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オタクはチートを望まない  作者: 福島 まゆ
第6章 この街に新産業を!!
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第91話・なんかもらった?

これからもがんばっていきます!!

感想など、ありましたらどんどんお寄せください!!

「バルカン伯様!! 緊急事態です!!」


バルアは、気候も温暖で、この屋敷の部屋のドアも、開け放たれたままになっている。

私は、この街の領主たる、バルカン・ゼド・バルア伯爵はくしゃくである。

人呼んでバルカン伯じゃ!!

愚民共ぐみんどもよ、よく覚えておくがいい。

私は将来、この国を牽引けんいんする尊き存在なのだからな!!


私はそんな寛大かんだいな領主なので、いきなり入ってきたこのバカ秘書にも、おとがめは無しじゃ。

そんな愚民ぐみん一人にかまっている時間は無いのでな。


「なんじゃ、騒々しい。 もっと落ち着いてから、報告は持ってこんか。」


「申し訳ございません、バルカン伯様。 しかし、まずいことになりました。」


「まずいことじゃと? まさか、国へ上納する税金を一部、横流ししていたことがバレたわけではあるまいな?」


他にも、バレたらまずいことならいくらでもある。

まあ、バレても政府高官に賄賂わいろでも送って、もみ消してもらうがな。

それぐらいは、日常茶飯事じゃ。

緊急事態というほどでもない。


「違います。 国王陛下が、この街へご到着されたとの事です!! 用件は、バルカン伯様の解爵かいしゃくだとか・・・・」


「な・・・なんじゃと!!????」


今までも、お忍びという形で国王が、この領地を訪れることは幾度かあった。

だが、今回は違う。

解爵かいしゃく

つまり、貴族としての地位を奪われるということ。

しかも国王御自ら、その勅状ちょくじょうを・・・・・・・

そんな、バカな・・・・・!!!

今までは・・・


「た・・確かめるぞお!!!」


「お・・お待ちください、バルカン伯様!!」


こうしてはいられない。

早く事実関係を確かめて、財産をすべて、隠さねば!!


守銭奴領主しゅせんどりょうしゅは、大急ぎで屋敷から、王都方向に向かう城門へと向かった・・・



◇◇◇



「昨夜は、申し訳ございませんでした。 大公様。」


「いいって、いいって。 あと、その『大公様』って呼び方を直してくれるとうれしいな。」


「ありがとうございます。 たいこ・・・・いえ、カイト様。」


俺の数歩後ろを歩むメイドさんが、俺に恐縮至極きょうしゅくしごくといった感じで、声をかけてくる。

昨日、無事にソギクの種を手に入れた俺達。

まだ昼過ぎだったこともあり、今から転移でべアルへ帰ろうとしたところで、メイドさんの一人の顔色が、非常に悪いことに気がついた。


体調がすぐれないのかと、聞いてみると、どうやらそうではなく、今夜の宿を取ってしまったという事らしい。

もう少し、交渉に時間がかかるかもしれないと思った彼女は、いつの間にやら、宿を予約してしまったようだ。

当然、俺の名で。

宿というのは、当日に宿泊キャンセルすると、キャンセル料を結構取られる。

相場は、七割くらいだろうか?

かといって、これを知らん振りすると、名前に傷がつく。

簡単に言うと、その町で金輪際こんりんざい、宿に泊まれなくなるのだ。


で、俺は思った。

キャンセル料を取られるくらいなら、宿泊したほうが得じゃないか、と。

どうせ、この街に来ることはそう、無いだろうし、今はウキウキ気分だ。

こんないい街、観光位していきたい。

アリアだったら、キャンセル料払ってトンズらしていただろうが、俺的にはそれは惜しい。


ということで、この街に泊まることになり、俺は他の五人とともに遊びまくった。

もちろん、荷物は全部、俺のアイテム・ボックスに放り込んで・・・・

海に行ったり、カフェでお茶をしたり、魔法で大道芸人まがいの事をしてみたり。

他にもいろいろ。


実に楽しかった。

と、いうわけで今日こそはベアルに帰る日だ。

俺たちばかり、遊んでしまって非常に申し訳ないので、屋敷の人たちにお土産を買って帰る事にする。

ノゾミには、魚の形をした髪留めでいいかな?

ヒカリには、このクラーケンの皮でいいかな?

アリアは・・・・・難しいな。 安物買ったらゴミと間違われてしまいそうだ。

騎士の皆さんには、さや袋かな?

メイドさんたちには、この魚風のブローチを・・・

シェフには、魚の干物でいいかな?


そんなことを考えているうちに、あっという間に時間は昼になった。

せっかくだから、昼食もここで摂ってから帰ろうとしたところで、街の中央を通る、街道が妙に騒がしいことに気がついた。

何かあったのだろうか?

そう思い、ヒョコッとヤジウマ達の間から、顔をのぞかせてみると・・・・



ちょうど、王様が乗った馬車が、俺の目の前を通り過ぎるところであった。


ヤバい。

今、何かすごく不吉な予感がした。

サッと首を引っ込めた俺。

しかし、場所もそれに呼応するように、俺の前辺りで停車した音が聞こえた。

ここで逃げると、面倒くさい事になりそうなので、俺も動きを止める。


ササッと、俺の前にいたヤジウマ達が、兵士に道を開けられる。


「おお!! やはりカイト殿ではないか!! このようなところで会うとは奇遇きぐうですな!!」


わははっと、俺に向かって両手を広げて歓迎の意を表してくる国王様。

当然、俺達は注目の的である。


「おや、アリアはいないのですかな?」

周囲の視線をまったく気にかける様子も無く、キョロキョロと、辺りを見回す王様。


「今日は、ちょっとした買い物で、おもむいただけですから。 アリアは家で留守番です。」


途端に、残念そうな表情になる王様。

俺がいるから、アリアもいると思ったのだろう。

会いたかったのかな?


「そうか・・・ べアルはなにも無い街だからな・・・・」


あんたが言うな、という言葉がのどまで出て来るのをこらえる。


「しかし安心せよ!! もう大丈夫じゃ!! ここであったのも何かの縁!!  これをそなたにたくす、よく励むように!!」


「はあ・・・・?」


王様が、そういって差し出してきたのは、赤いリボンで結ばれた、筒状のナニカ。

なんだか賞状っぽい。


「ではスズキ公よ! また会おう!!」


「はあ・・・・?」


そう言い残し、王様は再び馬車に乗り組み、ガラガラと音をたてて、去っていった。


いったい、何だったのだろうか?

俺はその賞状を、ロクに確認しようともせず、そのままベアルへと戻った・・・・



そもそも、国王がなぜ、この街にいたのか、ちゃんと少しは考えるべきだったと思う・・・

前半と、後半で一日のブランクがあります。

バルカンが猛ダッシュしていた頃、カイト達はハントさんと交渉中でした。

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