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第一話 創造神

 どこだろう?


 そこは真っ白な世界だった。

 重力はしっかり働いているが、土もなく、水もなく、見慣れた青い空もない。上を見上げ、あるのは青空の変わりに真っ白な空間。平行感覚や遠近感覚がなくなってしまいそうだ。


 ここは死後の世界なのかなと俺は感じた。でも、それにしては何も無いんだな。お花畑や三途の川とかあるのかと思ってた。


 俺は思わず笑ってしまう。なんだか、落ち着いている。死んで落ち着いてるのだろうか?


 「はぁー、死んじゃったなー」


 俺は倒れこむ。でも、倒れない。微妙に宙に浮いてる感じがする。


 「これで、終わりか。十六年間、短かったな」


 でも、最後に人の命を救えたんだ。立派じゃないかという声が自分の内から聞こえる。


 なんだか、自然に涙が出てくる。


 「あの、泣いてるところ、悪いんですけど……」


 後ろから声がして、振り返ってみる。


 「本当にぃ、すみませんでしたぁ!」


 そこには、同い年くらいの女の子がいた。金色の長い髪、蒼い目。髪は結ばず、シンプルにおろしていた。そんな髪と目の色をしていながら、顔は外国人というより、日本人に近いかもしれない。でも、誰がみても美少女だと言える女の子がいた。


 「えっ、誰?」


 俺は驚きながら、そう尋ねる。すると、女の子は落ち着いて、自己紹介を始めた。


 「あ、すみません。そうですね。私はフランといいます。フレリアーナ・アレスト・デウスです」


 長い名前だな。天野翔という漢字三文字とは違う。まぁ、本人が言っていたフランでいっか。


 「私はあなたの世界とは別の世界の【創造神】、つまるところ、最高神に当たる者です。この度は私が手違いで殺してしまい、本当にすみませんでした」


 ふむ。うん。わかった。一つずつ確認していこうか。


 神様、しかも別世界の最高神が目の前にいる。OK。理解した。うん。突っ込みたい。

 その神様が俺に謝ってる。OK。理解した。うん。とっても突っ込みたい。

 そして、その理由が俺を手違いで殺してしまったと……えっ、どゆこと? てことはまさか……


 「て、手違いってどういうことですか?」


 俺は微妙に理解しながら、神様に聞く。


 「まぁ、簡単に言うと、手が滑ったってところですね」


 眩しい。美しいまでの笑顔。日がこぼれるような笑顔。だが俺は許せないんだが……


 「神という存在は世界の創造者でもあるんですよ。私はあなたがたの世界の神ではありませんが、神として、干渉・・する権利はあります。まぁ、あの星はおいしいスイーツがそこそこあります。違う星にも美味しいものはありますがね。まぁ、それで、干渉したのはいいですが、あの場に出てしまったのです」


 そこで彼女は一息ついた。


 「そう。あなたが轢かれ、宙を舞ってるあの場に」


 じゃあ、あの時、僕が見た美しい女は……


 「私は咄嗟にあなたにここに来る術式をかけました。神術を下界で使ったせいで今、縮んでるんですけどね」


 彼女はそう言って笑った。


 「しかし、先ほど調べてきたら、あなたはあの後に救急車ですぐ運ばれ、数週間、眠りについた後、元気になったそうです。殆ど、瀕死だったから、てっきりもう死ぬと思ってしまって」


 まぁ、確かにあの場面を見れば、そう思うだろう。死んでしまうから助けようとした。普通に女神だ。


 「なので、私の権限によってあなたは私の世界で復活することができます」


 転生ということか。それも異世界転生。最近ラノベのようだ。でも、それはもしかして……

 

 「地球に戻れないということですか?」

 「はい。残念ながら……でも、私の世界も自慢になってしまいますが、いい地ですよ。ただ、地球とは大分違う地なので、あなたが生活していけるか、心配ですが……」


 俺は考える。確かに彼女の性で死んでしまったが、それは善意であって、わざとじゃない。

 しかも、ここで断ったら、俺は真の意味で死ぬ。なら、ここは親切に受け入れておいた方がいいんじゃないか?


 「わかりました。そうします」

 「では、私からあなたに能力を授けましょう」

 「能力ですか?」

 「そうです。違う世界で過ごすのはやはり身体的にも、精神的にも疲れます。それを楽にするためにですね」


 なるほど。確かにその通りだ。

 フランはそのまま説明を続けた。


 「あちらには、【個人情報ステータス】という概念があります。【個人情報ステータス】を開くと、【技能スキル】が見れます。【魔術】という概念もあるので、地球風にいうと、ゲームみたいな世界というやつですね」


 なるほど。小さい頃に遊んだゲームにそんなものがあった気がする。


 「わかりました。どのような能力を。もらえるのでしょうか?」

 「そうですね。まずは【特殊技能ユニークスキル】ですね」


 そう言って、彼女は光を生み出した。

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