クルシュナの長城(1)
魔法をほとんど使えない魔法戦士のマーク・ハミルス、
鉄の爪で戦う武闘家の、ハッサン・ガントフ、
回復魔法のエキスパート、エルザ・マリーシア、
パーティーの中では頭脳派の学者アイラク、
商人のハン、
踊り子のクラリス、
そして、老軍師キタオオジ。
この異世界戦士7人は、今度はクルシュナの長城付近へと向かった。
どこまでも広がる草原、いったいどこまで続くのかと、前方を見てみると、そこには遥か彼方まで続く長城があった。
マーク「間違いない、あれがクルシュナの長城だな。」
ワインの試飲だけで済ませるはずだったのに、いつの間にか長城の前まで来ていた。
どこまでもどこまでも続く長い長城。
長城は、西の端から東の端まで国境線沿いに築かれている。
ちなみにここは、西の端だ。
長城の内部には食料庫や、見張りの兵士たちが寝泊まりする寝室まで用意されている。
まさに至れり尽くせりだが、兵士たちは基本的に交代で任務にあたる決まりになっており、任期が満了したら、交代要員にバトンタッチする決まりだ。
パーティーに話しかけてきたのは、見張りの兵士の一人。
まるで古くからの知り合いであるかのように、気安く話しかけてくる。
「ああ、あなたたちですか。
既にクルシュナ姫の使いの者から、話はうかがっております。」
なんと姫は、使いの者を派遣して、事前に話を聞かせていたという。
この程度のことは、折り込み済みか。
「近々、長城前まで路線バスが通る予定なんですよ。
路線バスが通れば、さぞや交通も便利になるでしょうね。
ですが、この路線バスのルートは軍用車両も通る予定ですからねえ。
このあたりのルートは、軒並み軍部の統制の対象になっているようですから。」
話を聞いた後、近くに集落がいくつかあることにも気づいた。
長城以外には高層の建築物は建っていない、草原地帯。空は雲一つ無い、快晴の青空だ。
せっかくだから、点在する小さな集落の一つに立ち寄り、そこで食事をとることにした。




