第二十二話 組合で絡まれるのは絶対テンプレ
「小僧! ここから出てって方がお前の為だ」
彼はそういうが、俺はもう冒険者登録しちゃったし……もしかして、これってテンプレ的なやつ? 「おい、お前みたいな軟弱そうなやつがー!」的な……
「あの、失礼ですが、なぜ出ていなかないといけないのですか?」
「そりゃあ、お前が弱そうだからだ。魔獣や魔物と戦闘していく職業柄、ひ弱だとそんなことできないぞ。だから、やめておけ。もうちょっと、鍛えるなりした方がいいぞ」
本気で心配してくれてる感がある。
「僕は魔術を使えます。武術の技能も持ってますし、そこまで弱いと思いませんが」
「駄目だ。魔術師がソロで戦闘に出るとか死にたいって言ってるようなもんだぞ。魔術師で武術の技能を持ってるなら、確かに優秀だが中途半端だぞ」
うん。正しい。正論だ。魔術を使えると言っても、後衛職だから前衛の戦闘技術を煮詰めることはできないし、本気で前衛を目指すなら魔術を学ぶ必要性がない。
……
あれ? この人、本当に親切心で言ってくれてる? いやいや、まさか、ギルドでごついおっさんに絡まれたら、絶対にまでは言わないけど、殆どテンプレだと主人公圧勝で勝つあれでしょ。わかるよ、そんぐらい。
「俺の息子はなぁ、お前ぐらいの年だった」
うん? 急に語り始めたぞ、この人……
「だがな、死んでしまったんだ。魔獣との戦闘で……強くさせてやろう。強くさせてやろう。そう思っていた俺は空回りしてた。お前くらいの年のやつが冒険者になって死んだらどうするんだ!」
彼は叫んだ。周りの人が痛い人を見ているかのようだ。
「冒険者は文字通り、生きるか死ぬかの戦闘の繰り返しだぞ。やめておけ」
うん。なんか、滅茶苦茶重くない? ちょっと、悲しくなってきたんだけど、どうしてくれんの?
「あの、でも、冒険者登録したんですけど」
「……一歩遅かったか。うーん。なら、仕方ないから、お前の実力を見てやる。組合内の闘技場に来い」
「実力を見るって一体?」
「つまりだ。お前に勝てとは言わんが、それなりに良い戦いができたら、お前は立派に冒険者としてやっていける力がある。でも、なかったら……それはお前から冒険者カードを剥奪するように組合長に言っておこう」
「それ、僕に利益があるんですか?」
負けたら、冒険者カードの剥奪……勝ち、もしくは善戦で、冒険者継続。やってられない。
「なら、俺にもしも勝てたら、百万ゴールドをやろう」
あっ、この世界の単位ってゴールドのなんだ。某RPGみたい。
「わかりました。今からですか?」
「なら、それでいい」
彼は頷いて、こっちに来いというように手を振った。




