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オタクはチートを望まない  作者: 福島 まゆ
第5章 大公様とベアル
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第81話・ドラゴンとの談話

これからも頑張っていきます。

感想など、ありましたらどんどんお寄せください!!!

「あんた、討伐依頼が出ていたのか!?」


「ふむむ・・・ おまえは、神と会ったことがあるというのか!?」


お互い、魔法スキルなどのせいで嘘をつくことができなかったので、根掘り葉掘り、全部話すことにしたのが数時間前。

その間ノゾミは体力回復のためか、一度として目を覚ますことは無かった。

ちなみに、ドラゴンの怪我は、カイトが治してやった。


お互いがお互いから聞き出した話の内容は、目を見張るものだった。


片や、神と会ったことがある、見た目ド平凡な、うら若い少年な冒険者。

片や、異端者として、いじめられ、群れを追い出されたメスの地竜。(じゃ、なんで翼あるの?)


いや、もう訳が分からないよ

と、お互いがお互いを不信に観察したが、最上級の鑑定魔法を使っても、嘘はひとかけらも無いようだった。

メスの地竜は、ダリアという名前があるらしい。


さて、ここまでの話で、一番問題となったのは、ノゾミについてだ。

なぜ、ノゾミがこのドラゴン・・・・・・ダリアと一緒にいたのか。

それを聞いたら、こんな答えが返ってきた。


「私は泣いて絶望の底にいたトビウサギ族の者を、拾っただけだ。 ・・・・ちょっと、最近一人では寂しくてな・・・・・」


寂しくて、一緒にいてほしくて、彼女を拾ったらしかった。

焦土しょうどと化した森の煙で覆いつくされた空が、彼女の悲哀感ひあいかんを増幅させていた。


最初はノゾミが、人間に見えたので、驚いたとのこと。

そして、どうやらノゾミの人化に関しては、魔石によるところと、俺の無意識な魔法効果があったらしかった。

・・・・・・いままで、魔石のおかげだとばかり思ってました。

はい。


ノゾミと会った後、二人(?)は、俺が来るまでの間ずっと、話していたらしかった。

そこで話されたのは、

なぜ、こんなところに一人でノゾミが人の形をとって居るのか、ということ。

ノゾミはそこで、俺の話をしたらしい。


で、そこで俺はダリアさんに問い詰められることとなった。

ノゾミが、俺を怒った理由というか、経過について。


話すべきだろう。

ノゾミは怒らせ、

アリアをあきれさせてなお、俺は分かっていないのだから。

だから話した。

王都での一件から、今回のここへ来るまでのことをほぼ、全部。

ダリアと名乗った地竜は、その言葉にずっと、耳を傾けてくれた。


その光景をこの世界の住人が見たら、一万人中、一万人全員が『はあ!!???』と言ってしまいかねない光景だ。

カイトは、日本生まれの日本育ちの人間なので、ドラゴンはデカい頭のいいトカゲくらいにしか思っていなかったのが幸い(?)であった。


それはともかく。


カイトの情けない話や、矛盾した話をずっと聞いてくれたドラゴンこと、ダリアさん。


その間に、ノゾミも目を覚まし、頭を左右へ振った。

いま、目の前にある状況に、頭の処理が追いついていかなかったのだ。

だが、カイトの話が終わると、視線を下にして何も無い、地面を見つめた。

そこからは、かなしげな雰囲気が見て取れた。


ダリアさんは、少し考える素振りを見せた後、その大きな口を開いた。


「カイト殿。 あなたがしている事は、単なる差別的な虐殺ぎゃくさつでしかない。  世界のことわりとして、仕方なしに殺し、殺される事もある。 食料、それから自らに、敵対する者についてだ。  だが、それも本当に『必要』と判断したときのみでしか、してはならない。」


ダリアさんが、地味にフレンドリーになっているのにもカイトは気づかず、話しの続きを聞いた。


「この殺しに、話が通じるかなどの、私情をはさんではならない。  カイト殿。  もし、意思疎通いしそつうはかってなるべく多くを殺したくないのなら、その適用範囲を広げればいい。」


え!?と、顔を上げるカイト。

言っている事が分からない。

適用範囲を広げるって、どういうことだ??


「魔法で、すべての者たちの声や心を聞く事ができるものがある。 それを使うのだ。  それで話し、人間以外の者たちの心を聞き、その上で危険と判断したときのみ殺せ。  食料となすときのみ殺せ。 私がカイト殿に言えることはそれだけだ。」


ダリアさんの声が、大きいからだろうか?

ずん!!と、その言葉はカイトの心に響いた。


ノゾミも、静かにこれを聴いた。

うなづき、涙を流しながら。


そしてカイトは、言葉を口にした。


「ダリアさん、大事な事を教えてくれてありがとう。 俺、ちっとも分かっていなかった。 王都で、メヴィアさんに教えてもらった事も違う風に考えていた。」


「ふむ。」


「それから、今言われたことは、分かりはしたけど、まだ理解はできていない。 でも、いつかはきっと、理解して見せる。 だからそれまで、俺の事を見ていてほしい・・・・・」


ダリアに、頭を下げるカイト。

今の彼には、これが精一杯だった。

だが、その瞳には、確かな炎が見て取れた。

自分の行動のおかしさ。

やっている事の矛盾。

それらすべてを理解し、頭の中の考えの、すべてを書き換えるのは時間がかかる。


でもいつかは・・・・・・


「急ぐ必要は無い。 これを私が理解するのにも、数百年の年月を必要としたのだから・・・」


目を細めて、ダリアさんがそう、カイトに言ってきてくれた。


「カイト。」


傍らには、いつからかノゾミが寄り添ってくれていた。

今回は、多くの人たちのおかげで、大切なことを教えてもらった。


ダリアさんから教えてもらった事は、今後の俺への、重要な課題だ!!

でも、いつか理解してみせる!

そして、それを実践じっせんに移すのだ。



いつしか、焼け野原と化した森の空は煙も晴れ、満天の星空が輝いていた・・・・・・


次回、やっとベアルです?


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