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第二十六話 王

 「聖王国親衛隊隊長、アーガスだ。貴殿を王の命令により、王城への招待が来ている。時間を頂くがよろしいか」


 外にでるなり、四、五十歳ぐらいの男が声をかけてきた。


 「あぁ、うん。勿論」


 俺はいきなり声をかけられたことに驚いたが、受け入れる。というか、後ろに数人、強そうな人がいるしね。反抗的な態度はとれない。


 「では、【転移術符】を使って、王城までいきますので」


 と言って、一つの札のようなものを取り出す。


 「【転移】!」


 彼はそう言った瞬間、眩い光が俺を包む。なんか、【転移】ばっかりしてるような……



 ▼



 王城の目の前についた。


 大きな門の前に門番が立っている。


 「止まれ! 身分証を提示せよ」


 門番が言ってくる。


 「あぁ、これだ」


 隊長さんはそう言って、紋章のようなものを出す。


 「【光よ示せ】」


 唱えた瞬間、紋章から燐光が漏れる。燐光は青く、何やらサインのようなものを創り出した。俺でも読めるということは聖王国語だろう。


 聖王国第五代王、フィブ・アレスト・キングの名の下に


 と書かれている。名前にキングって入るって、恥ずかしくないのか? 後で、アルに聞いてみるか。


 「確認しました。本物の隊長ですね。どうぞ、お通りください。王がお待ちです」

 「わかった。行こうか」


 親衛隊は走り出した。俺は急いで後を追う。



 ▼



 王城は広かった。うん。マジで広かった。しかも、豪華絢爛。

 室内は豪華なシャンデリアに赤いカーペット。廊下の随所に置かれている装飾品。全部が一級品だろう。庭もあり、広大かつ整然としていた。維持費にいくらかかっているのだろう。


 「こちらで王がお待ちになっています。ここからは私とあなたしか入ってはいけないので」


 そう言って、彼は部下を解散させた。


 「さぁ、どうぞ」


 開かれた扉の先にいたのは、若い青年だった。


 「やぁ、君が天野翔君か。待っていたよ」


 青年は微笑んだ。


 「僕が聖王国五代目、フィブ・アレスト・キングだ。気軽にフィブと言ってくれればいい」

 「ですが、王。さすがにそれは……」


 隊長が止めにかかる。まぁ、当たり前だ。王を気安く名前で呼ぶなんて無礼極まりない。


 「君、僕が良いって言ってるんだから、良いに決まってんだろ。口出すをするな」


 王は少し怒気に籠った声で言う。


 「……わかりました」

 「ならいい。アルから話は聞いている。転生者らしいね。しかも、【異界勇者】の卵かもしれないと」


 うん。まぁ、そうなんだけどね。


 「緊張しなくていい。【異界勇者】の卵なら聖王国は全力で補助をする予定だから」

 「なぜですか? 僕が【異界勇者】になれるかもしれないということはアルから聞きましたが……」

 「隣の隣の国、まぁ、つまり帝国がこないだ【異界勇者】の卵を見つけたことを発表した。現在、アルという【異界勇者】がいるが、あちらに【異界勇者】を獲得されるとヤバい。ただでさえ、帝国は強い。軍も所有している冒険者も格違いだ」


 そう言って、王は溜息を吐く。


 「この大陸を支配している大国は三つ。その中でも、我が国と帝国が二大国家がとして君臨している。しかし、軍事、経済などで見ると、帝国の方が優れている。今回の【異界勇者】を帝国が獲得してしまったら、それこそ帝国一強になってしまう。それだけは避けたいのだ」


 理に適っている。帝国一強になってしまえば、帝国の発言力なども上がるだろうし、この国は危なくなるだろう。


 「まぁ、だからどうだろう。色々な補助などはする。聖王国側についてくれないだろうか」


 王はこちらに頭を下げた。


 さて、どうしようか。

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