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第十九話 始めての王都

 「さて、じゃあ出発しよっか。といっても、僕たちはそんなに動かなくてもいいんだけどね」


 彼はそう言って、手を振る。俺の下に小さな魔法陣が形成された。


 「それじゃあ、しゅっぱーつ!」


 その声と共に俺は眩い光に包まれ、転移した。


 ▼



 着いた先は小高い丘の上だった。丘からは街が見えた。


 始めての異世界の街だ。


 「ここが聖フラン王国の王都だ」


 彼はそう説明してくれる。


 街、改め都はとても美しい街並みだった。白い壁を基調とした家が多く、中心部らしきところには大きな城があった。恐らく王城だろう。


 「さぁ、中に入ってみよう」


 俺は彼にそう言われ、中に入るために門に向かった。



 ▼



 「入都手続きでよろしいですか?」

 「いや、僕だよ。僕、君なら知っているはずだよ」


 いやいや、そんなはずがあってたまるかと突っ込みを思わず入れたくなった。だって、そうだろう。いきなり、「やぁ、君、僕のこと知ってるよね」と言われるようなものだ。

 が、その男はじろじろ見た後にあっと驚いた顔になった。

 ……まさか、わかったのか?


 「【製作王アイテムマスター】のアルフレッド様!」


 えっ? それで通れちゃうんの?


 「最高責任者を呼んできます!」


 彼は走っていた。


 俺はそんな姿を後ろから見てた。


 「……お前、何やってたの?」

 「【異界勇者】だから顔が広くてね。多分、殆どの人が僕の存在を知っているよ」

 「嘘だろ。マジかよ」


 俺は半ば言葉を失いかけたが、気を取り直した。

 間もなくして、最高責任者がやってきた。腰には剣を付けている。いざとなった時の戦闘用だろう。


 「失礼しました。勇者様。この度は聖フラン王国、王都までお越し頂きありがとうございました。今日はいかがなさいましたか?」

 「王に会いたくて来た。この者の件についただ」

 「了解致しました。一日後に、連絡がいくことになると思います。宿はこちらで決めさせてもらいますが、よろしでしょうか?」

 「あぁ、勿論」

 「承知しました。では、宿まで送り届けます」


 めっちゃ丁寧な口調で対応しているぞ! おい、絶対お前の方が年長者だろ! 最高責任者さん? 【異界勇者】の影響強すぎだろ!


 とか脳内で突っ込み合戦をやってる間に会話が終わっていた。


 一旦、俺らは席を立ち、宿に向かうことにした。



 ▼



 宿は豪華絢爛な王室用の場だった。

 貴族でも滅多に入れるものはいないそうだ。


 「勇者様だ。スイートルームを頼む」

 「……わかりました」


 受付嬢は一瞬、焦ったような表情になったが、すぐに平静を装って部屋に通してくれた。


 「こちらがスイートルームでございます。結界魔術で空間を断絶しておりますので、完全な防音です。過去の勇者様が提示なされた異世界の宿を再現したものとなっております」


 中に入ってみると、広い空間が広がっていた。


 「ここが寝室です。ベッドは【白雪狼】の毛を使っており、ふかふかでございます」


 確かに寝てみると、ベッドはふかふかだった。クローゼットらしきものをある。


 「こちらが風呂というものです。水はそちらの魔道具を使って頂くと出てきます。逆にそちらの魔道具を使って頂きますと、上からお湯が出てきます」


 シャワーもお風呂も完備か。


 「こちらがリビングでございます。朝食、昼食、夜食。いつでも料理長を呼んでください」


 料理長を呼んでまで料理を食べれるなんて、相当な接待だな。


 他にも色々な部屋が付いていた。


 「これで説明を終わらせて頂きます」


 丁寧にお辞儀をして去っていった。


 「王様はまだ、来ないらしいから。待ってよっか」


 彼はそう笑顔で言ったが、もうなんか突っ込み切れなくって疲れて、俺だった。

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