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心の中の風邪  作者: 龍之介
4/5

私の入院日記 その4

 入院してから一週間が経った。

 少しづつだが、病棟の雰囲気にも慣れてきた。

 病院には、毎日決まったプログラムがある。

 月曜日=カラオケ。

 火曜日=ビデオ鑑賞会。

 水曜日=書道、絵画。

 木曜日=卓球。

 金曜日=自治会。

 そして、土曜日と日曜日は特に何もない。つまりは『フリータイム』というわけだ。

 もっとも、このプログラムというのは、必ずしも全員が強制的に参加させられるわけではない。

 参加したい人は参加すれば良いし、したくなければしなくても構わない。

 その人達はずっと自室で横になって好きなように過ごしていてもいいのだ。

 私たち四人、ヤマダ君、カガミさん、オオタさん、そして私は、意外と気が合ったので、いつも一緒にいることが多かった。

 プログラムは割とこまめに参加していたが、ただ、カラオケは皆に人気があるので、一人につき大体一曲くらいしか歌えないし、、卓球は卓球で、これまたやけに張り切る他の患者さんがいるので、ラケットを独占されてしまいがちになる。

 一番楽なのはビデオ鑑賞だ。

 何もせずにぼうっと時間まで見てればいいんだから。

 これで大体、午前中は時間が潰せる。

 そうして午後12時10分になると、昼食の時間である。

 ご存知の方もおられるかもしれないが、病院の食事ってのは、三食どれも、単に栄養のバランスがいいというだけで、お世辞にも『美味しい』といえるものはあった試しはない。

 それでもまあ、これしか食べるものがないのだから、文句も言えない。

 僕ら4人はいつも固まって食事をしていた。

 気が合う仲間同士とだと、何故か楽しかった。

 午後からは、特に何もない。週三度の入浴の時以外、夕食じかんまで、みんな思い思いに過ごして構わない。

 正直いって、何もやらないこの時間が一番楽しいのだ。

 テレビの置いてある談話室とは別に、少し離れた場所にソファが置いてある面会室のような一角がある。

 他の人はそこへは滅多にやってこない。

 だから、私たち四人は座って、いろんなおしゃべりをするのだ。

 私は病気になる前から、あんまり共通の話題を持った友達がいなかった。

 親や兄弟とも、仲が悪かったわけではないが、優秀で、それぞれがそれぞれの仕事に忙しく、あまり話をしている暇がなかった。

 ここへ来て、初めて自分の仲間が出来たような、そんな感じがした。

 

 


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