第80話・爆発被害
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「うぐぐぐぐ・・・・」
森で大爆発が起きて数分。
カイトは、ごっそり無くなってしまった魔力が回復した頃合を見はかり、体を起こした。
辺りを見回すと、ここが先ほどまで森だったのがウソのように、何もなくなっていた。
炭のようになって、根こそぎ倒されてしまった木々が焼けた地面に転がっている。
それだけが、ここがかつて森だったことを物語っている。
先ほどまで目の前にいた竜も、ずっと遠くに、横たわっているのが見える。
「ッッ・・・ノゾミ!!」
そうだ、ノゾミ!!
彼女もこの近くにいたはずだ!!
結構離れたところで戦っていたから、無事だと思うが、絶対ではない。
もしかしたら・・・・
「う!!?」
走ろうとした途端、背中に激痛が走る。
足にも力が入らない。
いや、感覚そのものがない!!???
どうやら、さっきの爆発で破片が防御の魔法を突き破り、背中に直撃していたようだ。
防御の魔法のおかげで、重症ではなさそうだが、かなりヤバい位に痛い。
しかし、なぜ足に感覚がないんだ・・・・・!?
実は、彼には見えていなかったが、彼の背中には大きな火傷と、陥没ができていた。
これにより、彼の背骨は途中で折れ、神経も断裂していた。
足の感覚がなくなったのも、そのためである。
「むぐぐ・・・・ 治れ!!!」
彼のいい加減な呪文にも、魔法はきちんと応えてくれた。
背中の火傷が、骨折が、白い光に包まれると同時に見る見るうちに治っていく。
国で一番の治癒魔法使いですら、さじを投げる大怪我を彼は、モノの数秒で治した。
しかし、自分がコレということは、何もしていなかったであろうノゾミは・・・
カイトは走った。
嫌な予感が頭をよぎる。
もしかしたらもう、ノゾミは・・・・・・・
そんな事を考えると、自分お考えの浅さに苛立ってきた。
先ほどのように、涙が出てきた。
なぜ、俺は最善の隕石の回避法を、思いつかなかったのか。
ノゾミは、割とすぐに見つかった。
「はあ・・・・・・はあ・・・・・・・・」
しかし、彼女は至近距離にいる、俺に気がつかない。
・・・・・・いや、気がつく余裕がなかった。
彼女は、先ほどの爆風で倒れてきた巨木の下敷きになり、腹から下の部分をつぶされていた。
かなりの重症だろう。
しかし、治療にはこの巨木をどかさねばならない。
全快時なら、魔法でそれも容易いだろう。
しかし、カイトは今、戦闘と治療でかなり疲弊していた。
木を浮かせて、遠くへどかして、その上で治療という一連の動きはできそうもなかった。
カイト自身の魔力が回復してから、という選択肢もなくはなかったが、それまでノゾミの気力が持つかどうか・・・。
「うぐむむむ~~~~~~!!!」
ならば、魔力を使わない方法。
己の体力だけで持ち上げることを試みるカイト。
カイトの体力は無限だ。 これに賭けるのは、間違ったことではない。
しかし、この数値は、あることを前提に働く。
それは、『カイトはあくまで人間だ』ということ。
魔力は無限だが、腕力や瞬発力含め、カイトのそれは、『人間の限界いっぱい』の数値でしかなかった。
ノゾミに倒れ掛かっているのは、全高十メートル以上はある巨木。
重さは数トンはくだらないだろう。
体力が人間の限界であっても、一人では動かせるはずもなかった。
それでも、カイトは巨木をどうにか動かそうと、頑張った。
その甲斐あってか、わずかながら巨木も動いた。
・・・・だが、それが限界だった。
数ミリ動かしたところで、状況は変わらない。
自分の能力の役立たずに、血の涙を流すカイト。
すると、そんな彼の背後に、大きな影が現れた。
「邪魔だ、人間。 木から手を離せ。」
「・・・・・え?」
カイトの背後に現れたのは、先ほどの赤いドラゴンだった。
その全身は、先ほどの爆風によるものだろう。
全身ズタズタで、頭部は、血濡れで真っ赤に染まっていた。
その頭部に二本あった角も、根元から無くなっていた。
「早くしろ。 ノゾミが死ぬ!!」
「な・・!?」
カイトが、巨木をつかむ手の力を緩めたと同時に、ドラゴンは巨木をつかみあげ、遠くへ投げ飛ばした。
なぜ、このドラゴンは、ノゾミの名を知っている??
そんな疑問で、カイトは一瞬動きを止めてしまうが、すぐにノゾミのことを思い出し、治療にかかる。
ノゾミの、下半身から下が白く光り輝く。
「ノゾミ、もう大丈夫だ! すまん、すまん・・・・・・・・」
最後のほうは、消え入りそうな声量になる。
俺のせいでこうなったのだ。
このドラゴンがいなかったら・・・・・・
ドラゴン!? そうだ!!!
何でこいつは、ノゾミを知っているんだ!!???
それを聞く前に、ドラゴンのほうから俺に、質問をしてきた。
その質問に、またも俺は驚かされる。
「なぜ、貴様はそんな桁違いな魔力を持っている? なぜ、ここへ来た? いや・・・それより、なぜこの娘の名を知っている??」
「!!???」
ドラゴンも、俺がしようとしていた質問と、同じ質問を投げかけてきたのだ。
ますます分からない。
なぜ、この赤いドラゴンがノゾミと知り合いなのか、
なぜ、さっきはノゾミを助けてくれたのか・・・・・・
俺たちは、お互いの考えなどを、すり合わせてみることにした。
次回、意見のすりあわせと・・・・・・
の回です。




