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オタクはチートを望まない  作者: 福島 まゆ
第6章 この街に新産業を!!
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第92話・国の勅状

これからもがんばっていきます!!

感想など、ありましたらどんどんお寄せください!!


「あなたは、馬鹿なのですか?」


「はい、ごめんなさい。」


俺の目の前で、仁王立ちして腕を組むアリア。

帰ってきて早々、玄関くぐった途端にこれだ。

おれは、自然と正座の体制をとってしまった。


「今、この街の財政は逼迫ひっぱくしております。 それはご存知ですね?」


「・・・・・はい。」

ご存知です。

領地の住民38人の力は伊達ではありません。


「今は、小銅貨一枚たりとも惜しい限りです。 だというのに・・・・・ なんですか!? このガラクタは!!?」


そう言って、彼女が指差すのは、俺がお土産にと、バルアからみんなに買ってきた数々の品。

といっても、一人一個ずつなのでさほど多くは・・・・

いや、結果として量は多くなったけど、高い品ではないから問題は無いように思う。


「カイト様。 下々の者たちのことも考え、メイドや騎士達の分まで用意したその考えには賛同いたしますわ。 ですが、時と場所を考えてくださいまし!! 」


「はい、ごめんなさい。 次から気をつけます。」


このお土産の数々は、冒険者をやっていた頃の稼ぎから代金は出したので、問題は無いはず。

無いはずだが、アリアの言い分はごもっともなので、反省だ。


「そしてこの種!! あなたはいったい何を考えているのですか!!」


ん?

それはお約束のソギクの種だよ?


「あなたはいったい、どれだけの範囲を耕作地にする気ですか!!???  これでは、このべアル領すべてを耕作地にしても種が余ってしまいます!!!」


えーーーーーーーーーーー!!???

三袋だよ!?

一袋の大きさは、身長170センチくらいのアリアの三分の二くらい。

そんなに多くは見えないのに!?


「ソギクの種は、一粒一粒がとても細かいのです。 少しの量を撒くだけで、多くのソギクが実るのです。」

そう言って、アリアは手のひらに袋の中身をすくって見せた。

・・・本当に小さい。

ちょっとの鼻息で、飛んでしまいそうなぐらい小さい。


「こんなにたくさん、使い切れませんわ! いったいあなたは、バルアでいくら散財してきたのですか!!?」


はて、宿泊費と、お土産代のもろもろを合わせたらいくらになるだろうか?


「え~~っと・・・・銀貨三枚くらいだったかな?」


そういった途端、さらに表情を厳しくさせるアリア。

え・・・・やっぱり使いすぎた??


「カイト様。 怒りませんわ。 私は怒りませんから、正直に言ってください。 これだけのものを買ってきておいて、銀貨三枚で済むはずがありませんわ。」


ギコギコと、般若はんにゃのような顔をこちらに向けてくるアリア。

美女の相乗効果からか、怖さは一級品だ。


「ち・・・違う、違う!! まずは話を聞いてくれ!!」


「なんですか? うそつきはゴブリンの始まりですわよ?」


ともかく、このままでは食い殺される未来しか思い浮かばない。

言い訳がましく、バルアでの出来事などを、かいつまんで説明すると、徐々に彼女の表情も柔らかくなっていった。 

っていうか、最後にはどーでもいい話でも聞くかのような感じになった。

一緒に行った、メイドさんたちからの証言もあって、俺がうそをついていないことは証明された。


「・・・・分かりましたわ。 あなたが、ありえないくらいに運が良くて、おバカな事がよ~~~く、分かりましたわ。」


怒られることは無かったが、ディスられた。

俺ってそんなに、バカだろうか?

今度、イリスさん辺りにでも聞いてみよう。



「それで? 父上から受け取ったというその書状は、どこへしまったのですか?」


「ああ、それならここに・・・」


なんか大事っぽい気がしたので、服の裏ポケットに入れておいていたのだ。

アイテム・ボックスで運ぶより、こうして運ぶほうが、持ち運ぶときに『大事』って気がしてさーーー。

そう、気分の問題だ。


「おや、まだ中身は確認されていなかったのですね・・・・ 中身を拝見しても、よろしいですか?」


「うん、いいよ~~~~~?」


こういうときは、アリアも俺に一応、許可を求めてくる。

一応今は、俺の顔を立ててくれているらしい。

でも、正直な話、彼女が俺を今はどう思っているのか、かなり心配だ・・・・


「・・・・・・・・・!!!!!???????????」


リボンを解き、中身を広げて真ん中辺りまで読み進めたところで、硬直してしまったアリア。

何か、あったのだろうか?


するとアリアが、俺のほうへ未だかつて見たことも無いほど青い表情で、俺に視線を向けてきた。


「・・・・・・どったの?」


「カイト様は・・・この内容はご存知なのですか?」

そう言って、書状を指差すアリア。


「いいや? いきなり国王様の押し付けられたから。」


『よろしく頼む』とか言われたから、魔物退治でもしろとか書いてあるのかな?

途端に、さらに表情を暗くするアリア。

頭まで抱えだして・・・いったい何があったというのだ!?


「はああ・・・・・カイト様らしいですわね。 ここには、こう書いてあるのですが・・・・・」


要約すると、あのバルアの街のバルカンとか言うバカ貴族が、貴族を辞めさせられたらしい。

なんか、不正ばかりしていたんだとさ。

うむ。 悪者には天罰じゃ。

でも、それって俺には関係なくない??


「彼は、あの街の領主だった者です。 それが解爵かいしゃくされたとなると、バルアを監督する、新しい領主が必要となるらしいですわ。」


そうだろうね。

誰がするのか知らないけど、がんばってね。

あの街きれいだったから、汚さずにいてくれるとうれしいかな?


「そこで、国の議会で話し合いがされたようですわ。 誰を後任にするか・・・・と。」


ふーーーーーん。


「決まったので、こうして勅状をしたためたようですわ。」


ん?

勅状??

命令書ってやつ??

何でそんなものを俺に?

アレかな。

『この人を領主にするから、賛成してあげて?』みたいな。

喜んで、賛成してあげましょう。

国がす位なら、よほどの大人物に違いない。


「その者の名はーーーー・・・・・・。」




『中身は、きちんと確認してから受け取りましょう。』

そんな言葉をこの日、俺は学んだのだった・・・・・


区切りが悪くてごめんなさい。

次話は、明日に投稿いたします。

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