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オタクはチートを望まない  作者: 福島 まゆ
第5章 大公様とベアル
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第74話・ボロボロの少女

これからも、がんばって書いていきます!

感想など、ありましたらどんどんお寄せください!!


さっきまであった、小動物たちの気配がなくなった。

今は風がないせいか、木々の揺れる音なども聞こえてこない。


そのせいで、あたりは不気味なまでに静まり返っていた。


「カイト、何かがいっぱいいる!!」


「ああ・・・・・」


しかし、俺たちにはわかる。

森のずっと向こう側に、多くの動物らしき者の動く気配が存在するのを。


今、ここには俺と、ノゾミの二人だけがいる。

王都で、ギルドの依頼を受けていたころのスタイルだ。

やはり、この方が何かと動きやすい。


先ほど、俺だけでこの事態に対処しようとしていたが、アリアたちは頑として納得はしてくれなかった。

そこでカイトはアリアに、あることをお願いすることにした。

そのあることとは、この事態をベアルの街へ、知らせに行くことである。

俺だけで対処ぐらいならできると思うが、取りこぼし等があるかもしれない。

なにせ、相手の状況などが一切分からないのだから。


そうなると、街が危険にさらされるかもしれない。

そこで、騎士さんたちには、街の警護をお願いしたのだ。

それでも彼らは、納得してくれなかったのだが、何かを諦めたように指示に従ってくれた。


別れ際、「絶対に無茶はしないでください!」と言ってきたアリアの姿が忘れられない。

ああ言われると、男としてなんだかいつも以上に頑張りたくなってしまう。


もちろん、危険がせまったら逃げるつもりだけどさ。


ちなみにノゾミも、彼らに同行させるつもりであったが、俺から決して離れてくれようとしなかったので、同行させることにした。



「ウオオオオオオオーーーーーーーン!!」


「ウワオオーーーーン!!」

遠吠えとともに、近づいてくる大地を駆ける音。

来た・・・・・・!!


ガサガサっという音とともに茂みから出てきたのは、レッドウルフの群れ。


レッドウルフとは、見た目狼そのものの、肉食の魔物である。

群れで出没することが多く、チームプレーで獲物を狩る獰猛どうもうな魔物だ。

その名は、口の中が常に、獲物の血で赤く染まっていることに由来する。

が、名前に反して単体ではアホみたいに弱く、Fランク討伐指定の魔物だ。

群れでも、せいぜいEランクほど。

彼らは、自分よりも圧倒的に弱いネズミとか、子供の野生動物とかを主に狙う、名前負けしている残念なやつらだ。

弱くて、比較的倒しやすいため、駆け出し冒険者たちの、大切な収入源となっている。

不利と見るやすぐ逃げるので、取り逃がさないようにするのが、なかなか難しい。

これら一連の動きは、よい練習となり、低ランク冒険者のランクアップのためのよい足がかりとなっている。

今回も、剣は使わずにノゾミ同様、拳で倒すこととする。


しかし、今回は様子が違う。

さっきからノゾミと向かってくるやつらを次々に倒して行っているのだが、それでも彼らは一向に進撃の手を緩めてこない。

いや、最初のころよりも数が増えている。


もしかして・・・・・・・・何かから逃げている!?


ノゾミも、異変に気付いているようで、こちらに視線を向けてきた。

試しにノゾミを抱え、十メートルほど向こうのレッドウルフが来ない茂みの方へ跳躍ちょうやくしてみる。

すると、レッドウルフたちは、そんなことまったく気にかけた様子も無く、さっきの勢いのまま、次々に茂みの中を駆けていった。

しばらくするとそれも収まり、辺りは再び、静寂せいじゃくへと包まれた。


しかし、さっきのそれとはまったく違う。

圧倒的な存在感と、禍々(まがまが)しい気を発する、何かがこちらへ近づいてくる。

ここまでの存在に俺はこの世界に来て、初めて会ったかもしれない。


「魔族・・・・・・・・・・・」


確証はまだ無いが、そんな気がした。

横に目をやれば、ノゾミの顔は、もう真っ青だ。


アリアには、もし魔族と遭遇したら、手加減せずに一気に倒すようにと、言われている。

魔族は、人間の絶対的な敵対関係にあるのだとか。

本当のところ話が通じるなら、できればそれで解決したいところだ。

でもそれはダメっぽいので、ここは先手必勝で、魔法によるロングレンジ攻撃で倒すか・・・・


そう、考えたところで、前方から巨大な火の玉がこちらへ向かってきていることに、気がついた。


ゴオオオオォッ!!!!

「!!!」


とっさに張った障壁魔法のおかげで、俺とノゾミは無傷で済んだが、火の玉が当たった森の木々は、炭になり、近くをかすっただけの木も、発火して燃え始めている。

あんなのが直撃していたら、終わっていた・・・・・・


これは、思っていたよりも強敵だろう。

魔法の威力もさることながら、俺たち同様、あちらも俺たちの存在に気付いている。

しかも、今の大火力の魔法でも、実力はちっとも出していないだろう。

よく分かりもしない相手に、全力をさらけ出すやつは、いない。

カイトも、それ位は分かっていた。


ゆっくりと、その存在がこちらへ近づいてくる。

辺りをうかがうように、とてもゆっくりと。

ガサガサと、目の前の茂みが揺れる。


出てくるであろう、悪魔のような風体ふうていをした存在に、注視するカイト。

(カイトは、魔族の姿を悪魔のようなものだと勝手に思い込んでいる。)


しかし、その茂みの奥から姿を現したのは・・・・・・・




黒目黒髪の、全身ボロボロの少女の姿だった。

その黒い毛には、所々に燃えるような赤い毛が混じっていた・・・・・・・・


ここの辺りの話は少し、新キャラなどでごちゃごちゃしてしまうかもしれません。

ご了承ください。

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