闇仮面カイル・ハミルス、新生ベルザハーク・アクダム帝国の建国、そしてそれぞれの人物たちの思惑
ヒューマン・ファースト大幹部の顔ぶれ
アクダム教団
教祖ニルス・アクダム
アクダム教団の教祖であり、自らもアクダムの名を名乗るほどのアクダム神の信奉者である。
若き将軍
闇仮面カイル・ハミルス
『闇仮面』という黒い仮面、黒い鎧、黒いマントで身を包み、その素顔を人前にさらすことは無いという。
三賢将
豹将レオパルト
豹が人間の騎士のように立ち上がった姿をしている。
人間の騎士のように専用の鎧と、専用の剣と、赤いマントを装備している。
剣技に優れ、三賢将の中でも最強の戦闘能力を持つ。
さまざまな剣による必殺技を使用してくる。
鷲将ゲルニック
鷲の頭の頭脳派の三賢将。
三賢将の中では最も魔法能力に優れ、攻撃魔法だけでなく、敵を眠らせたり、混乱させたりするような魔法も扱う。
獣将ガイガン
こちらは熊の頭で、三賢将の中では最も怪力自慢。
重い斧でも楽々持ち上げられ、その斧で攻撃してくる。
容赦なく痛恨の一撃を喰らわしてくる。
ヒューマン・ファーストは、この5人の大幹部が率いており、皆それぞれの部隊を率いており、現在は5つの部隊で構成されている。
アクダム帝国は、唯一絶対の神であるアクダム神を信仰していた国で、信仰を広めるという名目で、周辺諸国に対して侵略を行っていた国だった。
ところが、帝国は既に滅び、後には残党勢力の『ヒューマン・ファースト』なる勢力ができていた。
『ヒューマン・ファースト』は、旧アクダム帝国と同様に、唯一絶対の神、アクダム神への信仰と、徹底した純血主義、排他主義、そして選民思想を掲げる勢力だ。
普通に考えれば、主人公たちと悪の帝国が戦う物語、というのが定石だが、
既に悪の帝国が滅びていて、その残党勢力がなおも戦いを続けているという展開になっている。
大幹部の将軍たちも前の戦いで倒され、今残っているのは、ザコ兵士と、下級の将校であるはずなのだが…。
現在、指揮をとっているのは、ヒューマン・ファースト三賢将という、
新たに頭角を現してきた大幹部と、
そのさらに上に立つ若き将軍、闇仮面カイル・ハミルスという者だった。
帝国が滅びた後もなお、自分たちの主義主張、信念を曲げることは決して無かった。
報告係の兵士がカイル・ハミルスのもとにやってくる。この兵士たちもなぜか、カイル・ハミルスと同様に仮面をつけているが、これは旧アクダム帝国時代からの兵士の正装なのだという。
「カイル・ハミルス様。
どうやらクルシュナ王国の姫が、7人のパーティーを連れて、国に帰還した模様です。」
カイル・ハミルス「ほほう、クルシュナ姫が?
その7人のパーティーというのは?少しはホネのあるやつがいるというのか?」
マーク・ハミルスとカイル・ハミルス。
両方ハミルスで同じなのだが、その性格や立場はまるで正反対だ。
旧アクダム帝国は、もともと広大な領土を有し、帝都ガリウスは世界一の大都市となっていた。
そこでは兵士や魔物を秘密の実験で強化させるなどのことが行われ、戦闘能力に優れた怪物が生み出されていた。
異種族排除といいながら、実は実験によって怪物を生み出していたという。もちろん帝国軍の戦力にするという名目で。
しかしクルシュナ王国やエスペラント王国などの連合軍によって、旧アクダム帝国は滅ぼされた。
そして帝都ガリウスもまた破壊され、今や繁栄の面影は無く、廃墟と化していた。
その旧アクダム帝国の残存勢力、『ヒューマン・ファースト』。
異種族排除という名目を立てながら、実際には、クルシュナ王国の肥沃な土地が欲しかったのだった。
今や廃墟と荒野しか無い旧アクダム帝国。そこに『ヒューマン・ファースト』の大幹部たちと軍勢が集結していた。
ニルス・アクダムがカイル・ハミルスに話す。
「カイル・ハミルスよ。作戦は順調に進むのだろうな。」
「多少手こずってはおりますが、支障はございません。
既に『ヒューマン・ファースト』の、新たな戦力になる兵隊たちの勧誘を行っています。
人生をはかなんでいる、人生に絶望しているような者たち、自暴自棄になっているような者たちなどは、『ヒューマン・ファースト』の過激思想のようなものに、入り込みやすい。
そうして新たに勧誘され、やがて構成員になっていく者たちの数は、次第に増えていっています。」
一方で、クルシュナ王国の城内の資料室にいた、マーク・ハミルスたちはというと、資料室にある昔の時代の文献などを読みあさっていた。
「あーあ、何が悲しくて資料室の資料整理なんかしなければならないんだよ。」
資料室の中では特にやることもなく、時間を持て余すだけだった。
だが、そんな中で1つ、奇妙な記録を見つけた。
それが『ベルザハーク帝国』の記録だった。
『ベルザハーク帝国』とは、旧アクダム帝国よりもさらに前の時代から、かれこれ1000年以上も昔に栄えた帝国だという。
旧アクダム帝国と同様に、唯一絶対の神、ベルザハークを信仰する宗教帝国だったという。
これを調べたのは学者のアイラク。そしてアイラクは、このベルザハーク帝国に興味を持ったようで、他にもベルザハーク帝国に関する文献を調べ始めていた。
さすがは学者のアイラク。学者らしいと言ってしまえばそれまでなのだが。
アイラク「私の調べたところによると、どうやらこの資料室には、ベルザハーク帝国の時代の資料だけでなく、
さらに前の今から2000年~3000年前の古代オリュンボス文明の時代の資料まであるようです。」
そしてそれらの歴史資料は、歴代のクルシュナ王の命令によって編纂作業が進められてきたという。
そしてここで、恐るべき事実が明らかになる。
なんと、この歴史資料の編纂作業は、数百年を経た現在もなお、今だに続いているという。
つまり、その歴史資料の編纂作業を、マーク・ハミルスたち7人に手伝ってほしいという名目で、ここに連れてこられたのだった。
ちなみにその編纂作業によって作成される文献の名前は、
『大クルシュナ王国史』という、全部で60巻に及ぶものだった。
マーク「今は60巻だが、今後新たな歴史的な事件などがあれば、さらに書き加えられる可能性も、あるわけだ。」
ところが、そんなさなか、ついに帝国が復活してしまったということになってしまった。
全くなんてことだよ!
そして、その復活した帝国の名は…?
『神聖ベルザハーク・アクダム帝国』だ!
ニルス・アクダムとカイル・ハミルスと三賢将という大幹部たちが集まった。
『神聖ベルザハーク・アクダム帝国』の復活を宣言する。
ベルザハークとアクダムが一緒になった。
帝国が信仰している唯一絶対の神。
『ベルザハーク帝国』では唯一神ベルザハークと呼ばれ、『アクダム帝国』では唯一神アクダムと呼ばれる唯一神。
呼び方が違うだけで、実は同じ神様なんだってさ。
復活というか、新たに帝国つくっちゃった感じ。
カイル・ハミルス「ここに、『神聖ベルザハーク・アクダム帝国』の建国を宣言する!
なお、帝都ガリウスと、帝国城をあらためて建設するにあたり、各地から奴隷を集め、建設作業に従事させることとする!」
早い話が、帝国軍が各地を征服し、征服した国々の人々を奴隷として連れてきて、帝国城や帝都ガリウスの建設にあたらせる、という話らしい。
唯一絶対の神への信仰と、恐怖心によって人々を支配する、悪の帝国の常套手段だ。
この帝国に対抗できる勢力は果たして現れるのか。
そこに現れたのは、この勢力だった。
情勢は刻一刻と移り変わっていた。エスペラント王国、クルシュナ王国、そして革命軍の指導者たちが一同に集まっていた。そして緊急会議が開かれ、そこであることが決まった。
『神聖ベルザハーク・アクダム帝国』に対抗するため、『エスペラント・クルシュナ革命連合軍』を結成した。
もちろんその総大将となるのはクルシュナ姫だ。
「『エスペラント・クルシュナ革命連合軍』には基本的に全員参加となります。
無関係な人間などいませんよ。みんな見て見ぬふり、知らぬふりをしているだけです。」
クルシュナ姫は、勝ち気で強気な性格のようだが、指導力はある。
最初は革命軍と手を組むことをためらっていた節があったが、
復活してさらに強力になった『神聖ベルザハーク・アクダム帝国』に対抗するために、手を組んだという。
マーク・ハミルスたち7人もまた、この革命連合軍に否も応も無く加えられ、戦いの渦に巻き込まれていくことになる。
と、その前に、クルシュナ王国名産のワインを味わっておかないと、まずはそれからだと、マーク・ハミルスたち7人は思っていた。




