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オタクはチートを望まない  作者: 福島 まゆ
第5章 大公様とベアル
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第80話・爆発被害

これからも、どうかよろしくお願いいたします。

感想など、ありましたらどんどんお寄せください!!

「うぐぐぐぐ・・・・」


森で大爆発が起きて数分。

カイトは、ごっそり無くなってしまった魔力が回復した頃合を見はかり、体を起こした。


辺りを見回すと、ここが先ほどまで森だったのがウソのように、何もなくなっていた。

炭のようになって、根こそぎ倒されてしまった木々が焼けた地面に転がっている。

それだけが、ここがかつて森だったことを物語ものがたっている。


先ほどまで目の前にいた竜も、ずっと遠くに、横たわっているのが見える。


「ッッ・・・ノゾミ!!」


そうだ、ノゾミ!!

彼女もこの近くにいたはずだ!!

結構離れたところで戦っていたから、無事だと思うが、絶対ではない。

もしかしたら・・・・


「う!!?」


走ろうとした途端、背中に激痛が走る。

足にも力が入らない。

いや、感覚そのものがない!!???

どうやら、さっきの爆発で破片が防御の魔法を突き破り、背中に直撃していたようだ。

防御の魔法のおかげで、重症ではなさそうだが、かなりヤバい位に痛い。

しかし、なぜ足に感覚がないんだ・・・・・!?


実は、彼には見えていなかったが、彼の背中には大きな火傷やけどと、陥没ができていた。

これにより、彼の背骨は途中で折れ、神経も断裂していた。

足の感覚がなくなったのも、そのためである。


「むぐぐ・・・・  治れ!!!」


彼のいい加減な呪文にも、魔法はきちんとこたえてくれた。

背中の火傷が、骨折が、白い光に包まれると同時に見る見るうちに治っていく。

国で一番の治癒魔法使ちゆまほうつかいですら、さじを投げる大怪我を彼は、モノの数秒で治した。


しかし、自分がコレということは、何もしていなかったであろうノゾミは・・・


カイトは走った。

嫌な予感が頭をよぎる。

もしかしたらもう、ノゾミは・・・・・・・

そんな事を考えると、自分お考えの浅さに苛立いらだってきた。

先ほどのように、涙が出てきた。

なぜ、俺は最善の隕石いんせきの回避法を、思いつかなかったのか。




ノゾミは、割とすぐに見つかった。


「はあ・・・・・・はあ・・・・・・・・」


しかし、彼女は至近距離にいる、俺に気がつかない。

・・・・・・いや、気がつく余裕がなかった。


彼女は、先ほどの爆風で倒れてきた巨木の下敷きになり、腹から下の部分をつぶされていた。

かなりの重症だろう。

しかし、治療にはこの巨木をどかさねばならない。

全快時なら、魔法でそれも容易たやすいだろう。

しかし、カイトは今、戦闘と治療でかなり疲弊ひへいしていた。

木を浮かせて、遠くへどかして、その上で治療という一連の動きはできそうもなかった。


カイト自身の魔力が回復してから、という選択肢もなくはなかったが、それまでノゾミの気力が持つかどうか・・・。


「うぐむむむ~~~~~~!!!」


ならば、魔力を使わない方法。

おのれの体力だけで持ち上げることを試みるカイト。

カイトの体力は無限だ。 これに賭けるのは、間違ったことではない。

しかし、この数値は、あることを前提に働く。

それは、『カイトはあくまで人間だ』ということ。

魔力は無限だが、腕力や瞬発力含め、カイトのそれは、『人間の限界いっぱい』の数値でしかなかった。


ノゾミに倒れ掛かっているのは、全高十メートル以上はある巨木。

重さは数トンはくだらないだろう。

体力が人間の限界であっても、一人では動かせるはずもなかった。

それでも、カイトは巨木をどうにか動かそうと、頑張った。

その甲斐かいあってか、わずかながら巨木も動いた。


・・・・だが、それが限界だった。

数ミリ動かしたところで、状況は変わらない。

自分の能力の役立たずに、血の涙を流すカイト。


すると、そんな彼の背後に、大きな影が現れた。



「邪魔だ、人間。  木から手を離せ。」


「・・・・・え?」


カイトの背後に現れたのは、先ほどの赤いドラゴンだった。

その全身は、先ほどの爆風によるものだろう。

全身ズタズタで、頭部は、血濡れで真っ赤に染まっていた。

その頭部に二本あった角も、根元から無くなっていた。


「早くしろ。 ノゾミが死ぬ!!」


「な・・!?」

カイトが、巨木をつかむ手の力をゆるめたと同時に、ドラゴンは巨木をつかみあげ、遠くへ投げ飛ばした。


なぜ、このドラゴンは、ノゾミの名を知っている??

そんな疑問で、カイトは一瞬動きを止めてしまうが、すぐにノゾミのことを思い出し、治療にかかる。


ノゾミの、下半身から下が白く光り輝く。


「ノゾミ、もう大丈夫だ! すまん、すまん・・・・・・・・」


最後のほうは、消え入りそうな声量になる。

俺のせいでこうなったのだ。

このドラゴンがいなかったら・・・・・・


ドラゴン!?  そうだ!!!

何でこいつは、ノゾミを知っているんだ!!???

それを聞く前に、ドラゴンのほうから俺に、質問をしてきた。

その質問に、またも俺は驚かされる。


「なぜ、貴様はそんな桁違けたちがいな魔力を持っている?  なぜ、ここへ来た?  いや・・・それより、なぜこの娘の名を知っている??」


「!!???」


ドラゴンも、俺がしようとしていた質問と、同じ質問を投げかけてきたのだ。

ますます分からない。

なぜ、この赤いドラゴンがノゾミと知り合いなのか、

なぜ、さっきはノゾミを助けてくれたのか・・・・・・


俺たちは、お互いの考えなどを、すり合わせてみることにした。

次回、意見のすりあわせと・・・・・・

の回です。

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