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オタクはチートを望まない  作者: 福島 まゆ
第5章 大公様とベアル
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第88話・新産業準備

これからもがんばっていきます!!

感想など、ありましたらどんどんお寄せください!!!


「カイト様。 昨夜は大変失礼しました。 一昼夜いっちゅうやでカイト様が、この街の再建策が思いつくはずがないと考えておりましたので、あのような態度をとってしまいました。」


俺に謝りながら、ディスって来るという、器用な真似をするアリアは、とりあえず昨夜、俺がおかしくなったと言った事を謝ってきた。


「お兄ちゃん、ごめんね? 真夜中にお兄ちゃんが奇声を上げたから、てっきりパーになっちゃったかと思ったの。」


上目遣いに、魔族のヒカリも俺をバカにしてくる。

ヒカリ!

おれは奇声なんか発してはいないぞ!?

この街の再建策が分かったことに、喜びを感じていただけだ!!


目の前にいる屋敷のメイドさんをはじめとした使用人の皆さんも、俺に謝ってくる。

昨夜は、かなり散々なことを言われたので、これくらいは当然だ。



「しかし、よくこの街でならソギクが育つと思い立ちましたわね? もしかして前から、目星をつけていらっしゃったのですか?」


「いや、目星って言うか・・・」


そこまで言葉を発したところで、言うが早いか、俺の言葉をさえぎるようにノゾミが、言葉をかぶせてきた。


「私が昨日、カイトに提案したんだよ?」


「まあ、そうだったんですの!? おかしいと思いましたわ。 カイト様がこんな、私ですら気がつかなかったことに気が付くなど、ありえませんからね。」


ノゾミ、すごい!!と言いつつ、アリアが再び俺をディスりまくる。

アリアよ。

あまり言いたくないことなのだが、君は俺の嫁だよね??

どうしてそう、俺をバカにするんだい?

王宮での、あの一幕は、演技だったのかい??


そう思いつつ、アリアが俺にプロポーズ(?)してきたときのことを思い出す。

・・・・・・・。

あれがもし、演技だったというなら俺はもう、誰も信じられない。

でも、あれからというもの、アリアは俺を説教して、バカにしてくることしかない。

なんというか・・・・・

そう、王宮での一幕はマボロシだったのではないか、とさえ思えてくる。


「しかしカイト様。 ノゾミのこの話を聞いて、『イケル!!』とおっしゃった、あなたの眼は本物ですわ。 これからもその意気でがんばってくださいまし!」


ノゾミをベタ褒めした後、俺を少し褒めてくれるアリア。

喜んでいいのか不明だが、ディスられてはいないので、笑顔で返す。

アリアも満足げだ。


さて。



「アリア。 早速住民の人たちに、この計画を話したいのだけれど、住民をこの屋敷の前に集められるかい?」

善は急げ。

早速カイトは、この栽培計画を実行に移すことに決定した。

そのためには、住民たちの合意が必要不可欠なので、すべきはそこからだ。

だが・・・・・


「カイト様、お待ちください。 すべきことをひとつ飛ばしておられます。 まずは、開墾かいこんの道具などが必要です。 その上で、植える種がなければ栽培などできません。」


・・・・・・・ごもっともです。

カイトは平常運転だった。

種がないのに、作物を栽培など、できるわけがない。

でも、開墾かいこんは俺の魔法で広い範囲をバコッと一気にしてしまえばよい。

だからと言って開墾かいこんの道具は必要なのだが。


ふう~~~と、ため息をひとつくとアリアは騎士の一人に、何かを指示した。


「カイト様、騎士の数人に種の買い付けをさせてきます。 よろしいですね?」

アリアの言葉は、

よろしいですか、ではなく、よろしいですね。

俺に選択肢せんたくしはないようだ。

だが俺にも発言くらいさせてほしい。


「ま・・・待ってくれ!! 買い付けってどこに行くんだ??」


「そうですわね・・・ 帝国のほうが近いのですが、国外へ買い付けとなると、手続きが面倒なのでバルア辺りに行かせるつもりですが? あそこはあらゆるものが集まる貿易都市ですし。」


聞いたことがある。

というか、ここべアルへ至る街道の途中で、『バルア』と書かれた看板みたいなのを見かけた。

そこまでは転移が使える。


「よし、なら俺が転移で近くまで送るよ!!  そのほうが早いだろう??」


この言葉で、部屋にいる全員が固まってしまった。

ノゾミと、ヒカリを除いて。


「大公様。 お言葉はうれしいのですが、ここからバルアは遠いのです。 城の魔導師でも、ここまでの長距離移動はかないません。」


やさしげな表情で、いまさっき、アリアから買い付けの命令を受けた騎士の一人が、そんなことを言ってきた。

あ、信じてねえな、このヤロウ。


っていうか、なんでアリアまで疑いのまなざしを向けて来るんだ!?

お前は知っているだろう!!

俺が転移が使えるのを!!


「カイト様、あなたはバルアへ行った事があるのですか?」


ああ、なるほど。

そっちね。


「大丈夫だ。 ここに来るとき、バルアと書かれた分かれ道を見つけた。 そこまでは転移できる!!」


アリアに、胸を張ってそう言う。

納得したのか、アリアも『なるほど』と言って、それ以上は追求してこなかった。

人数にも、運ぶ荷物量も、カイトの転移には関係ないので、まさにうってつけだった。




だが、そこにはかなり、どうでもいい問題があった。


「カイトが行くなら、私も行くからね?」

ノゾミがそう、俺に詰め寄ってくる。

まあ、そうなるよな。

ノゾミ一人くらいなら問題ないだろう。


「お兄ちゃんが行くなら、私も行く!!」

黒い髪をなびかせ、ヒカリもノゾミ同様、付いてくると宣言する。

ヤレヤレ・・・・

しょうがないな。

一人が二人になっても、問題はないだろう。


カイトは、魔族を街に連れて行ったりなんかしたら、どうなるかをまったく考えていなかった。

しかも、話はここでは終わらなかった。


「お姉ちゃんも行くでしょ!?  一緒じゃなきゃイヤだよ?」


「え!? いえ私は、その・・・・・」


ヒカリが、アリアのドレスのすそを引っ張る。

これは問題だ。

この街からアリアがいなくなったら、そのすきにこの街の住人が、いなくなる気しかしない。

だが、それをヒカリは良しとしない。

本日中の出発は、諦めた方がいいかもしれないな・・・・・・。


結局、この話の決着がつくのは、次の日のことであった。


予定にない話、開始です・・・・

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