閑話 神様たちのお話
「あれでよかったんでしょうか」
私、フランは愚痴る。先程、私の世界に送った少年のことを考えていた。
「そんなこと言ってていいの? 僕が忙しいところに駆けつけてあげたのに」
【神帝】が言った。
「いいですよね。兄様は……自由にできて」
「そうでないよ。僕は僕の仕事があるからね」
私はお遊びを止め、【法典守護天使】を消し去った。後で、【天帝】さんに差し入れを持って行こう。
「【第八世界】のバランス加減はどうなの? あいつ入れても大丈夫なの?」
「大丈夫です。一応、あれが本当の力を手に入れたら危険ですが、【ランク】があがらないことには始まりませんからね」
「そっか。【権能】は僕たちの力の一端なのにね。……どうなっても責任は持てないよ」
そう。本来、こういうことがあろうとも、絶対に【権能】系統は渡さない。なぜか。自分の力の一端であるからである。
「【世界創造】レベルの創造ができなくなってるだろう。【創造権能】にランク制限をかけても、お前の力は弱まるだけだぞ」
確かに、今の私の力では到底、世界一つを創造することができない。【世界】という概念は無限の可能性を内包していて、神の中でも、上位に位置する【創造】の神たちにしか扱えないものだ。
「まぁ、でも、長くても数百年だろう。死んだら手元に帰ってくるさ。もしも、不死にでもなったら、そいつを殺してやるからさ」
【神帝】である兄は沢山の権能を持っている。その一つとして、【抹殺権能】というものがある。対象を完全に抹殺。いなかった者にするというでたらめな権能だ。それが例え、不死だろうと完全に殺す。ただ、条件が一つだけあるが、まぁ、大したことない。
ちなみに、私は【生命権能】なんてのも持ってたりする。生命に関する、ありとあらゆる能力を使えるというものだ。
「他にも転生者を送ってるようだけど、大丈夫か?」
大丈夫ですと答えたかったが、そうはいかなかった。結構、力を使った。その結果……
「まともに【創造】すら使えなくなるぞ」
「分かってます!」
私は答える。【神帝】は溜息を吐き、苦笑いをした。
「さて、じゃあ、そろそろいくわ。元気でな」
と【神帝】は手を振りながら、行ってしまった。
私は逆に悩みの種が一つ増えたと溜息を吐きながら、神界へと戻る。




