山賊と称した革命軍と称する者どもから姫を救え
見た目はただのそこら辺にいるような山賊。
しかしその正体は、とんでもない連中だった。
「俺たちの目的は、革命だ!
この世界の権力全てを滅ぼし、革命を起こすんだ!」
山賊と称してダンジョンに立てこもっていたのは、なんと身分格差解消を訴える革命軍だという。
俺はマーク・ハミルス。
俺は今まさにその山賊と称した革命軍なる者たちの巣窟へと向かう。
「カシラ、来ましたぜ。」
山賊たちは仕掛けてくる様子は無い。まずは様子見といったところか。
俺はブロンズの剣と、ブロンズの鎧、ブロンズの盾を装備している。
初期装備とはいえ、序盤に出てくるような弱い魔物くらいは倒せるレベルだ。
ひとまずテスの村で一泊した後に、山賊たちの待つダンジョンへと向かう。
テスの村は村とはいっても、それなりに家も立ち並び、店も武器防具屋、道具屋、魔道書の店、宿屋とひととおりあるようだ。
「薬草か何か買っといた方がいいかな。」
薬草はHPを回復させる効果がある。
レベルの低いうちはHPも低いので、薬草は絶対に必需品だ。
といって、ついつい大量に買い込んでしまうこともしばしば。
そういう時は錬金で『上薬草』や『特薬草』を作ろう。
薬草と、毒消し草を大量に買い込んでおいた。
次は宿屋探しだが、果たして7人が泊まれるだけの宿屋は、部屋はあるのか…。
村一番の大きな宿屋を見つけた。宿屋というよりは、豪華ホテルといった感じで、たくさんの部屋がある。
「ここがいいわ。ここに泊まりましょう。」
マリーシアが言った。
「いらっしゃい、この村には観光客もたくさん来ますからね。」
観光客用に建てられた宿屋のようだが、実際には俺たちのような冒険者の一団が数多く利用しているようだ。
「最近は、あなたたちのような冒険者のパーティーが多いですからねえ。」
ひとまず、ここで一夜を過ごし、明朝にダンジョンに向かう。
ハッサン「山賊なんて、俺の拳でたたきのめしてやるぜ。」
マリーシア「無理しないでくださいね。危なくなったら私の回復魔法に頼ってくださいね。」
アイラク「ビリビリ光線銃ー!発射ー!
さあいよいよ私のこの発明品、ビリビリ光線銃を役立てる時が来ましたよ。」
ハン「あのダンジョンの中には、お宝とかあるのかな?
いや、また浪費して使ってしまう、私の悪い癖です。」
クラリス「山賊なんて、まとめて片づけちゃえばいいじゃない。」
キタオオジ「とにかく、今夜はゆっくり寝て、また明朝、旅立つとしよう。」
そして眠りに入る。
翌朝、朝食を済ませて、ダンジョンに関するこんな情報を耳にした。
「この先のダンジョンは、何百年も前に、このあたりにあった王国の遺跡だそうです。
今は遺跡となり、地下に埋もれてしまっているようですが、山賊たちはそこを拠点にしているとか。」
そして、さらにこんな情報も聞く。
「そこに捕らわれているのは、クルシュナ王国の、クルシュナ姫だそうです。」
さっそく、ダンジョンに捕らわれているクルシュナ姫を救出する、という旅の目的が見えてきた。
「さあ、行くぞ!」
マーク・ハミルス=丸田隼人。
ここで名言を残しておかないとと思い、発した言葉。
「引きこもりの気持ちは、実際に引きこもりになったヤツにしかわからない。」
これはマーク・ハミルスが以前に言った言葉だ。
そして今まさに、ダンジョンへと向かう。その道は、まるでけもの道だった。
「ひでえ道だな、まあ、通れるだけマシか。」
眼前に現れたのは、廃墟となった大きな建物。
たしか、何百年も前に栄えたという遺跡があると聞いた。
おそらくは、この廃墟が、その遺跡なのか。
そして、この廃墟が、ダンジョンの入口であり、その先に捕らわれの姫もいるということか。
ダンジョンに突入し、パーティーの7人は奥深くへと向かう。
そして今まさに、捕らわれの姫を助けるために、山賊と称した革命軍と対峙している。
「俺はお世辞にも王子様にはなれない。しかし、姫を守る騎士【ナイト】には、なってみせる。」
「かかれー!やっちまえー!」
山賊と称した革命軍との戦い。
俺はブロンズの剣一本で立ち向かう。
アイラク「ビリビリ光線銃ー!発射ー!」
アイラクのビリビリ光線銃が炸裂!
革命軍「うわあああーっ!」
アイラクのビリビリ光線銃は、次々と敵を撃ち抜いていく。とても学者とは思えないような銃の扱いだ。
これは、アイラク一人でここにいる敵を撃破してしまうような勢いだ。
マーク・ハミルス「お前ら、何の革命だか知らないが、姫を人質に立てこもるとはな…。」
どう考えても、こいつら単独で行動しているとは考えにくい。
これは、後ろ楯になっているやつらがいるんじゃないかと、俺は思った。
「でやあっ!」
ザコどもが攻撃してきた。俺は剣を振り回す。
ズガッ!ザシュッ!
「がああっ!」
ザコの山賊を2人ほど斬った。しかしこのままではキリがないぞ。
「何人出てくるんだ!?」
これはもう、こいつらを率いているカシラを倒さないといけないと思った。
と、ここでカシラのお出ましだ。
「お前の相手は俺だ。よくも俺たちをひっかきまわしてくれたな。」
ここは、いいところを見せられる、またとない機会となった。
ここでちゃっかり、敵から鉄の剣を奪い取っておいた。これでカシラの持っているやつと同じだ。
おっと、カシラの持っているやつは、鉄のオノだ。
うおっと!
カシラが鉄のオノを振り回してきた。これにまともに当たったら、ヘタすると一撃で倒されてしまう。
「てええい!」
俺は剣を振り回すが、なかなか当たらない。
「てやあっ!」
バシッ!ビシッ!
一発、二発、命中したが、まだカシラは倒れない。
「まずは、相手の攻撃をかわしてから…。」
カシラがオノを振り下ろす、俺はそれを素早くかわし、相手のふところに飛び込む!
「そこだっ!」
ズガッ!
「ぐおおっ…。」
会心の一撃!カシラは倒れた。
「なんとかカシラを倒したが、しかしこいつらは、誰の差し金で、何のために…。」
カシラを失った山賊=革命軍の残党どもは、そのままダンジョンの外まで逃げ失せた。
革命軍と名乗っていた。山賊に扮していた。いったい何のために…。
その目的は何なのか、結局考えつかなかった。
そこに、女の声が響き渡る。
「何ボサーッとしてるの!早くこの縄を解きなさいよ!」
いかにも高貴な感じの女が、縄で縛られている。どうやらこの高貴な感じの女こそ、例の捕らわれていたクルシュナ姫らしい。
俺は姫を縛っていた縄を、剣で切る。
クルシュナ姫「ああ、助かったわ。私はクルシュナ王国の、クルシュナ姫よ。助けてくれてありがとう。
あなたは?名前よ、名前、あなたの名前は?」
マーク・ハミルス「俺はマーク・ハミルス。
マーク・ハミルスだ。職業は魔法戦士だけど、まだ駆け出しだから、魔法の方はファイアボールしか使えないんだ。」
これが、7人とクルシュナ姫の出会いだった。
初めは単なるありきたりな山賊退治で終わるものと思っていた。
しかし、それがまさか、世界中を、さらには現実世界をも巻き込むことになるなどとは、この時はまだ考えもしなかった。
それから1人1人自己紹介をした。
それと、山賊のカシラ、正確には革命軍の部隊長をたたき起こす。
「おい、起きろ、起きろ。みね打ちだぞ。」
「うーん、はっ!」
「お前にはいろいろと聞きたいことがある、さあ来るんだ。」
カシラといっても、今はまだバラバラに活動している革命軍の、一部隊長に過ぎない。
こいつの裏にいる首謀者が誰なのかを聞き出したかった。




