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オタクはチートを望まない  作者: 福島 まゆ
第6章 この街に新産業を!!
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第93話・バルア監督官

これからも、がんばっていきます!!

感想や誤字、脱字などありましたら、どんどんお寄せください!!

「ノゾミ・・・・のようですわね。」

アリアが目の前に、紙を広げ、ノゾミの名を口にした。


・・・・・・・・・・・ん?  今俺たち、何の話していたっけ?


え~~~~っとぉ・・・・・・

そうそう!

バルアで国王様から、何か書状見たいのを受け取ったんだっけ。

それで、今はアリアに読んでもらってるんだった。

俺が読んでも、分からない内容とか、ありそうだからね。


その内容は確か・・・・

思い出した、思い出した。

ベアルの領主を選出するんだっけ??


確かその者の名は・・・のところでアリアが、いったん言葉を区切ったんだっけ?

・・・・・。

いや待て。

そこでなぜノゾミの名が出てくる??

まさか・・・・・


俺が『まさか・・・』と言った表情を、アリアに向けると、彼女はコクリとうなづいた。

そこには、諦めたような感じも見受けられる。


「そのまさかですわ、カイト様。 あなたが今しがた行った、バルアの領主がノゾミになってしまったということですわ。」


言っていることが分かりません。

ちょっと・・・・・いや待って?

それって決定なの??

ノゾミが、領主様??


伯爵はくしゃくの称号を、与えられるようですわね。」


「え、何?  私に何か、くれるの??」

アリアの『与えられる』という言葉に呼応し、キラキラした目を俺に向けてくるノゾミ。


国王様がね、『バルア』って言う街をくれるらしいよ。

ついでに伯爵様にしてくれるんだってさ。


あまりにも分からない事態に、しばし思考を止める俺。

しかし、アリアの言葉はそれでとどまることはなかった。


「・・・・以上がこの書状の内容になりますが、これは建前ですわね。」


「建前?」


「ええ。 領主一人には、ひとつの領地しか与えられぬ決まりになっているのです。  ですが、父上・・国王は、バルアの地も、あなたに押し付けたかったようですわ。」


王様からの、書状をくるくると巻き、ノゾミに手渡すアリア。

ノゾミは、それを武器とでも誤認したのか、ブンブンと振っている。

楽しいことでも見つけたかのように、ヒカリもそれを借りて、同じことをする。

国王からの書状が、トンデモ無い扱われようである。


「ちょうど、程よい人材がいなかったようですわ。  先日のお姉・・ルルアムの一件以来、貴族の汚職調査が進んでいますからね。 そのあおりが強いのでしょう。」


「ちょ・・・・待ってくれ!! だからってどうして、ノゾミなんだよ!?  アリアにも、兄弟姉妹とかいただろ!?」


アリアは、王位継承権第十五位とか聴いたことがある。

つまり、上には十四人いるはずだ。

その誰かに、あげればいいだろう。

・・・・領地をあげるあげないって、なんか変だけど。


「お姉さま四人は、すでに他国などへ、とついでおります。 十人の兄弟や従兄弟のうち、半分ほどが汚職に手を染めていたようですわね・・・・」


哀愁漂あいしゅうただよう感じに、そう言うアリア。

すごいな・・・・

そこまでの政治腐敗って・・・

いや、この場合は、『貴族腐敗』か?


「残った従兄弟二人は、すでに領地を所有しておりますし、兄四人もすでに領地持ちか、王位継承のために王宮にります。 適任がいなかった、と言われればそれまでですわ。」


「アリアとか、他の身内は・・・・?」


「・・・・・・カイト様。 私はあなたの妻ですわ。  領地をたまわることなどできません。 私の身内も、さっき言った者たちか、すでに隠居していつ死んでしまうやも分からない、ご老体の者ばかりです。 新たに領地を、というのは難しいでしょう。」


「俺に、押し付けるって言うのは・・・?」


「文字通りですわ。 建前上はノゾミが領主で、実際の監督は、あなたが行うのです。」


なんてこったい。

こっちは、ベアルだけでも死にそうなのに。

ノゾミが領地をもらって、それを俺が監督??

わけが分からん。

たしかに、俺でもヤバいのに、ノゾミが領主なんて無理があるように思う。

っていうか、ノゾミは決して、この領地から出ようとしないだろう。

俺や、アリアがいる限りは。


「ちなみにですが、これをつき帰すことはかないませんわよ??」


「え、なんで!?」


いま、まさにそうしようとしていたのですが!!

クーリングオフって、七日間は有効なはずだよ!?

日本の知識だけど。


「・・・ふつう、これは本人が受け取る前に、国王が内容を読み上げるのです。 その上で承諾した場合にのみ、書状は受け取るものなのです。 ・・・だというのに、あなたという人はまったく・・・」


うなだれるアリア。

クーリングオフ、不能らしい。

だから、あの時王様は、さらっと何か言った後、俺に書状を押し付けて、逃げるように去っていったのか・・・


「こういった書状は、地位のある代理人が受け取ることも容認されているのです。 それが、あなた様ですわ。」


俺を、ちょっと責めるようにそう言い放つアリア。

怖い。

その目、怖いです、アリアさん。

しかし・・・・いったい何が、何がどうなって・・・・!


「・・・俺が、あのバルアまで・・・・?」


自分を指差して、再度質問をする俺。

俺は、知らぬ間にトンデモ無いことをしてしまったらしい。

現実逃避をしたいがために、アリアに質問したのだが・・・・


「ええ、そうですわ。 仕方がありません。 カイト様、この街の再興も含めて、がんばってまいりましょう。」


現実は非情だった。

ベアル領主兼、バルア監督官。

俺にそんな称号(?)がついてしまった瞬間だった。




そして・・・・・


「カイト、この髪留め、似合ってるかな?」


「・・・ああ。 似合ってるぞ?」


「えへへ・・・ お土産、ありがとうね?」


おそらく、歴史上初めての人外の、貴族(伯爵)様誕生の瞬間だった。

あの、ヘラヘラ笑っていた王様には今度、厳重に抗議に行きたい。


作者自身、『マジかい。』って思ってます。

これからも、よろしくお願いいたします。

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