力の限界が近かったこともあってこの異常な事態に慌てない...というか若干自棄になっていたのではないかと思う
『ようこそ、少年よ』
「誰だ!」
この訳のわからない状況で初めて聞く人の声、俺は声の主を探そうと辺りを見渡すが周りには誰もいない。
『探しても見えはせんよ。我はこの空間、そして少年が先程までいたダンジョンを創りそして管理する者の1人である。』
ダンジョン?あれか、神話に出てくるラビリンス的な?
もしくは最近流行りのラノベ的なやつだろうか
どちらにせよそんなものを創れるのだからこの声の主は人間ではないだろう、神かもしくはそれに近い何か
それにしても...
「ダンジョン?どういうことだ、ここは一体なんなんだ。そもそも何で俺はここにいる」
そう、俺は突然ここに連れてこられたのだ、まだ現状の殆どを理解出来ていない
『ダンジョンを知らんのか?なるほど、どこまで話すか。あまり話し過ぎては面白くないからな』
その声はまるで楽しむかのように呟く
『まずダンジョンについては自分で調べるがいい、どうせ直ぐに知る事になる。』
随分といい加減だな
『次にここがどこかだな、ここは簡単に言うならボーナスルームだな。ある特殊な条件が揃わないとここには辿り着けん...』
今自分がいるのは俗にボーナスルームだそうだ。
まとめるとここに来るには特殊な条件があってそもそも俺の飛び込んだ横穴自体があそこら一帯の魔物、つまりはミノタウロスよりも強い人間がいると出現しない物らしい、
つまりここには自ら死地に飛び込むような変態かもしくは俺のように何らかの理由で放り出された奴でないとたどり着けないのだ。
あの横穴に飛び込むのもかなりギリギリだったし運が良かったとしか言い様がない
で、ボーナスルームと言うくらいだからボーナスが貰えるのだろうが
『ボーナスについては完全ランダムだ、と言うよりボーナスの素を与えそれがその個人によって無限に変化する。これは持ち主の心の奥底によって左右されるからな、つまり与えられる前から何が出るかは決まっておるという訳だ』
ということらしい、他にも話を聞く限り最近流行りの異世界というやつにかなり近い展開だ。
それにこの状況的にほぼ100%ここは地球では無い
この予想はもうしばらくあとに現実となるのだがこの時の俺ではそれを知りようもない
そうなると問題が貰えるものが武器や道具のような実体のあるものなのか、
もしくは所謂”チート”と呼ばれるような異能系なのか
まぁこれは少なくとも現状を打開出来るものならどちらでもいいのであまり問題でもないか、
「じゃあそのボーナスの素とやらを早くくれ」
突然訳の分からない所に連れてこられたこのクソみたいな状況であったがやはり俺も年頃の男子であったらしく自分専用の力が貰えると聞いて少なからず浮き足立っていたのだろう。
『まぁそう急くな』
この時、異世界からやってきた俺のために声の主は何か追加で与えようと考えてくれているのだが俺にはその間がやけに焦れったく感じた。
『待たせた、この力は言わばお前自身、使いこなしてみろ』
同時に俺は身体の中心から温かいものを感じた。
そして俺は無意識に、まるで最初から知っていたかのように”ステータス”と呟いた。
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名前:カエデ
ランク:0
Lv1
性別:男
年齢:15
状態:疲労 空腹
種族:人間
体力:E
筋力:E
魔力:E
敏捷:E
スキル
剣鬼 火魔法 風魔法 生活魔法 起死回生 超回復
夜目 習熟 運命共同体
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(おぉー!)
マジでステータスが出てきたぞ
それにしても何で俺はステータスって呟いたんだ?
『それらとは別にこの世の理についての知識も授けた、文化はここ数千年外を見ておらんから分からん。あとは自分で何とかするといい』
なるほど、つまり文化に関する事以外の常識を教わった訳だな
ステータスもそのうちの1つというわけか
太陽がどっちから昇るとか季節とかそんな感じのことだ。これらは地球、ひいては日本と変わらない
予想外だったのが暦だ、これも分かると思ったんだが分からなかった。
確かに向こうでも太陽暦以外にもなんか色々あった時代もあったし暦ってのも文化になるんだな。
俺は18歳のはずだったが...何故15歳になっているんだろうか、まぁ、それはいい。
まずはスキルだ。正直これに関してはさっきから好奇心が抑えられない
まずは剣鬼、これは型にハマらない最も自分に適した剣の振り方が分かる。
更に剣にのめり込めばのめり込む程その精度が上がるというまぁ、なんだ、廃人向けスキルだった
次に火魔法、これは単純に炎を扱う魔法という訳ではなく熱を扱う魔法らしい、つまり火魔法とは言っているが氷魔法も使えるという事だ。
そして風魔法、これは普通にイメージ通りの風魔法だ、ただ風魔法を極めれば雷魔法が使えるようになるらしい。これは是非とも極めたい
で、生活魔法、これは体の汚れを落としたり火種を出したり小さな明かりを付けたりする言わば便利魔法だ
そしていかにもな起死回生、これはギリギリの戦いをすればする程ステータスを上げるスキルだ、しかも実戦で命が掛かった戦いでなければならないらしく俺も無闇に命を危険に晒したくはないので使うかどうか微妙なスキルだ
そして名前からしてチートな超回復、これはスタミナと魔力の回復が速まり傷の治りも早くなるものだ、具体的にはスタミナと魔力が4倍、傷は2倍らしい
夜目、なんかいかにも普通なこのスキル、実際暗い所でも目が見えるようになるという普通のスキルなのだが面白いのはここからだ。
なんとこの夜目スキル、この世界の人間は漏れることなく全員がこのスキルを持って産まれてくるらしい
これはどうも今俺のいるダンジョンと関係があるらしいとさっき貰った知識の中にあった
あと二つ、次は習熟だがこれはなんと才能の壁をぶち壊してくれる夢のようなスキルだった。例えば新しいスキルを覚えたい時、既存のスキルを極めたい時、このスキルがあれば努力した分だけ確実に上手くなる。
ただこれは才能による頭打ちが無くなるというスキルなので上を目指したいならそれ相応の努力は必要なのだがそれでも充分すぎるスキルだ
最後に運命共同体、これが1番の問題児スキルだろう
まずこのスキルは俺が1人で持っているだけではなんの意味もない、自分以外にもう1人、相手がいて初めて効果を持つスキルだ。
しかもこのスキル、最初に契約を結んで効果を発動した相手でないと使えない。そして解約不可である。つまり使い所要注意だ、
で、極めつけにこのスキルで契約した2人のうちどちらか一方が死亡した場合もう片方も死亡するという鬼畜設定
これだけのリスクがあるこの運命共同体の効果だが
経験値共有(分配ではなく元の経験値が二人共に入る)
互いの居場所、状態が分かる(任意)
念話が出来るようになる
進化の共有、ストック
以上である
リスクに見合う中々の効果だ、特に進化の共有、ストック
これはチートである
そもそも進化とは何か
ステータスにあるランクの部分でありこれはある程度経験を詰んだ上で更に自分の壁を超える事で上がっていく
この壁とは何も戦いにおける壁だけではなく自分が死ぬ気で乗り越えたものならばなんでもいいそうだ。
ただ最も上がりやすいのはやはり戦いの中だそうだが...
進化すると+0から+1、+2と上がっていく
この進化は大きな意味を持つ
進化をする、つまりランクが高くなるということはそれだけで自慢になるし何より周りに認められる。
そして進化するとステータスのS〜Eまである能力値は全てEにリセットされる
当然ランク0とランク1の能力値Eには大きな差がある。
つまり進化する事で能力の底上げがされ更に能力値の上がり幅も大きくなるので必然的に限界も高くなる。
そう、進化はすればする程強くなれるのだ。
しかしそう簡単に進化などできない。
これは後に分かったことなのだが今までに最もランクを上げた人でそのランクは12、一生の間に12もの壁を越えたのだがそれだけである。
これが運命共同体のスキルを使えばどうだろうか、最大でランクを本来の2倍まで高めることが出来る
これはこの世界において大きすぎるアドバンテージだ。
更に進化のストック、進化と能力値について厳密に言うと進化後の能力値におけるEというのは進化前の最終能力値と同値である。
ストックによって進化を貯めて能力値が最大になったところで進化、こうすることで更に限界は上がる。
このスキルのチートっぷりを理解して頂けただろうか?
さて、随分長く話してしまったが要するに中々のチートを授かった俺は真っ暗だった現状に小さくない希望を見出すことができたのだった...
なんか単調で面白みに欠けたとは自分でも思うのですがここである程度まとめて説明パートを済ませておけば後の進行がスムーズかなと思った次第です
あと設定を見返すときにまとまってた方が探しやすいがと思ったのでいっぺんにある程度書かせていただきました。