第86話・この街を、発展させる!!
これからも、がんばっていきます!!
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転移で、屋敷の庭あたりに転移をしてくると、いの一番にアリアにしかられた。
「カイト様!! 護衛やメイドの者たちはすでに、多くの盗賊を捕縛したり、街の片付け作業などを行っております!! だと言うのにあなたと言う人は・・・・・どこで油を売っていたのですか!!」
「ご・・・・ごめんなさい。」
ドラゴンと、昨日焼いちゃった森を再生させていました。
なんて言えないので、謝る。
とにかく謝る。
これで大抵、アリアは許してくれる。
「カイト様! いいですか、あなたはこの街の領主です。 領主は、民のお手本とならなければなりません!! だと言うのにあなたと言う人は・・・・」
「ご・・・・ごめんなさい。」
許してもらえなかった。
追求がなかっただけでも、よしとしよう。
そう、アレを追求されたら・・・・
「聞いているのですか、カイト様!!」
「ひゃ・・・・ひゃい!!!」
声が、裏返ってしまった。
そんな俺の態度が、彼女のお母さんモードに火をつける。
ちなみにお母さんモードとは、お説教タイムのことである。
本人に言うと、火に油を注ぐ形になるので、絶対に言わない。
「カイト様、この街は今の状況は廃都寸前です! このままでは本当に人の住まない、ゴーストタウンとなってしまいます!! それをどうにかするのが、領主たるあなたの勤めです!!!」
はーい。
分かりませーーん。
彼女の挙動のたびに、揺れる胸の辺りにしばし注目する。
いつも、きっつい顔ばかりしているので気付きにくいが、アリアの胸は大きい。
それに、顔の形も非常に整っており、スタイルも抜群である。
よくこんなきれいな人が俺の嫁に来たなと思う。
鉄道一番だけど、胸も大事。
「領主がどーたら」とか、説教してこなければなおいいと思う。
ブオン!!!
「うわ!!???」
突然俺の眼前に現れた、剣を両手で白刃取りする。
もう少し反応が遅かったら、俺の頭は勝ち割れていた。
「い・・今、俺を殺そうとしたろ!!?」
俺に剣を振りかざしてきたのは、当然アリア。
俺にその剣を止められると、スッとその剣を鞘にしまい、近くの壁に立てかけた。
「なんのことやら。 私がいましたのは、『カイト虫』という害虫駆除だけですわ。 残念ながら、取り逃がしてしまいましたが・・・・」
「それ、どう考えても俺だろ!? 俺だよな!??」
やれやれ、と頭を左右に振るアリア。
しかし、こっちは殺されかけたのだ。
厳重に抗議したい。
「カイト様!! 人が必死で話していると言うのに、胸を凝視するとは何を考えているのですか!?? 人の話を聞くときは、目をご覧になってください!!」
「ご・・・・ごめんなさい。」
今日、何度目になるか分からない謝罪の言葉を口にする。
アリアの顔が、真っ赤になっているのは、怒りで頭に血が上っているからだろう。
こういうときはカルシウムを摂るといいんだぞ?
言ったら、今度は剣では済まなさそうなので言わないが。
「カイト様。 私はあなたの妻として、スズキ公の者として、あなたに与えられたこの街をどうにかしたいと考えております。」
「・・・・はい。」
いますぐ爵位ごとクーリングオフさせてください、なんてこの状況では言えない。
「そのために、私は、この街の産業をどうにかしたいと考えております。」
がんばってください。
俺は日本でも、政治なんてさっぱりだったので分かりません。
アリアなら、元王女だから得意そうだし。
任せる!!
「しかし私がするのは、あなたの手助けだけです!! 具体的に方向性などを決めるのは、大公たるあなたの責務ですわ!!」
ズビシッと、俺を指差すアリア。
え~~~、もうどうせだったら全部してよ。
そのせいで大公の地位を追われても、俺は別にいいし。
「カイト様、ここは自治領です。 何をやっても国から何か言われることはまず、ありません。 もちろん、出過ぎた事などがありましたら、私共が止めさせて頂きますが、基本何をしていただいてもかまわないのですよ?」
それで?
俺的には、自治領なんて分かりません。
願わくば、鉄道が在って、平和であればどうでもいいです。
「つまり、カイト様! カイト様がおっしゃる、『てつどう』なる物も、勝手に領内に作っていただいてもいいのです。」
・・・・ほう?
「もちろん、造るにはお金が必要であることはわかっております。 でありますから、この街を発展させましょう!! そうすれば、人も集まり、お金も集まってきます。」
ほうほう。
「この街は、貿易の要となりえます立地です。 その馬車のような乗り物も、きっと活躍することでしょう。 そのためにまず、街を発展させてください!!」
アリアが頭を下げてくる。
カイトの頭の中に、ある言葉が反響する。
『この街は、貿易の要になる』
『だとすると、輸送力増強が叫ばれる』
『鉄道、大活躍!!???』
(作っても、いいよ?発言、とり付け済み)
なんだか、鉄道、できそうな気がしてきた。
クーリングオフ発言は撤回します。
俺はこの街を、できるだけデカくして、鉄道をいっぱい敷きます。
そのためにまず、村みたいになってるこの街をどうにかします。
今鉄道を造っても、利用客低迷で光の速さで廃線だからな!!!
さあ~~~~!!!
異世界鉄道の開業だーーーーーーーー!!!
軽くトリップしているカイトは、頭の中ですでにこの街に汽車が走っている妄想にとらわれた。
こうして、単純なカイトは、見事にアリアの手腕に引っかかり、この街を発展させることを決意した。
・・・・・実現は遠そうだが。
一歩進んで、二歩下がる。
カイトの行動パターンです。




