第78話・捜索そして、理解
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「カイト様お一人で、よろしかったのですか? ノゾミ様の捜索というのならば、われわれも・・・」
「いいえ、これはカイト様がご自分お一人で、解決なされるべきことです。 私たちが手を出してはなりません!」
暗くなっても、なかなか帰ってこない二人が心配になり騎士二人とともに、捜索に出たのが数時間前。
カイト様は声が聞こえてきたので、すぐに見つかりましたが、なぜかノゾミの姿はありませんでした。
しかもあろう事か、カイト様は泣いているではありませんか!!
しかも、傍らにいるのは明らかに、魔族です。
なんだか手をつないでいる上に、魔族はカイト様に気を遣っている風に見えます。
カイト様の行動は不可解なことが多いですが、ここまで不可解だと『私が不可解に思っていること事態がおかしい』ように、錯覚を覚えます。
そういうつもりで連れて来たわけではなかったのですが、護衛の者を連れて来ていて助かりました。
私一人での事態収拾(理解)は困難でした。
騎士たちも、一瞬呆けていました。
カイト様から事情を聞くと、なんとなくノゾミが怒った原因は分かりました。
カイト様のやり方は、確かにおかしいです。
討伐する必要のない動物を躊躇なく倒すのに、
討伐対象を、倒さない。
そんな事をしていたようですから。
今目の前にいる、魔族の少女の存在がまさに、ソレです。
カイト様はきっと、お情けの掛け方が偏っているのでしょう。
ざっと言ってしまえば、『話せたら助ける』『話せなかったら殺す』でしょうか?
まあ、中にはそういう冒険者もいらっしゃいます。
私はバカだと思いますが、目に付くものすべてを殺し、狩りまくる殺人鬼と化した冒険者よりはマシです。
そういった方も、見たことがありますから。
でも、だとしたらそのやり方は、とても危険です。
『話せる』という事は、『考える能力がある』ということ。
下手に助けたりなんかしたら、報復の恐れなどもあります。
逆に話せないからと言って倒した、それが誰かの使い魔だったら・・・・・・・
綱渡りなんてものではありません。
魔法も何も使わずに、建物から建物の屋上へ、飛び移っているような危うさです。
なら、なぜそんな行動をカイト様はとっているのか。
・・・・・・・・きっと、何も考えていなかったのでしょうね。
メヴィアさんという方から教えてもらったことを彼は、曲解したのでしょう。
その上で楽なほうへ、考えたのでしょう。
ノゾミは、カイト様の傍にずっといるようですからね。
ずっと、彼に対し疑問を抱いていたのが、今回のこの魔族の一件で、一気に爆発したのでしょう。
しかも、カイト様はまだ、この事が分かっていらっしゃらない!!
う~~~~~~ん・・・・・・・・
私が教えて差し上げてもいいですが、それでは何の解決にもなりません。
ノゾミも一生懸命悟らせようとして、無駄に終わったようです。
それでもこれは、自身で理解をする必要があります。
教えてもらうだけではだめです。
私ではなく、ノゾミの口から言ったほうが、カイト様は理解しようとお考えになると思います。
でも、彼女は森の中で、行方不明。
この方は、本当におバカなんですね。
逃がしてはいけないでしょう!!!
ふううぅぅ・・・・・・・・・
・・・・・言っても仕方ありませんね。
ですが・・・。
こんなことを私と話している暇があったら、さっさとノゾミを探してきなさーーーーーーい!!!
そう言うと、カイト様は脱兎のごとく、森の中へと消えていきました。
私の傍らには、魔族の少女が一人。
「まったく、こちらはこちらで、問題が山積みというのに・・・・・・・・」
はあ~~~と、ため息をつきます。
彼は不幸を招き寄せる体質なのでしょうか?
「さあ、あなたからもきっちり、話を聞かせていただきますわよ?」
「?」
さて私たちは、ベアルへ向かうとしましょう。
私自身、魔族から話を聞こうなんて、彼のバカが移ってしまったようです。
◇◇◇
「はあ・・・・・・・・はあ・・・・・・・・・はあ・・・・・・・・・・。」
ノゾミ捜索のため、再び森に入った俺。
しかし、今は先ほどまでのようにただ、やみくもに森の中を走り回っているわけではない。
さっきまでは気がつかなかったが、山脈の中央辺りにいるのを、探索魔法で見つけたのだ。
つい先ほどまで見つけられなかった理由は簡単。
とても大きな、とてつもない気配が、そこから出ているからだ。
『行くのは危険だ』と、俺の本能が訴えてくる。
さっきの魔族とはまた違うが、よりこっちのほうが敵意に満ちている気がする。
向かっている途中でも、何度も足がすくみそうになる。
でも向かわねばならない。
そこに、ノゾミがいるのだから。
何がいるのか、何が起こるかわからないが俺は、自分の気配を魔法で消して、現場へと向かう。
・・・・・・しかし、そこにいたのは、想像とはまったく違った。
いたのは、涙を流すノゾミ。
俺に気がつくと、キッとにらんできた。
もうひとつの、生物の影へ隠れる。
そして・・・・・・・
その彼女をかばうようにそびえ立つ、周りの木々よりも大きく赤い巨体。
ズラリと並んだ鋭い牙。
全身にびっしりと並んだ、一枚が俺の頭くらいの大きさはありそうな鱗。
頭に生える大きな角。
爬虫類のような、巨大な目。
翼、手、尻尾・・・・その一つ一つがとてつもなく大きい。
間違いない。
俺の目の前にいるのは、赤いドラゴンだった。
現在、今後の展開の最重要部分を、考案中です。




