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第三十三話 幻想の使い手 前編

 「はぁ」


 俺は溜息をつく。

 ここ一週間。鍛錬と勉強を繰り返して、疲れが溜まっていた。


 「鍛錬と勉強ばっかだしな。たまには、何か事件でも起こってくれないかな?」


 なんて、不謹慎なことを声に出しつつ、内核区へ向かう。王都の中でも最も王城に近い区画のことを内核区とこの国では呼んでいる。内核区から少し離れた場所にある貧民街スラムやそれより離れた外核区などがある。

 内核区には一流の職人や貴族が住んでいる。


 今日はある魔術師に術式を教えてもらうために来た。


 「ここか」


 そこには……はっきり言ってしょぼい家があった。ただし、土地のサイズは内核区の中でも一、二を争うレベルの大きさだ。

 一応、付けてみましたというような門。その前には門番が居て、紹介状を見せると通してくれた。


 しかし、中に入ってみると、そこはまた別世界のようだった。白亜の宮殿とでも呼ぶべきだろうか。外からとは見た目がだいぶ違う。幻想の世界に入り込んだようだ。


 「お待ちしておりました。天野様でございますね」


 思わず、宮殿に見とれていると、横から声がした。思わず見ると、燕尾服を着た、如何にも執事と言った人がいた。


 「ようこそ、我が主の宮殿へ。さぁ、主様がお待ちになれていますので、どうぞこちらへ」


 と案内してくれた。


 中はどんな様子だろうか。



 ▼



 まず、目に入るのが、深紅のカーペット。外壁とは違う色が目に飛び込む。そして、そのカーペットは二階へと続いている。

 壁には幾つもの絵画や牙や角などが飾られている。


 「さぁ、行きましょう」


 執事は俺の前に立ち、二階への階段を上がった。


 「ここが主様がお待ちになられている部屋です。どうぞお入りください」


 入ってみると立派な革のソファーが手前に、机が置かれていた。

 少女と言っても差し支えないだろう。可愛らしい女の子が椅子にちょこんと座っている。


 「ようこそなのじゃ。妾はこの館の主にして、イルシャ。【幻想】という二つ名をもっておる。よろしくな」

 「イルシャさん。こんにちは」


 そう彼女は大陸屈指の固有術式を持った魔術師だ。


 「それでは、【幻想秘術】を教えてもらえますか」

 「あぁ、仕方がない。お主のような小童に教えるのは癪じゃが、教えたる。我が秘術を」


 今日の目的はこれだ。


 王女からの紹介状で普通では教えてもらえない秘術を教えてもらう。ぜひ、教えてもらって、力にしよう。

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