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23――紅い悪魔
天は暴走する―
己を罪を罪で消すために―
しかしそれは贖罪でも断罪でもない―
ベルトを腰に巻いた時、天はわかった―
この狂った世界から終焉を導かないとと…
そしてベルトから伝わって来た電気信号が天を目覚めさせたのだ
「この力さえあれば椅子に座るなど容易い…」
天は心の中で放った言葉だった
力を制御できず暴走するがままに暴れ狂い、目の前の動く物を片っ端からぐちゃぐちゃにした
瓦礫に埋もれた動く物体を手に取り、鷲掴みした
もう1つの物体から、なにか音が聞こえたが天にはどうでもよかった
天がベルトに触れた瞬間、砂時計型デバイスが電気エネルギーを物凄い勢いで生じた
その電気は天の右脚にまとい、ビリビリと放電している
「…ハアア」
猛烈なキックを物体に浴びせた
しかし手応えがなく、まるで空振りでもしたかのようだった
激しい雷が瓦礫を砂塵とかし、空気中を砂で撒き散らした
視界は砂で遮られなにも見えないが、天は力の限り連続してキックを蹴り続ける
ガシッ
と回し蹴りをとめどなく蹴り回していた時、なにかにぶつかった音がした
その時舞い上がった砂埃は一瞬にして爆炎で消え去り、天を止めた張本人が姿を見せた
「あーららーちょっとごめんな、あんちゃん。その脚をどけてくれねぇか?」
髪の色は紅く燃え上がるような色をしており、瞳の色は綺麗なレモンカラーで黒いマントを羽織っている悪魔がそこにいた
がっしりと脚を掴まれた天は、身動きが取れず抵抗しているとその悪魔はゴミをポイ捨てするかのように天を投げ捨てた
「…貴方は!」
「ま、マスター!?」
秘密の本姉妹は目を疑った
壁に叩きつけられた天は膝をつきながら立ち上がろうとしている
「オリア、アミリィ逃げるんだ。これは命令だよ わかったね?」
「うん」
「わかった」
オリアは薔薇を展開し、二人はそこへ逃げ込もうとする
させまいと天は一瞬にして稲妻の如く素早く、薔薇のゲートに近づいたつもりだったが、紅い悪魔の爆煙によって遮られる
「まぁなんとも異形なバケモンを生み出しちゃって…博士の尻拭いはいつも俺なんだから…はぁ」
「オ…マ エ、、ヤ ハ…ク ニ、ゲ…ロ」
天は瞬間的に意識を取り戻したが、ベルトの強大なパワーによって押し潰されてしまう
「え?なんか言ったか?まぁいい、えーっと罪状(暴力罪)(器物破損罪)(恐喝罪)(殺悪魔未遂)などいっぱいあるなぁめんどくせぇ…
あ、もう1つあった、(俺の仕事を増やした罪)だ。」
紅い悪魔は深呼吸をすると手を前に出して唱える
煉獄の聖剣
すると腕が突然燃え始め、腕を中心に炎が回りだしみるみるうちに剣の形を作り出した
剣から出る熱量は周りの空気の温度を上昇させ、床に触れていないにも関わらず焦げされるといった現象が起きた
「マ テ… タタカ イ タ…クナ?イ!」
天の心の叫びは紅い悪魔には届かなかった
それはそう、力のあまり暴走してしまったからごめんなさいとはいかないからだ
多分この悪魔は俺を殺そうとしているんだな…
天は現象が理解できずにいた
なぜ俺は異形の化け物に変身できたのか
思考が考えられる内に整理しないと思った矢先
「なにボォーットしてやがる? ば け も ん が!!!」
素早く懐へ紅い悪魔は入り込みそれはまるで不死鳥を示唆するかのようだった
剣を振りかざすが天は紙一重でギリギリ身をかわすが少し傷を負った
「なかなかやるじゃねぇか…でも 」
するとさっき切られた天の腕から血が噴き出した
焦げるように皮膚が熱く焼け、血が噴火した山のマグマのように噴き出る
変身した天の皮膚をも貫通する鋭さと強さ
頑丈なアーマーはまるでこんにゃくのよう
「グ ハッ… !」
「俺の刃で切られたらどんな物でも焼き焦がし、灰と化す!次はないぜ?」
天は叫ぶ
怒涛の怒りが己の眠った力を呼び覚ます
「ぐああああああああぁぁぁ!」
身体中に電気が帯びバリバリと音がする
ベルトが叫びと共鳴したかのように激しく反応する
天の姿を捉えられない程の雷がその身体を包む
切られた傷口はみるみるうちに消えていき跡形もなくなくなった
「何故だ!?俺の聖剣は全てを灰と化すはずが…馬鹿な!」
天はもう一度ベルトに触れる
「(雷界)」
とベルトが喋り、天の右手から強い電撃が集まる
すると雷が剣の形になり輝きを放つ
「ハアア!」
「上等だぁ…来いやぁ!」
最初に動いたのは紅い悪魔
音もなく天の背後へ回り込み背中を切りつける
しかし天はそれを知っていたかのようにかわしのけた
炎の剣と雷の剣
2つが交互にぶつかり合う時、空間が崩れるほどの衝撃波を生み出した
キンッ!キン!
今度は天が隙を見つけて相手を蹴り飛ばし上から遅いかかり切り刻もうとするが、紅い悪魔は火の鳥〈フェニックス〉になり攻撃をかわす
長く抗戦が続きお互いダメージを受けて動きが鈍くなっている
天は今しかないと思い、ベルトを2回タッチする
すると電気エネルギーが急速に右手の剣に集まりいつでも必殺技が出せる状態になった
だが紅い悪魔も自分の炎を最大限剣に注ぎ込み熱エネルギーを溜めている
凄まじいパワーのぶつかり合いが起こったらこの場は崩壊して生き埋めになってしまう
だか2人はそんなことはお構い無しに戦う
勝つために
相手を倒すために
「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
「うらぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
ドカァァン!!
力と力のぶつかり合いが起きる瞬間だった
時が止まったかのような、全てが停止した空間がそこにあった
止まったのは剣と剣が交差するほんの少し前であり
白黒の世界が誕生した
しかし実際は時間は止まっておらず
ただ、ある黒い悪魔がそれを阻止したのだった
「ふぅ、やっと探したぜ天!」
24――黒い悪魔
止まった時の中で颯爽と現れたと錯覚するのも無理はない
1秒を1000コマに区切っても早いくらいのスピードで
奴は目の前に出現し、運命を使ってぶつかり合う力を止めた
「失われた無盾!」
とこからともなく戦いの間に割って入り両腕を広げ唱えるとその悪魔から盾のような鎧が出て、2人の攻撃を受け止めた
普通なら一溜りもない一撃を2度も同時に受けて大事にいたるはずが黒い悪魔はケロッとしていた
まるでその盾が全てのエネルギーを吸収したかのようだった
いや喰らったような感じでもある
やり場のない加速した力を急にゼロにしたためか対峙していた2人は真逆の方向へ吹っ飛んでいった
天は辛うじて意識を保つも何故このようになったかまでは脳が追いついて行けなかった
ただ、一つだけわかったことがあった
「…アノ ン ?」
天は力尽き気絶した
途端にベルトも反応し変身が解除された
「あれれーあんたどっかであったことあったか?」
黒い悪魔が尋ねる
紅い悪魔も尋ねる
「貴様…なにものだ?」
「こっちこそ聞きたいね、あんたなんだろ?天を誘拐した親玉ってのは!そんなことは絶対させねぇ!」
すると紅い悪魔は高らかに笑った
しかし大きい黒いフードを、被っていて顔は見えなくなっている
「なにか勘違いしてはいねぇか?おい、そいつは実験の材料であって失敗作なんだよ。だから処分するんだ、わかったか?」
「意味がわからねぇ…」
「でもよかったな…時間切れだ、また会うかもなアノン」
紅い悪魔は全身から炎を出し火と共に消えていった
黒い悪魔は急いで後を追おうとするが遅かった
消え去った場所には灰の燃え滓が残った
黒い悪魔は天の側へ駆け寄った
酷くダメージを受けていてボロボロだった
「天!わかるか?アノンだ!しっかりしろ、そうだ!アムアスに治して貰おうぜそれまでもう少しの辛抱だ!」
アノンは天を担ぎ歩き出した、アムアスのいる風変わりな町へ
しかし町では大会が開かれており、会場には黒い太陽のビフロスの姿があった
コロシアムの一番てっぺんの柱に立っている
「あー、リー遅いじゃない!待ちくたびれたようち!ん?あの悪魔はこっちへ向かった?おっけーわかったよーはーい」
テレパシーの原理で脳内で会話をするビフロス
通話を切り、満面の笑みをしながら目を見開く
「さぁうちも張り切ってきたよー!さぁなにをしようかなぁ」
メガネをくぃっと上にあげ、大きい胸の位置を確認して固定させる
大会開始まであと2時間―――
投稿頻度を上げればもっと有名になって沢山の人に読んで貰える?
が ん ば り ま す !