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第八話 力は奪うもの

今回は千文字未満です

 「でも、出会わないのが一番いいんだよな」


 くねくねとした曲道を歩きながら言った。明かりは火の球で代用して、なんとかしているが、それでも前方しかわからない。後ろから来られたら、詰んでしまう。


  俺は【探索】があるが、五十メートルまでしかわからず、もし【探索】に引っかかるレベルの近さに来られたら、それこそ大ピンチだろう。


 でも、曲道が本当に多いな。ここ、洞穴じゃなくて、洞窟だったか。しかもドンドン出口から離れている。一応、方向感覚はある方だと思うけど、これ以上いくと、帰る時に迷うかもしれない……


 と思っていた矢先だった。



 ――【探索】に何かが引っかかった。動いてる。



 うん? あれ、早い……しかも、こっちに向かってきてる……?


 そして、曲がり道から現れた巨大な茶色の動物……



 あれ、もしかしてさっきの熊?




 「グォオオオ!!!」

 「ギャー!」




 俺は悲鳴を上げる。そして、走りだす。本当にマジでヤバいって……


 熊は、巨体とは本当に思えないスピードで突っ込んできた。俺に一番近づいた時、薙ぎ払うように腕を払った。



 間一髪避けるも、風が吹き、俺は一瞬体勢を崩す。しかし、そのまま魔術を使う。


 「【火球】ッ!」


 頭の中で無数の文字列が走る。身体から何かが抜け落ち、火が具現化する。


 「ハッ!」


 俺は熊の眼を目がけて、【火球】をぶつける。



 熊はそれを防ごうと腕を上げる。しかし、一瞬だけ俺の方が速かった。

 火は熊の眼に当たり、今度は熊が体勢を崩した。急所だったのか、そのまま悶絶している。熊は地べたに這いつくばる。


 熊はこれ以上、攻撃できない。




 せっかくの隙。逃すわけにはいかない!




 俺には【技能奪取】がある。体の一部に十秒触れれ続ければ発動する。なら、俺は触り続ければいい。


 俺は熊の身体に触れる。



 一秒、熊は突然触られたことに驚いたように感じだ。痛みに耐えながらも立ちあがる。


 二秒、熊は俺の手を振り払おうと身を捩る。


 三秒、四秒、五秒。激しく暴れているので、俺はグワングワンと飛ばされそうになる。が、俺はなんとか触り続ける。


 六秒、身を捩っても駄目だった熊は、爪で抉ろうとしてくる。この近距離で当たったら即死かもしれない。


 七秒、さらに腕で薙ぎ払おうとしてくる。


 八秒、九秒、俺はしがみつき、必死に耐える。


 だが、これで終わりだ。


 十秒。


 カウントが終わり、一気に頭の中を情報が駆けめぐる。



 【技能スキル【体術】【移動術】【黒熊流武術】を【黒熊】から奪いました】

 【技能スキル【黒熊流武術】を【武術】に変換しました】


 これ以上は不味いと思い、俺は咄嗟にその場から逃げた。


 新しく手に入れた【移動術】のお陰か、素早く動く方法がなんとなくだがわかった。


 熊は突然、力を失ったからか、動きが圧倒的に鈍くなった。



 俺は一旦、避難した。

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