justice
――19怒り
アノンは金属で出来た頑丈な鎖に縛られていた
吹き飛ばされた影響で家の壁には大きな亀裂がはいっていた
幸いにも腕と胸の当たりにだけの範囲だったので歩くことはできた
その鎖はとても重いのか縛れていくうちに力がだんだんなくなっていった
これではまずいと重い体を動かすアノン
「アムアスはどこだ?…」
ひとまず友人の行方が知りたかった
停電でブレイカーが落ちたと言っていたから家にはいるはずと探そうとした
すると部屋をでてすぐの廊下でアムアスは横たわっていた
気絶しているらしく意識がなかった
「なんなんだ…あいつらは…!」
突然怒りがこみ上げてきた
お姉ちゃんと言っていたから姉妹であろう2人は天を誘拐しアムアスを気絶させアノンを鎖で縛り上げた
目的は天のようだった
いったい天がどのようにして人間だと知りどのようにしてこの場所が分かったのか
なにもかもめちゃくちゃにされ何も出来ずにただいただけの自分を呪った
その時アノンの怒りが頂点に達した
「うらぁぁぁぁぁ!」
激しい闇の炎がアノンを包み込み鎖を溶かし引きちぎった
すると効果がなくなったのか光の粒子になって鎖はあとかもなく消えていた
このまま怒りのままに全てを破壊してやろうとアノンは思ったがそれでは解決にはならないと憤りを自ら沈めた
すると気が付いたのかアムアスが目覚めた
「うっ…!頭が…アノン大丈夫かい?ひひ」
「馬鹿言え!何された?おい、しっかりしろ!心配してるのはこっちだ!」
アムアスはまだ目が泳いでいて意識はハッキリしていないが
一生懸命にアノンに自分がやられた事を伝えた
「あの姉妹は危険だ…ココ最近で噂になったいたがまさか本当にいるとはねひひ、やられたよ…」
「噂?どんなんだ?」
「秘密の本って名乗ってる盗賊だ…狙われたら最後命は奪わないが狙われた物は全て取られちまうって…」
アノンはなにか閃いたかのように目を見開いた
それは昔からの癖でアノンは閃いた時耳のピアスを指で少し弾くことをアムアスは知っていた
「秘密の本…おもしれぇ 〈oneness〉副隊長を前に舐めた真似をやってくれるじゃねぇか!」
「お前…副隊長だったのか?」
アムアスの渾身のツッコミを背中に受け家から飛び出した
友人がそんなに偉くなったのかと安心したのかアムアスは目を瞑った
――20覚醒
「おい起きろ人間!おめーに聞きたいことがあるの!」
威勢のいい元気な声で目覚めたのは一体いつ頃だろうか
身体はアノンが縛られていたのと同じように手首から腹、最後に足首にかけて椅子に縛られていた
ピクリとも動かない動くとすれば首くらいだろうか
薄暗い牢屋みたいな場所であり地下牢であろうと思った
遠くのところで水が滴れる音が聞こえる
現状から分かることがあるならば俺は監禁されているということだ
「お前…椅子のありかを知っているようじゃないか?我々に教えればなにも危害は加えない」
2人の姉妹の姉の方であろう悪魔が天に尋ねた
「お姉ちゃんを怒らすと怖いんだからね!鬼のオリアなんて言われてるくらいだから」
「アミリィそれは脅しになってないわ」
どうやってここから脱出しようか天は2人の会話を耳にせずそれだけを考えていた
必ずこの危機的状況を脱する方法はあるとなにかの本て読んだ覚えがあるからだ
実際にあってみなくてはわからないものだが、いざ会ってみると途端にその方法とやらは気温から消えて使えない
周りを見渡すと鉄格子の窓が2つあり鉄のドアが部屋を閉じ込めているように周りは金属製の壁
どう考えても不可能に近かった
アノンのように戦闘用のスキルがあれば話は別だが天にはなにもない
「おい、聞いているのか人間」
鬼のオリアは天に向かって言った
その眼差しは冷たく冷酷であり慈悲など欠片も感じない
「俺はなにも知らない…本当だ椅子についてもさっぱりなんだ」
天は自分の記憶を見つけるように探るがもちろん覚えていない
「ちぇ!お姉ちゃんダメだよコイツ〜身体に聞くしかないよ〜」
妹であるアミリィがとんでもない提案をした
オリアはため息をつき、縛られている天を見つめる
「…待てアミリィ落ち着け」
「えー早く在処を探し出してさっさと帝国へ上げちゃえばいいのに〜」
天は反応した
「帝国」というワードに違和感をもったからだ
「おい…帝国ってそいつらに頼まれた仕事なのか?」
天は怒らせないよう慎重に尋ねた
「お前には関係ないことだ我等の質問にただ答えるだけでいい、でだ、お前は本当に椅子の在処は知らないんだな?この鬼のオリアに誓うか?」
「ああ…知らない聞いたことも無い…早くここから出せ!」
「そうか…残念だ、アミリィ頼めるか」
「了解だよお姉ちゃん」
オリアはどこからともなく金属製のベルトのようなものを取り出した
それをアミリィに渡しイマイチ使い方が分からないのか戸惑っている
天の腰に巻き付こうとしているようだ
とても危険な代物の匂いがし逃げようとするが残念なから縛られているため動けない
「(椅子は…お前が知っている…)」
突如脳内に響く聞き覚えのある声が聞こえた
いつ聞いたのか覚えていないが何故か知っていた
「俺は知らない!覚えてない!分からない!」
自分が自分じゃなくなるくらいおかしくなりそうだった
文字通り狂いそうだった
「スキあり〜!」
アミリィが腰にベルトを巻き付けようとしたが天が暴れてベルトは弾き飛ばされた
「痛〜」
「大丈夫かアミリィ」
「お姉ちゃんコイツ生意気…ムカつく!」
「そうね…少し痛い目合わないと分からないようね」
アミリィは手から鎖を召喚し鞭のように振るい威嚇する
オリアはそっと見守っているが…
「なにをする気だ…?」
すると2人の姉妹は同時に天を鞭で叩き始めた
顔から足までボコボコにされる天
連携が取れていて左側を叩かれてはすぐさま右から鋭い鎖が飛んでくる
天は鎖で縛られている為抵抗も出来ずひたすら受けるしかなかった
気づいたら血だらけで当たりは血の海になっていた
「こんだけやっても吐かないなんて…」
「お姉ちゃんまだ足りないよ…」
2人は息を切らして肩で呼吸をしていた
天は殴られている間あの声について考えていた
「(椅子は…お前が知っている…)」
なんで俺は椅子につきまとまれるんだ?
なにも知らないのにどうして知っていると言うんだ?
俺は誰だ?
意識が朦朧としてきた時不意にベルトに目がいった
先程天が足で弾き飛ばしたのが壁の下にあった
あのベルトは…?
「アミリィ今だわベルトを付けて」
やはり嘘発見器のような機械なのであろう
この際なんでもいいから誤解を溶けるならなんでもいいと思っていた
ガチャリ…
アミリィが天の腰にベルトを付けた
天は激しい電撃を受けエネルギーが放出した
たちまち姉妹たちは壁に打ち付けられた
先程の影響で天を縛っていた鎖ば壊れ粉々になっていた
牢獄が半壊したこの場所で砂煙が上がっていて天の様子が見えない
視界が開けた時、そこに居たのは無傷で半裸の人間が立っていた
男の目は緑色に光っていて、頬には黒い稲妻のような筋が浮かび上がっていた
「お姉ちゃん、どういうこと!?」
「あのベルトは帝国がもしもの時に使えって渡されただけで効果は…」
血だらけだった身体も傷ひとつなく鞭で叩かれた後もない
なにがなんだか2人の姉妹は理解できなかった
すると何処からか天は砂時計を取り出した
それは砂の入っていない砂時計時に水になる不思議なアイテム
天が目覚めた時に持っていた唯一の私物だった
砂時計を前へ突き出し構える
そしてベルトへ叩きつけ装填した
「変身…」
落雷のような雷が天空から天に落ちて来た
激しい衝撃波がたちまち牢獄をぶち壊し外が丸見えになる
天は異形の化け物へ姿を変身した
その姿は角が2本複眼で体中鋭い牙が飛び出していて見るからに悪魔のようであった
「悪魔…」
「お姉ちゃん…なんかやばそう」
腰を抜かして立ち上がれないでいる姉妹には関係なく天はゆっくりと歩み近づく
「…」
すると天はアミリィの髪の毛を鷲掴みしみぞおちにパンチをかました
勢いよく吹き飛ばされたアミリィは壁にめり込んだ
オリアは運命を使い、立て直そうとするが素早く背後に回り込まれ強烈なキックを叩き込まれる
ボロボロになる姉妹だが天は無言で蹂躙を繰り返す
その時天はピタリと止まった
そしてベルトに軽く触れた
ベルトにはめられた砂時計の中に稲妻が走り電撃を起こし右脚に留まる
「…ハアア」
エネルギーが込められたキックを浴びたら死んでしまうと思い逃げようとするがアミリィはピクリとも動かない
「逃げて!アミリィ!」
「お姉ちゃん…」
アミリィに悪魔のキックが襲いかかった
更新速度が遅くてごめんね
色々あってさー忙しい季節だもんね
春は出会いの季節!
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ではまた次回!




