第8話・怪しい奴
毎度短くてごめんなさい。
がんばって書いてますので、感想などありましたらどしどしお願いします!
冒険者がパーティーを組むのは、その利点にある。
自分の苦手とする分野の攻撃法を他の人に任せることでカバーする。
そうすることで戦闘などになったときに自分の攻撃に集中ができる。
また、緊急事態発生時、パーティーだと誰かが助けを呼びにいける。
そうすることで依頼成功率を上げ、効率化を図っているのである。
さらに、不寝番を立てることも容易なので、パーティーを組まない冒険者は滅多にいない。
俺はあれから冒険者の説明をこの三人から受け、今はウトウトしている。
「ッツーわけで、今日の不寝番は俺とバイルだ。ヴィアは傷の治療に専念しろ。」
「オーケー。」
ヴィアと呼ばれたメヴィアは特に依存はないようだ。
バイルと呼ばれた魔法使いもコクコクと、うなずいている。
ちなみに俺ことカイトは、任されなかった。
当然といえば当然である。 寝込みを襲われる、とかいった危険があるのだから。
そう言った物盗りも、世の中には存在しているのだ。
これを分かりやすく例えるなら、どこの世界に初対面のやつに銀行の預金通帳を預けるか、という話である。
いくら命の恩人とはいっても、それとこれとは話が別なのだ。
「ところでカイトさんはなぜこの森に独りでいたのですか?」
メヴィアが本当に不思議そうに聞いてきたので、カイトは答えに窮した。
その姿を見たファデオがカイトに仲間の無礼を謝る。
冒険者同士、他人にあれこれ聞くのはマナー違反である。
冒険者はその特性上、脛に傷を持っているものも多い。
まあこの人間は、冒険者ではないのが分かっているわけだが・・・・
だが、Cランク冒険者パーティーが苦戦した相手を、いともあっさり倒したこのものが何者なのか、気になるのは仕方のないことだといえる。
だが、聞くと言うのはやはり、マナー違反である事に間違いは無かった。
一方、そんな事情を知らないカイトは、どう話したものかと、考え込んだ。
当然正直に話すわけには行かない。
神に会って生き返らせてもらい、この世界に先ほど転移してきたなどと言えば、頭おかしい奴認定である。
俺も日本でもし、そんなヤツに会ったら、警察か救急車を呼ぶと思う。
当たり障りなく、かつボロが出ない存在、その上でカイトが導き出した答えは・・・
「実は私、この森にいる前の記憶が一切なくて・・・自分の名前とかは分かるんですけど、ここがどこなのかすら分からないんです。」
「「「・・・・」」」
三人は一様にカイトを見た。
その顔には困惑の色が見て取れる。
当たり前である。
こんな危険な森で『記憶喪失』の者など、ありえないのだから。
カイトは彼らには、服装から貴族か何かに見えていた。
森で一人行動など、あり得ないとかの次元ではない。
この場合、『すみません、お話しすることは出来ません』でも通用したはずなのである。
ともあれカイトは、彼らを助けたのだから。
はれて、カイトは『怪しい奴』認定されたのであった。
次話、町に向かいます。
※10/29 加筆修正しました