第四話 【特殊技能】の使い方
「【神帝】?」
俺は思わず尋ねる。
「あぁ、そうだ。神の中で頂上にいる最高神だ」
そう言って、彼はこっちを向いた。
「君には力の使い方を覚えてもらわないといけないんだ。【創造権能】なんて【神之欠片】なのに……フランが渡すから……」
面倒くさそうな予感がするんだけど…
「じゃあ、まず【ステータス】って言ってみようっか・レッツ・ドゥーイット」
「【ステータス】」
今の謎の英語は無視して、【ステータス】と唱えてみる。
【漂流者】天野翔
【ランク】Ⅰ
【天職】
【特殊技能】
【創造権能】
【技能奪取】
頭の中で情報が浮かび上がってきた。
「うーん。カスだな~」
神帝様はそう言って笑ってきます。なんということでしょう。神が人を貶しているではありませんか。
「じゃあ、とりま、【創造権能】の使い方を教えてあげるよ。【創造権能】は【権能】の一部であって、【特殊技能】の中でも最上位に位置するものだよ。で、この力は『創り出す』力だ。禁忌に触れること以外だったらなんでもだ」
彼はそう言いながら、こちらに歩いてくる。
「【権能】の中でも創造は貴重だ。だって……」
そこで一旦止める。
「【技能】さえ作れるんだから」
「えっ!?」
俺は一瞬、驚く。俺のゲーム知識が正しければそんなのただのチートだ。普通、技能は取得条件が難しいものとかもある。【創造権能】。すごすぎる。
「じゃあ、まず創ってみよっか。なんでもいいからさ。やりかたは簡単。それを思い浮かべること。以上!」
俺は言われた通り、思い浮かべる。
どうせなら、良いものを創りたい。そうだな。なんか、【魔法】的なものを創りたいなー。
【【魔術】を創造しますか?】
頭の中で声が響いた。思わず、声に向かって尋ねる。
(誰?)
【【魔術】を創造しますか?】
それしか言ってこない。
(わかった。創造して)
【【属性】はどうしますか?】
(じゃあ、火で…)
【【火属性魔術】を創造します……完了】
「創り終わったみたいだな」
「はい。【火属性魔術】にしました」
「【魔術】か……まぁ、いっか。次は【技能奪取】の使い方を説明したいけど。僕忙しいからね。フランを呼ぶから待っててねー」
軽そうな感じで、何もない空間に話しかける。
「フラン―。仕事だからねー」
そこにはフランがいる筈がないのに……と思ったがフランの声が聞こえてきた。
「あっ、わかりました。ありがとうございました」
そう言った後、フランが現れた。
「ふぅ。面倒でした」
えっ、逃げ切ったの? それとも……いや、なんでもない。
「えっと、どこまで説明してもらいましたか?」
「【創造権能】の使い方までです」
「そうですか。じゃあ、【技能奪取】の使い方の説明をしましょうか」
彼女はそう言って一息つく。
「まず、技能の詳細を開きましょうか。技能名を言った後、詳細と唱えてください」
「【技能奪取】詳細」
俺が呟くと、ホログラムの画面が現れた。
【技能奪取】
【分類】技能系
【希少度】特殊
【説明】対象の技能を奪える。奪える技能の【希少度】は特殊まで
「説明文にもある通り、対象の技能を奪えますが、自分より格上の者の技能は奪えません。ここで定義される格上とは、ステータスのランク欄のことです」
「僕は今、Ⅰだから、誰からも技能を奪えないんですか?」
「いえ、同ランクの者から奪えます」
彼女はそう言いながら、目の前に動物を創った。
「では、この狐から技能を奪ってみましょう」
【妖狐】
【ランク】Ⅰ
【技能】
【幻視】
となっている【妖狐】のステータス。
「対象に十秒以上触れるか、死んでいる対象をで奪えます。まぁ、殺してしまえばいいのですが、人を殺すと咎人になりますからね。あまり、殺らないように気を付けてください。今回は十秒以上触れる方でいきましょうか」
「わかりました」
俺は狐に触ってみる。一、二、三……十。
【技能【幻視】を【妖狐】から奪いました】
「成功したみたいですね」
俺は頷く。
「じゃあ、私がもう【第八世界】に送ります。アドバイスとして、【空間属性魔術】を創造しておくと便利ですよ。それと【創造権能】は人だと一日に一回しか行使できません。それでは【転送】」
言い終わると、光があふれ始めて、視界が歪み始めた。目を瞑る。
「それでは……」
その声がどんどん小さくなっていき……目を開けると、そこは――
――木々が溢れる森の中だった。
現在のステータス
【漂流者】天野翔
【ランク】Ⅰ
【天職】
【特殊技能】
【創造権能】
【技能奪取】
【技能】
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【魔術】
【火属性魔術】←New