第二十一話 組合のルール
「おっ、冒険者カード、貰えたか」
途中から見てたアルは言った。
あれから、組合から組合に在籍する上でのルールを説明された。
「冒険者の方々にやってもらう仕事は沢山あります。一番、有名なのは魔獣や魔物の討伐ですね。魔獣や魔物の身体の一部、または魔結晶を討伐証明品として提出して頂きます。成功報酬はお金ですね。基本的に他の方々からの依頼を受けてなので、常駐の依頼以外で、自由に魔獣や魔物を討伐されてる方は珍しいですね」
「質問いいですか?」
「はい。どうぞ」
「魔獣や魔物の討伐証明品を壊してしまうぐらい激しい魔術戦闘が行われた場合、どうなるんですか?」
まぁ、俺が経験するかは否としてだな。
「魔術職の方に多い質問ですね。基本的に魔結晶が割れてしまうのは、魔力を直接、注がれた時かぶつけられた時です。魔術は基本、自己体内で完了するので、体外魔力……魔素や精霊などを使われる場合は別ですが……」
「わかりました」
「なら、次に移りますね。次は冒険者カードについてです。冒険者カードには機能があります。一つは表示機能。自分の魔力を流すことで、自己の【個人情報】を開くことができます。裏側には、冒険者としての資質、冒険者ランク、迷宮の攻略情報などが表示されます。冒険者としての記録がメインです。ここまでで質問は?」
「ありません」
「では、次はランクについてです。冒険者の中では組合が決めたランクに沿って依頼があります。例えば、高ランクな依頼は高ランクな冒険者が常です。ランクは最初、Fから始まり、SSSまであります。カードで表示はされませんが、+や̠が付いている場合があります。ランクを上げるには基本的に依頼の達成数、達成率、態度などですね。ちなみに、A以上は冒険拠点国から名誉貴族にならないかとお誘いがあります。カードも併せて金色になります。それ以下はグレーです」
うーん。ランクを上げても名誉貴族になりたいわけじゃないしな……あっ、勿論、【異界勇者】になりたい訳じゃないけどね。
「わかりましたか? 最後に組合内でのルールです。まず、冒険者に対し、暴力、殺人行為などの一切を禁じます。当たり前ですね」
俺は思わず頷く。というか、なかったら、殺人とかあったってことか? ヤバいな、それは……
「次に魔獣討伐依頼の受理はランクの高い者が優先されます。ランクが高いと成功する確率が高い訳ですから、基本的には高いランクの者にやって頂いております。更に、お金の貸し借りについて。お金を貸し借りする時は組合を通してくれると嬉しいです。というかそうした方がお得です。では、最後になりますが」
ここでいったん息をつく。
「ここでは力が全てです。力があるものが基本的に全て優先権を持てます。だから、まず強くなることから初めてはいかかではないでしょうか」
そう、最後にそう締めくくり、説明は終わった。
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「いや、でも毎回思うけど、あの説明、長いよね」
「確かにそうだな」
俺は密かに共感した。表立って、そんなことは言えない。
「じゃあ、僕は先に宿に帰ってるからね」
そう言って、彼は出ていった。
うーん。俺は何しよう。
そう思ってる矢先、首をつかまれた。
「おい、小僧! ここは子供の入る場所じゃねえぞ」
という声が響いた。




