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オタクはチートを望まない  作者: 福島 まゆ
第6章 この街に新産業を!!
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第94話・ベアルの現状

これからも、がんばっていきます!!

感想や、誤字、脱字などありましたら、どんどんお寄せください!!

「えへへ・・・カイトとおそろい♪」


「・・・・良かったな。」


「いいな、わたしもおそろいしたいな。」


「ヒカリ、この服は、領主か監督官のみが着ることを許される、特別な礼服です。 私でも、着ることはかないませんのよ?」


「ふーん? お姉ちゃんが着られないなら、いいやーー」


おそろいの、白い宮廷衣装のような服を着る、カイトとノゾミ。

それをうらやましがる、魔族のヒカリ。

それを押しとどめる、カイトの妻のアリア。


先日の『ノゾミ伯爵爆誕事件』から、早いもので二日。

今日は、ここベアルで住民に、ソギクの話ついでに、領主の挨拶あいさつを俺がした後、バルアへ転移して、そこでも領主の挨拶をする予定だ。

その二日で、両方の街に、お触書ふれがきみたいなのをあちこちに貼って、事前告知したらしい。


ここまでの二日間、アリアには『領主の挨拶あいさつ』の、猛特訓をさせられた。

いや、あれは死にそうになったね。

当初は、ノゾミもこれに参加していたのだが、途中何回も寝たので退場させられたのだ。


結果、カイトがバルアの挨拶分あいさつぶんまで、覚えることとなったのだが・・・・


(皆様、今日はお日柄もよくえ~~~~~と・・・・)

カイトは、移動中の今も覚えさせられた、領主の挨拶あいさつを、心の中で復唱していたのだが・・


(わたしが、この街の領主の、カイト・・・あれ、なんか違う?? いや、良いよな?)

二日の特訓程度では、カイトでは覚えられようはずもなく、しょっぱなから内容を忘れてしまっていた。

オツカレサマである。


(よし、こうなったらベアルでは、『ソギク作って、街を大きくしましょう!!』 バルアでは、『俺がこの街の監督官だぞ☆』でいいよな?)


いいわけあるかい。

それでは、どこかのバカな大道芸人である。

でも、カイトはバルアの街で、大道芸人まがいのことをして、若干有名になってしまっているので、あながち間違いでもないだろう。

当の本人は、知るよしもないが。


アリアから教えてもらった、領主の挨拶あいさつの内容を、まったく思い出せないカイトは、これで妥協だきょうすることにしたのだった。

アリアに言ったら、メチャ怒られるので。

大丈夫。

話の大事なことは、忘れていない!!

カイトは、屋敷の扉を開け放ち、外に設置されている挨拶台あいさつだいへと、進んで言った・・・



◇◇◇


「領主様。 私にはそんなに広大な畑を管理するなど、無理ですじゃ。」


「わしのところも、二年ほど前に嫁夫婦が出稼ぎに王都へ行ってしまってなあ・・・」


「あたしも、女手一つじゃあ・・・・」


「領主様の言いつけなら、わしはこの老体にむち打ってがんばりますぞい!!」


目の前にいるのは、ベアルの住民35人。

残りの3人は、病気で来られないらしかった。

まあ、それはいい。

予想していたことだ。

しかし・・・・・・・・


「なあ、この街の住人って、もしかして老人ばかりなのか?」


「は!  申し上げます!! 60代以上の方が34人。 40代の方が3人。 10代の方が1人となっております!!」


俺が、後ろを向いて質問をすると、騎士の一人がそう、報告してきた。

超高齢社会だった。


少し考えれば、分かる話である。

この寂れた街に、どんな人間が残るというのか、という事。

働き盛りの男手が、仕事のないこの街に、残っているはずがなかった。

とどのつまり、残っているのは病人と、老人くらいだ。


ベアルの、ソギク栽培その後、産業発展計画は、早くも頓挫とんざした。

にわかに、ヤル気まんまんの、ご老人が幾名か見受けられるが、無理はさせられない。

カイトはまたも、自分の考えの浅さに首をしめらることとなった。


魔の森の一部を、カイトが開墾かいこんしてそれを領民に与える。

領民には、高く売れる作物を栽培してもらい、それを暫定的に領主が買い取り、市場に流通させる。

もちろん、適正価格で買い取る。

この街が発展するまでの、応急措置だ。

なるほど。

商会ギルドのないこの街で、異議を唱えるものは少なそうだ。


だが、それに従事する者・・・・・

つまり、この街の住人の実態が、かなり大問題だった。

彼らに合わせ、少ない土地を開墾するという手もあったが、それでは街の復興にも程遠い。

とどのつまりである。


「分かりました・・・・ 皆さん、後から具体的な計画や、皆さんに合った作業量の調整などを行ってみます。 今日はお集まりいただき、ありがとうございました。」


人数も少ないせいか、パラパラと豆でも取りこぼしたような、そんな音が屋敷前に響き渡る。

領主様の挨拶あいさつは、予定より、何十分も早く終わってしまった。

本来なら、ここでその、具体的な計画とかを、この住民たちと話し合う場を、設けるつもりだったのである。

しかし現実は、超高齢社会のせいで、今の計画のままでは、実行に移せなかった。

集まってくれた街の住民たちも、「よっこらせ!」という声とともに、家路についていく。

その一連の行動が、街の再興計画の頓挫とんざを、暗に示していた。


ヤバい・・・どうしよう?


「カイト様? 演説ご苦労様です、と言いたい所ですが、後半は仕方ないにせよ、前半のアレはなんですか? 私がお教えした演説はどこへ行ったのですか? ・・・カイト様? もしや・・・・・・」


般若はんにゃのような顔を、こちらへ向けてくるアリア。

例の、お母さんモード発動である。


・・・ヤバい。 こっちもどうしよう・・・・・・


この後、カイトは演説終了予定時刻まで、アリアの特訓を、こってりと受け続けるのだった・・・・

なかなか話が、進みません・・・・・・

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