第79話・ドラゴンとの戦闘
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「あ・・・・・・・・」
声が出ない。
ドラゴン!?
何でノゾミなんかと一緒にいるんだ?
アリアから、ドラゴンのことは聞いている。
誇り高く、プライド高く、決して自分より強いもの以外には寄り添ったりなどしない、存在。
それが、ノゾミとなぜ一緒にいる??
だが、俺がそんな事を考える暇は、無いようだった。
「ふふふ・・・・・・人間め、私を討伐に来たのか?」
人間の言葉を、流暢にしゃべったドラゴン。
「グオオオオオオオオオオオオオンン!!」
大地を揺るがす、すさまじい咆哮を放ったドラゴン。
そのすぐ後、ドラゴンは大きく息を吸い、腹が大きく膨れる。
そのときに起こる風で、俺の体が吸い寄せられそうになる。
いったい、何をする気だ?
ドラゴンが息を吸うのを止め、視線を俺に向けてきた。
あけられた口の中からは、赤く燃える、炎が見える。
火を吐く気だ!!
背中の剣を抜く時間はない。
とっさに障壁魔法を展開する、カイト。
しかし、ドラゴンの口から放たれた炎は、カイトの障壁魔法をどんどん突き破ってくる。
「!!!」
何重にも、貫かれていく端から障壁魔法を張りなおしていくカイト。
ドラゴンから放たれた炎は、ものの数秒もすると、収束し、森の一部が、焼け野原へと変わった。
さっきの魔族少女の火球より、すごい威力だった。
何回も食らったら、さすがのカイトも危ない。
しかし、ドラゴンのほうも、今のを防がれるとは思っていなかったようで、驚きを隠しきれない様子だった。
「人間ごときが、私のブレスを防ぐとは・・・・・ 何者だ?」
声を発するたび、大地が揺れる。
こうして近くで見ると、凄い存在なんだと、嫌でも思い知らされる。
「お・・・俺は、カイトだ。 しし・・・Cランク冒険者で・・・・・えっと、大公とか言う役職でしゅ。」
・・・・・どもったうえに、噛んでしまった。
全身を、脂汗が流れる。
自己紹介中に背中から出した、大剣の切っ先が震える。
やつは、俺を殺そうとしている。
倒して、まずは会話の場を作らないと・・・・・・・
「ここへ来たのは、貴様で三人目だ。 今までのやつらは来て早々、私のブレスで消滅していたが・・・残念だが、僕はもういらん。 ちょうど暇だったところだ。 貴様で、少し遊ぶとしよう。」
カッと再び、ドラゴンの口の奥が赤い炎で染まる。
さっきと同じだ!!
向かってくる炎を、大剣で真っ二つに切り裂く。
それと同時に、走って、この場を離れる。
「逃がさぬ!!」
逃げるカイトを、足で大地をけり追うドラゴン。
かかった!
俺は、剣をつかんでいない右手をドラゴンのほうへ伸ばし、叫んだ。
「重力でつぶれろ!!」
これでドラゴンは、動けなくなる。
走って逃げるよう見せたのは、ノゾミからこのドラゴンを引き離すためである。
あの状況のままで行使していたら、ノゾミにまでかかってしまうからな。
しかし、戦闘はゲームではない。
希望的観測は、致命傷になりうる・・・・・・
パキイイィィィ・・・・・・ンン!!
ガラスが砕け散ったような音。
そんな音と同時に、放った魔法がドラゴンに当たった。
・・・・・・しかし、ドラゴンは平然と立っていた。
ドラゴンには、傷ひとつ無いようだった。
実は、重力魔法は最上級クラスの魔法。
神級の存在たる、ドラゴンには通じない。
「フフ・・・・・・いい攻撃だ。 おもちゃにしては上出来だ!! 『炎天』」
ドラゴンの呪文らしき言葉と同時に、真上から炎が落ちてくる。
転移で、ドラゴンの真下へと移る。
「何!?」
「くらええええええええええ!!!」
大剣を振りかざし、ドラゴンの足を狙う俺。
ガキイイイイィィ・・・・・ン!!
しかし、渾身の一撃も、ドラゴンの前には歯が立たない。
鱗の表面の一部が、ほんの少しだけ削れたくらいだ。
しかし、ドラゴンには、十分に堪えたようだ。
「私の鱗を・・・・・ フハハハハハハ!!! 凄いぞ人間!! こんなことをされたのは初めてだ。 だが貴様は、私のプライドを傷つけた。 われわれ竜族と相まみえたことを冥土の土産とするがいい!! 『焔の星』!!!」
俺を仕留めるかかったらしい。
俺の上から、燃え盛る炎を身にまとった、拳大の石が超高速で落ちてくる。
隕石だ・・・・!!
カイトには、そう見えた。
地球知識で、隕石の破壊力はすさまじいものだ。
あの大きさでも、地上に衝突したら、この一帯が消し飛んでしまうと思う。
障壁魔法では意味がない。
あれを破壊しなければ!!
あの落ちてくる星を壊さなければ、大変なことになる!!
気がつけば、両手を星へと向けていた。
「砕けろ!!」
そう叫ぶと、全身のすさまじい脱力感と共に、両手から白い光の閃光が走った。
その光は、あたりの森を明るく照らし、降ってきていた星を砕いた。
「なんだと!?」
星を砕かれてしまったことに、驚きおののくドラゴン。
しかし、降ってきていた星の破壊エネルギーは、相殺し切れなかった。
ずどどどおおおおおおおおおおおおおおおおおおおんんん!!!!!!!!!!
すさまじい轟音とともに、カイトは衝撃波で地面に押し付けられてしまった。
しかし、とっさに防御の魔法を展開したおかげで、衝撃に体を押しつぶされてしまうことはなかった。
しかし、巨体の竜は、もっとすさまじい衝撃波を全身に食らった。
特に、上空に近かった頭の部分が。
横方向に、強大な衝撃波を食らったドラゴンの巨体は、数百メートル先まで吹き飛ばされた。
防御の魔法を展開する時間もなかったドラゴンは、全身に大怪我を負った。
隕石の破壊力は、強固なドラゴンの体をもってしても、防ぎきれなかったのだ。
こうして、彼らの戦闘は、辺り一帯の森を焦土と化すことで、幕を下ろした。
初めての、マトモな魔法呪文登場でした。
作者自身、そういうのが得意ではないので、これからも下火です。
ちなみに、隕石描写ですが、『ツングースカ大爆発』のような現象が起きたと思っていただければ、幸いです。




