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Eternal chair  作者: Mik!nA
9/16

irony

――17りんご


「いや〜お腹空いたなぁなんか食べるか?」


袋からりんごのようなものを取り出し丸かじりするアノン

それの色は紫でとても毒々しい

とても美味しそうには見えなかった


「いや遠慮しておくよ…」


むしゃむしゃモリモリ食べているアノン

体は何ともないのか

見ている姿は幸せそうでホァンとしていた


「そういえばリベアたちが見当たらないけどどったの?」


やっと気がついたのかどうせなら俺の自動ドアの叫びよりこっちに気づいて欲しかったと天は思った

2個目の毒々しいりんご(もう毒りんごでいいや)を袋から出し食べながらオフィスを捜索し始めた

食うか探すかどっちかにしろよ…

てか何個買ったんだよそれ…


「ああ、さっき黒い電話がなって急いでベレトル副隊長と一緒に出ていったけど」


リベアの机辺りを模索していたが突然止まったアノン

口に加えていたりんごを机にぽとりと落とす


「え?今なんつった?」


「だから、黒い電話が…」


もう一度はっきり説明してやろうとしたが抑えられた

アノンの目がキラリと光った

動揺しているのか今まで食べてきたりんごが逆流して全部リベアの机の上に落ちて広がった

要するにゲロを吐いたのだ

天は危うくもらいゲロを放つところだが間一髪口で抑え飲み込んだ


「ひっさしぶりの任務じゃぁぁぁん!あいつら手柄を横取りとはきたねぇ真似しやがって!」


きたねぇのはおまえだよと言おうとしたが止めた

なんてったってアノンが楽しそうだからだ

こいつは俺にとって希望で光で救世主だからだ

命の恩人にきたねぇなんて言葉は言えない


「じゃあ追いかける?」


天はアノンに聞いた

答えがわかっているのに聞いた

アノンは模範解答のように頷き微笑んだ

天も笑った

だって買ってきた袋を覗くと殆ど毒りんごで埋め尽くされてたから


「さぁ出発だ!天!」


「ああ!」


俺たちはもう一度〈oneness〉を出る

また帰ってくる時は任務が終わってからだと思った

司令から受けた指令もきちんとこなさないとな

なんだっけ?それ

はぁ?もう忘れたのか?あれだよある人の運命を変えるだとかなんとか

あああれか、そうだなその話もそろそろしないと尺的に危ねぇからなぁ

おい今なんの話だ?





しばらくして無の川(ノンフルーミネ)まで着いた

基地からさほど遠くない場所にある河川だ

川の中には魚がいて水も綺麗で澄んでいた

その水で生きている動植物たちが生き生きとしているようにみてた

その最中アノンが急にうずくまった


「おい大丈夫か?顔色悪いぞ」


「俺はやべぇもんに手を出しちまったみてぇだ…」


そしてズルズルと重い身体を引きずり澄んだ美しいと表現した先程の川にゲロを吐いた

あぁ自然よこいつの無礼を許したまえー

冒険の旅に出て早々ゲロ吐くやつなんて聞いたことねぇよ


すかさず背中を優しく摩ってやる天

上下にする度リズムよくキラキラしたものが口から落ちた

まるで新しいリズムゲームのようである


「やべぇもんってお前…それは一体?」


あからさまな問にどう答えるか気になったので聞いてみた天


「毒りんごだったのか…あれは…」


いやいやいや今更かよ!見た目でやばいやつって区別つくだろ?

小さい頃習わなかったのかよ!(知らないものは絶対食べちゃダメ!)って!多分途中口からホキ出したのも身体が拒否反応を起こしてリバースを命じたんだろうな!


「取り敢えず休んだ方がいいよ…」


「いや、あと少しで次の町へ着く…集落があってな風変わりな町(クエキィオピドゥム)だ…そこで休む…」


風変わりな町(クエキィオピドゥム)


別名はじまりの町とも言われる由緒ある場所

パワースポットでかなりの有名なところであり

そこには年に一度だけ開かれる力の大会がある


天はアノンの肩に手を伸ばし支える

身長はあまり変わらないので支えやすい


「しかしアノン大丈夫なのか?毒りんごだろあれ、今にでも死んじゃいそうだけど」


「いやそれがよく見ると買った時と()()()()んだよこのりんご」


アノンの持っている手提げ袋の中には毒々しい紫のりんごがたくさん入っている

持ってきたのかよ


「こんな色じゃなかったんだよ、ほんとはもっと美味しそうなきれいな赤っぽいりんごだった!」


「にしてもなんで食ったんだよ見たらわかるだろうが」


「え、悪くなるうちに食べないともったいないじゃん!!」


こいつの天然ぶりはやばいと思っていたがもはやここまでだったとは

そのうち身を亡ぼすタイプだと天は思った

どうせ商人に世界一美味しいりんごと騙されたのだろう


「その町には医者はいるよな?急がないとやばいな…」


早足で目的地へ向かおうとすると前から一台の馬車が来た

荷台がついており何かを運搬しているみたいだ


ガラガラ


すれ違いざまに荷台から何かが出てきた

それは悪魔(イーヴィル)であり細身でロン毛であった

背中にはギターを背負いフラフラしていた

そしてその悪魔(イーヴィル)は天たちに言った


「君たちのことを待っていたよひひ」


不気味に笑うその表情は悪魔そのものであった

馬車は降りた事も気付かずそのまま去っていく

まさかほんとにまってたのか?

すると突然背中のギターに手にとった


「聞いてください俺の(メロディ)




――18クソが



アノン俺たちはやばいやつに、会ったっぽいぞ


へ?そうか?おもしろいやつだとおもうぞ


口調真似しないでくれない?それよりいきなりギターで弾き始まったよ…


(聞いてください俺の(メロディ))だってよ!めっちゃかっこいい!なんだあれ!ウクレレみたいなやつ!


黙ってろよ!ああもうがっつり自分の世界に入って演奏してるよ

やばい俺ファンになりそう…


はぁ?え…なにこのメロディ…すご…い




気がついたら見知らぬ家の中であった

アノンは隣で爆睡していた

目の前にはあの悪魔(イーヴィル)がギターをいじっていた


「目が覚めたっぽいねーひひ 我ながら自分の歌唱力には恐れ入ったわ…感動して気絶しちまうなんて 興味深い」


座っていた椅子から立ち天に近づく

舐め回す様にジロジロ眺める()()

天はたちまち後ろに下がるが壁があり止まった


「な、なんなんだお前は!」


天は恐怖で手足が震えていた

寝ている間に何されたかを想像すると怖すぎてチビりそうだからだ

その答えを待っていたかのように奴は笑う


「通りすがりの医者だ!覚えとけ!」


バーン!


どこかで聞き覚えのあるセリフに爆弾発言とこいつは一体何者なんだ?


「いや〜驚かせて悪かったひひ 俺はアムアス、よろしく!」


ガバッといきなりアノンが飛び起きた

寝ぼけねいるのか目が泳いでいた

今起きている現状を把握していなさそうだ


「お前今なんった?」


「久しぶりだなアノンひひ」


「アムアスぅぅぅぅ!まじか!ひぁ〜どうしたんだよ!」


いやどうしたんだよはこっちだよ

知り合いだったのかよ全く話についていけない


「ああ、悪ぃな天 こいつは俺の古い知り合いなんだ」


「そ、そうなんだ…よろしくアムアス…」


「おいどうしたんだよウクレレなんで弾いてお前って医者になるって言ってたよな〜!」


「ひひ、びびったか?趣味で弾いてんだよ まぁ医者は…」


「いや趣味の度合い超えてたぜ!なぁ天!こいつなんてファンになりそうなんて笑」


「言ってねぇけど本当に上手だった、けど医者ってのは本当なのか?」


「正確には()()()()()かな少し前にやらかして医者を辞めさせられた」


「まじかよ…それでか…」


アノンが凄く落ち込んでいた

天は地雷を踏んだと落ち込んだ

しかしアムアスは落ち込んでなかった


「でも叩き上げのスキルがあるからたまに医者やってるけど」


「「り、リアルでいるのかこういうやつ…!」」


「元気そうでよかったよアノンひひ、そっちはなにやってんだ?」


「俺か?まだ〈oneness〉にいる。そんで天とちょっくら旅をしているってとこなぁ?」


話をふるアノンに天はぎこちなく頷く

アムアスは椅子に戻り腰掛ける

膝に人差し指でトントンとリズムをしもう一度天を覗く


「君らが寝ている間に少し調べされてもらったひひ、どうやら天くん、君の脳は著しくダメージを受けているようだ故に記憶障害が生じている…興味深い」


アムアスは天を眺め回した後アノンの方へ目を向ける

アノンは逆に目を合わせ見つめ合う形をとった

恥ずかしかったのかアムアスはパッと避けた


「アノンはさっきまで胃や腸などの消化器官が荒れていた…しかし今となってはその真逆で健康そのものだ…興味深いひひ」


続けてアムアスは自分の見解を述べようとするが1つの物に目が止まった


「アノン…これはなんだい?」


それはアノンが買ってきた手提げ袋いっぱいに入っているりんごだった


「ああ、それ食ったら気持ち悪くなってもう最悪だぜ〜それがどうした?天がそれは毒りんごだ!って言ったからもう食ってないけど」


全ての辻褄があったように閃いたアムアス

袋の中のりんごを1つ手に取り言った


「アノンこれは只のりんごじゃない…!変化する林檎(モタレマールム)といって手に取った捕食者によって味や姿などが変わるりんごなんだ!ひひ初めて見たよ…!凄い一体どこで手に入れたのさ?」


「いやいつも行ってる八百屋さんだけど あ!でもどうりでなんか安かったなと思ったわ」


天はツッコミたいところ盛りだくさんなところを全てつっこめるスキルは持ち合わせてないため今回は省略した

アムアスは目を瞑ってりんごに集中する

するとりんごの色が紫から綺麗な赤ががった美味しそうなりんごになった


!!


「このように姿形変えるなんとも不思議なりんご…普通じゃ手に入らない…一体なぜ八百屋さんは持っていたのかひひ興味深い」


すると天は1つの疑問が生じた


「アノンの毒のような症状はもうなんともないってどういうことなんですか?」


アムアスはよくぞ聞いてくれたかのように鼻を高くした

実際に顔に書いてあるからこれまたびっくりである


「アノンが口にした状態では天くんが言ったようにたしかに身体に悪い状態のりんごだったしかし口にしたがアノン自身()()をしただろう?ひひ それでりんごも反応し()()をする、つまり簡単に言うとりんごを手に取ったものの思考と真逆の状態に変化するということ、例えば(美味しそう頂きマースと言って食べると不味くなる)とかね、まぁこれはあくまで例えばだけど」


「じ、じゃアノンは食べたあとまずいっていってゲロ吐いてましたけどそれで?」


変化する林檎(モタレマールム)は消化されても効果は残るからそれがつたわったんだろうね流石だよひひ」


その頃アノンは袋の中からりんごを取り出しては色を変えて遊んでいた すると1つのりんごが輝き始めた


「アノン一体なにをしたんだ!?まさか!」


誕生したのは虹色に光輝くりんごだった

眩しすぎて目を開けてはいられない程だった

アノンは準備がよくサングラスをしていた

しかしその輝きは瞬く間ですぐ戻ってしまい青リンゴになってしまった


「す、凄いひひ見れるだけで幸運とも言われる幸運の林檎(ボームスフルトゥマ)…!アノンどうやってしたんだい!?是非教えてくれ!」


ズリズリとアノンの肩を揺さぶり興奮するアムアス

アノンは鼻をほじりながらりんごを持って言った


「んーよくわからなーい適当に遊んでただけだしー」


アムアスはさほど期待はしていなかったのかショックは見せずむしろ目がギランと光り、やる気を出した


変化する林檎(モタレマールム)…非常に興味深い…俺はこの実験を元に万能薬を作ることを決めたぞひひ、アノンのヒントがなきゃできなかった、ありがとう」


「別に大したことなんてねぇよまぁその薬が出来たら俺にくれよ?」


「もちろんさひひ」


机に向かい作業をはじめるアムアスだったが突然部屋の電気が止まった


「停電か?」


アノンがすかさずりんごを黄色に変えライト代わりにした

結構光って幸運りんごよりは明るくないがLEDくらいであった

お前操るの早すぎだろと天は思う


「おかしいな…じゃあちょっとブレイカー見てくるわ」


訝しげにし仕方なく部屋から出るアムアス

少しして電気が着き部屋が照らされるそこには

身に覚えのない悪魔(イーヴィル)が2体いた


「全く手間をかけて…私たちは2人で1人ってこと忘れないで」


「ごめんごめんてお姉ちゃんこれで許して?」


髪型はボブの黒髪で禍々しい大きなつのをもっている妹であろう悪魔(イーヴィル)が左手から鎖のようなものをとびだした

その鎖がアノンに巻き付き勢いで激しく壁に打ち付けられた


「くっ!なにすんだてめぇ!な、なんだこれ外れねぇよ!!」


天は今起きている現状が把握できずにいる

なにがどうなっている?俺はどu…


「ぎゃーぎゃーうるさいわねこいつ」


「お姉ちゃんこいつも縛るぅ?」


「いやそいつは弱そうだし私に任せて」


こちらも大きなつのをもちロングで金色の髪の悪魔イーヴィルは右手を天の頭へ向けた

すると天は意識が朦朧したのか倒れてしまった


「おいてめぇ天になにしとっと?俺は怒ったら怖いけんね!」


ブチ切れ過ぎてキャラが変わりつつあるアノン

そんなことは関係ないと2人の悪魔(イーヴィル)は無視する


「じゃあ行こっかお姉ちゃん!」


「少しは落ち着きなさいアミリィ」


二人は手を繋ぎお姉ちゃんの方は天の肩に触れると

突如一瞬で姿が消えた

部屋にたった一人取り残されたアノン

彼は自分のせいで天が連れ去られた事を悔やんだ

力が足りなかった

なにもできなかった

そして叫ぶ


「クソがァァァァァァァ!」


1人の悪魔の雄叫び

1枚の薔薇の花びら

町では例の大会が開かれようとしていた


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