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第十五話 製作王

 その扉は異質な黒い光を放っていた。


 「呪いの扉かよ」


 俺はそう呟きながら、どうしようかと考えていた。こないだの箱みたいな気持ち悪い感覚は嫌だ。

 いや、悩んでも仕方ないか……触るだけ触ってみよう。


 俺は意を決し、異質な光を放つ扉に触れた。


 扉に触れると、波紋が広がり、無数の式が現れた。そして、電撃のようなものが走った。


 「ッ!」


 俺は弾かれるようにして、後ろに下がった。


 「侵入者ですか」


 上から声がした。俺は警戒する。


 上を見てみる。が、何も……誰もいない。不思議だ……確かに声がしたのに。と思った瞬間、横から声がした。


 「主様の魔力の香りがしますね」


 主様が誰かはわからないが、優しそうな声。もしかしたら、話せばわかるかもしれない。


 「君たちを攻撃するつもりはない。頼むから戦わないでほしい」

 「確かにそうですね」


 肯定の声が響いた。


 「ですが、排除します」


 同時に何が走る。それは紫電だった。紫色の雷が俺を貫こうと迫ってくる。俺は後ろに避ける。鼻が焦げたように熱く感じる。


 「避けますか。では、これはどうですか」


 姿は見えないが、魔術が放たれた。先ほどのような俺一人に撃つ魔術ではない。広範囲を攻撃するような攻撃だった。


 一瞬で紫色の雷が辺りを走り、俺に迫る。



 ――防げない。直感的にそう思った。



 咄嗟に上に飛んだ。その判断は正しかったのか。俺は攻撃が当たらずに済んだ。地面擦れ擦れを巡っていた紫電が止む。


 「避けてるだけでは無駄ですよ」


 視えない何かが言ったところで、膨大な何かが動いた。そして、膨大な式が駆け巡っているのがわかる。



 ただ、それが起動する前に機械音がなった。


 〘主の魔力を検知……認識【パンドラの箱】......個人部屋プライベートルームロックを解除〙


 ギギギー


 古い扉が開いた時のような音がしたと思った瞬間、扉が勢い良く開いた。


 「えっ?」


 俺は思わず変な声をあげてしまう。


 膨大な何かがもとに戻った。


 触っても大丈夫だったみたいだな。さて、中はどうだろうか?


 ただ、俺が中に入ろうとすると、「待ちなさい! 動くと殺しますよ!」という脅し文句が聞こえた。だが、俺はパッと入ってしまう。すぐさまに侵入者を防ぐように扉は閉まり、声は聞こえなくなった。


 中には色々なアイテムで埋め尽くされていた。杖や宝箱、剣や斧など、あからさまな中世の品が大半だったが、中にはスマホのような現代機器もある。


 「これは……誰が作ったんだ?」


 俺は一人で呟く。異世界の知識がないと作れない代物なはずだ。


 「それは僕さ」


 俺の後ろから優しそうな声がした。後ろを勢いよく振り向く。



 「やぁ、初めまして」


 カツンッカツンッと歩く音がする。


 「新たな転生者君」


 なぜ知ってるのかと問う前に続く言葉に驚嘆する。


 「先輩として名乗ろう。【製作王アイテムマスター】のアルフレッドだ。前世では、高橋和也。この世界へようこそ」


 彼はそう名乗った。


 「君の名前を聞いてもいいかな」


 続けて聞いてきた。警戒するようにぶっきらぼうに告げる。


 「……翔。天野翔だ」

 「そうか。これからよろしくな」


 それは俺の生涯の親友となるアルフレッドとの出会いだった。

 あれ、十四話で初めての人と対峙? あれ?

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