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―――9蟷螂
んーあれだあの公式はここに代入して…
青年 黒谷天〈くろたにそら〉は黙々と黒板に書かれた数学の公式をノートに殴り書きしている
周りから見たらずっと寝ていたことをさらけ出していることを一目瞭然である
時刻は午前10時を回った頃天気はくもりで太陽の光が辛うじて届いている位だ
その時天の腕が止まった
んーこれやったことあるやつだな?
3年の数学は一二年でやった内容の過去問をとく時間だからである
それに気付かず解き進めていたのだ
こう見えて理系教科は平均を超える力はもっている
すると突如前の席にいる女の子が声をかけてきた
「そらちん、さては寝ていたあるね?」
俺の席は窓側の一番後ろなのだか結構先生に目をつけられている
そんな席で彼女は唐突に的を射た議題を出した
「な!っんのことかなぁ…?」
いきなりだったため同様を隠せないのだかひとつまた疑問が生じた
寝ていた?
俺は寝ていたのか?たしかに気がつくと授業は始まっていたし
黒板には何度か消した後も残っている
しかし寝ていたのなら自分で気付くはず…
「寝てたじゃんんん 寝言も言ってたあるよ」
彼女は中国人風の喋りで有名な名前は 鎌倉 翠〈かまくら みどり〉見た目はハーフっぽい?まぁ外国人だな そんでなんといってもトレードマークはツインテール 高校生でまだやっているのは彼女だけである
「寝言ね…えええええええ!寝言は流石にないわ!」
「嘘やけどね笑」
なんで嘘ついたねん…
彼女はケラケラ笑って前を向いてしまった
嘘だったのなら、寝ていたのは初めからハッタリ?
何故そんなことを?まぁ深く考えなくてもいいか
さてさて次の問題は問の7番で図形で…
シャープペンシルを握り机に向かおうとしたら、目にゴミが入ってきたどうやら窓が全開で灰のようなものが飛んできたらしい
全く誰も気付かないんかよ…
前の席の鎌倉にも窓を閉めてもらうように頼もうとすると
「なぁ鎌倉?ホコリっぽいからそっちの窓… 鎌倉?」
鎌倉以外のクラスの生徒が次々と灰化し始めたのだ
俺の隣の席の奴も廊下側の奴も数学の先生も
「…!? いったいどうなってるんだ…?」
天は急いで椅子から立ち上がり鎌倉に駆け寄る
「鎌倉!逃げた方がいい!これはヤバイぜ…警察に取り敢えず…」
鎌倉は石像のように黙っていて動かない
さっきまでケラケラしていたのが嘘のようだった
天は動かない鎌倉の体を激しく揺さぶった
「しっかりしろ!俺もわけわかんねぇけど!怖いけど!ここじゃ危険だ!だから!」
「だから…」
その時、鎌倉が一言だけボソッっと呟いた
その言葉が天の耳に入る頃にはそこには鎌倉翠の姿はなかった
たった今いた鎌倉の姿とは、想像もつかない化け物がそこにいた
彼女とは呼べぬなにかは近づいて言う
「だから…なに?」
まさか?この現状を作り出した張本人が鎌倉だっていうのか?!
馬鹿な!さっきまであんなに笑っていたのにどうして…
続けてなにかブツブツ言っているその声は鎌倉本人の声ではない
「私は…オレはお前が憎い!殺してやる!殺してやる!」
突如雄叫びを上げて暴走した
たちまち窓カラスは全て割れ並べてあった机、椅子も吹き飛んだ
ものすごい衝撃に耐えられるもなく吹き飛ばされる天
グアッ!
壁に叩き連れられ意識を失いそうになるが辛うじて保つ
鎌倉いや化け物が叫び声を上げながら、天を方へ近づいてくる
やばいっ…!逃げないと…
何本か折れているのか体が思うように動かない
教室と廊下を隔てるドアが弾け飛び全開になっている
天はそれに手を伸ばす
あと少しで
助かる
このこの絶望的な状況から助かるんだ…
急に頭をガッと捕まれ起こされる
逃げようとしたのがバレたのか教室の奥の方へ投げられた
馬鹿みたいに力が強く教室の壁に穴が空いてしまった
先生に怒られてしまう なんて考えている暇すら与えてくれないだろう
「お前のせいでオレはこんな姿になった!お陰で100年間ずっと牢獄で過ごしてきたんだ!
忘れたとは言わせない…お前がオレたちにした罪を!」
一体全体どういうことなのだろうかこの化け物はなにか勘違いしているのか?でもそうだとも考えにくいそうしたら答えは簡単だ…
「悪かった… ゲホッっ ハァハァ謝るから許してくれ… 」
「はぁ?開き直んじゃねぇ!」
天はまた頭を捕まれ腹に数回拳を入れられた
その拳は強くとても悲しみも込められていた
今度は吹き飛んだ机の方へ天も吹き飛んだ
その衝撃で重ねてあった机、椅子が崩れ落ちる
「謝ってすむとでも思ってんのか?謝れば自分の罪が消えるとでも思ってんのか?今までしてきたことが無かったことになるとでも思ってんのか?おい なんか言えよ!」
ドシャァん!
化け物の怒りが頂点に達した瞬間だった
憤りは収まるほどを知らず沸騰したヤカンのようだった
捕まれれば殴られ蹴られ吹き飛ばされた
気が済むまで殴られた
こんな濡れ衣があっただろうか?
身に覚えのない罪でこれほどまで痛めつけられ
罵倒され貶されることを
それでも天は反抗しなかった
この仕打ちはきっと神様かなんかが俺に罰を与えたんだ
そう思った
「なんか言えよ!オラァ!」
大きな腕を振りかざし椅子が吹き飛んだ
教室の中がぐちゃぐちゃになり原型を留めていない
化け物は腕をカマキリのような形に変形させた
「…俺を殺せば満足か?」
天は言った
命乞いでもないただここまで怒っているこいつに聞いてみたかった
こいつの目的が復讐ならそれでいいのだか天には違ってみえた
「…。」
明らかに動揺している感じだ
化け物は変形させた腕を見つめている
そして口を開いた
「満足…か。そんな一言で済む話を俺はしているんじゃない
でもこれではっきりわかった…」
交渉に成功したと天は思った
現状この方法でしか助かる道はないのだ
「俺は殺し足りないくらいお前を殺してやりたい!!!」
化け物の怒りは先程の200倍くらい爆発した
もう誰にも止められない
天は選択を誤ったいやこれが正規ルートなのかもしれない
ここで俺は死に
あいつに殺される
化け物がゆっくり足を動かし天に近づいていく
鋭く尖った刃を天の首に当てる
「これも同胞たちの思いだ…」
ザシュッ!
四肢が瞬く間に切り刻まれバラバラになった
もはや誰だか識別不能である
教室には化け物が肉塊を切り刻み1人て泣いている姿があった
10―おでん
日本 東京 某コンビニ前 午前7時40分過ぎ
なにかのキャンペーンなのかおでんが割引になっていた
100円セールなんてだったらいつもそうすればいいじゃない
向かいには警視庁本部
仕事に行こうとする途中アナウンサーにインタビューを受けられた
断ったのだかあまりにもしつこいため応じることにした
内容はお昼の番組の特集で使う題して
「もしも願いがひとつだけ叶うなら?」
ありがちでベタでテンプレでそんないちいち聞いていたらキリがないと思ったか今日はおでんが安かったので機嫌がよかった
私は愛想笑いをしながら答えた
「幸せになりたいですかね」
警視庁捜査一課第4特殊犯捜査官
そんな肩苦しい職業に着いているのは
栗宮 凛子 28歳 独身
黒髪長髪いつもひとつで縛っている長身美人エリートなんて言われてると聞いたこともある
誰が流したかわからない噂は捜査一課中に広まっているという
私はこの部署に配属されたのは過去の事件がきっかけ
同僚は殆ど男の人ばっかり
ほんとやんなっちゃうけどこの仕事が好きだから続けてられるし
あの事件が解決するまで私は死ねない
他の部署とは違いここは凄く除け者扱いされる
それは取り扱う事件が奇妙だから
一般の犯罪は窃盗、殺人、放火、などなど
それらも大変なのは重々知ってるけど
私もそれなりに苦労してんのよ?
愚痴をこぼしつつ第4の部署へ入る
「おはようございます〜」
「おはよう栗宮くん!今日も可愛いね〜!」
「あ、ありがとうございます〜ニコニコ」
軽くセクハラをしてくるのが課長の財前六輔さん
いい歳してんのに若い女の子と遊んでいるらしい
もっとわきまえてほしいものよ
デスクにつき荷物を置くもちろん朝ごはんのおでんも
課長は私が入れるコーヒーを待っている
それが日課になってしまったのが自分としてやってしまったと思った
「課長 コーヒーですどうぞ」
「わざわざありがとうね〜」
ご機嫌をとりすぐさま本題に入るとしよう
「課長今回の事件って?」
コーヒーを味わってるのに〜って子供みたいに膨れていたが
私が睨みつけたせいか課長の目がクワッっと開き説明し始めた
「えっとね2日前くらいからの事件でね…」
私は課長のこの瞬間の為に生きているのだと実感している
このでね…のあとに続く事件はあの事件のことかと毎回ソワソワしている
「連続凍死事件だね〜」
なんだ違ったかーでもやる気を失った訳では無いこれもこれで燃えてくる
「連続凍死事件ですか?これまた物騒ですね」
「そうでしょう?ここ2日で都内で3件も起きてるんだから」
「それで手掛かりとか犯人に繋がる証拠とかは?」
「栗宮くん…それがないからうちにまで回ってきたんだよね?」
「…課長 そうでしたね」
「現場にはもう蜥蜴澤くんがもう行ってるよ」
「え!早くないですか?私まだ朝ごはんも食べてないんですけど!」
「資料は机に置いておいたから見てね犯行が日時場所くらいしか載ってないけど」
「分かりました。ありがとうございます。」
課長と一緒についでしまったコーヒーをイッキ飲みし準備する
「行ってきます!」
私は現場へ向かう
事件を解決するために
あるひとつの答えを探すために
おでんが冷めないうちに
都内某所 白熊公園 午前9時25分
「おはようございます!蜥蜴澤先輩」
「おお 来たか おせぇぞ」
公園には鑑識の人はもういなく片付けられていた
蜥蜴澤は課長から貰ったであろう資料と現場を照らし合わせては
唸り合わせては唸っていた
「事件は昨日の夜中のようですね」
「ああ、通報があったのは3時頃公園に氷漬けにされた人がいたと」
「その人はそんな時間になにをしていたのでしょう?」
「犬の散歩だそうだ」
「犬ですか…私飼ってないからわからないのですかそんなに早く散歩に出掛けるのでしょうか」
「知らんけどいつもその時間で散歩してるらしいってお前、まさかその人を疑ってるのか?」
「いいえ、参考までに聞いただけです」
凛子は公園を見渡した
ジャングルジムやブランコ、鉄棒のあるごく普通のどこにでもある公園で当たりは集合住宅で到底ここで犯行に及んだとは思えない
普通なら
蜥蜴澤は近くにあったパンダの乗り物にまたがりゆさゆさ揺れて
ため息をついた
「今回の犯人の目的はいったいなんなんだ?被害者はこれで4人目だぞ はぁ…」
「先輩それを見つけるのが私たちの仕事ですよ」
「栗宮…お前課長みたいなこと言ってんぞ」
「え?そ、そんなことないですよ!それより…」
凛子は資料にあるひとつの写真を指した
そこにあるのは氷漬けの遺体が置いてあった場所の写真である
「この写真少しおかしくないですか?」
「むむ?どれどれ… んお!」
「お気づきになられましたか この写真には大切なものがなくなっています そう水滴の後です」
「なるほど…氷は水が固まったもの時間が経つにつれて溶け初め時期には下にある砂に水のあとが残っているはずと言うわけか」
「ご名答 先輩それにまだあります」
「むむむむ?」
「被害者の人は殆どいや全て男性です」
「そういえばそうだな 気が付かなかった」
「女性ならでは ですかね それとこの男性たち身長が高いです
資料からみてざっと176以上あるんじゃないでしょうか」
「ほほうそこまで分かるとはまぁ俺は分かっていたけどな」
「先輩も身長大きいですね幾つですか」
「俺か?小学校からでかかったなぁ中学校時代なんかそりゃもう…」
「幾つですか?」
「188だ…」
「そうですか ありがとうございます」
公園にいい歳した大人が気まずい雰囲気を作り出した
するとその張本人のケータイが鳴り出した
「もしもし?課長?ああ今ちょっとわかったことがあって言おうとしてたことろで…え、あ、はい… え?」
「どうしたんですか?」
深刻そうな顔をしながら凛子を見つめる蜥蜴澤
その額には冷や汗が垂れている
「たった今5人目の被害者が出た」