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オタクはチートを望まない  作者: 福島 まゆ
第5章 大公様とベアル
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第73話・忍び寄るなにか

これからも、がんばっていくつもりです!!

感想など、ありましたらどんどんお寄せください!!

「魔族!? それはこの近くなのですか??」


「詳細は分かりません。 道に倒れていた男性二人も、今は気を失っておられます。 ナースメイドに対処させておりますが、容態は思わしくないとのことです。」


「そうですか・・・・・」


さきほど、馬車が止まったと思ったら、すごい剣幕でクレアさんが、「魔族に襲われたという、二人組みの男性を保護しました!!」と、報告してきた。


周りの騎士や、メイドさんたちも全員、顔が青ざめている。

今もこうして、アリアとクレアさんが、緊急事態を思わせる口ぶりで、話をしている。


「カイト様! まだ姿を確認したわけではございませんが、近辺で、『魔族』が確認されたとのことです。 ここは危険です!! 早く街へ脱出しましょう!」


「え、魔族って何?? ゴブリンとかじゃないの??」


魔族、魔族って、騒ぐ理由がちっとも分からないので、質問をしてみた。

すると、メイドさんたち含め全員が、「ありえない!」って顔をしてくる。

これは、いわゆる常識なのだろうか?

でも、俺の常識は地球の日本のものなので、ここは教えていただきたい。


「『魔族』とは、我々人間のような姿をした魔物のことです。 その一般的スキルは人間のそれを軽く凌駕りょうがし、人間をゴミのようにしか考えていない、きわめて危険な存在なのです!!」


駄女神様が、『魔王がいる』とか言っていた気がするけど・・・・・

それのことなのだろうか?

日本でたまに聞いていた、魔王って結構強いやつじゃなかったっけ?

地味に強くて、人間をしいたげている存在

なんか、テンプレでいつも、勇者という存在にしてやられていた感が強いけど・・・


「それって、魔王ってこと?」


「分かりません。 出没したという『魔族』がただのはぐれ者なのか、それとも魔王軍侵攻の斥候せっこうのような存在なのか・・・・  後者であればこの国は・・・・・・・」


悔しそうな表情をして、震え始めるアリア。

俺に今、彼女にできることは、彼女の背中をさすることくらいだ。


それと同時に、気配察知などの魔法を行使してみる。

しかしそこには、森の小動物以外の反応はなかった。


だがノゾミの体は、小刻こきざみに震えていた。

魔法による、気配察知などでは何も反応はない。

しかし、彼女の不安の感情は本物である。

魔法では悟れない、何かがいるのかもしれない。


だとすると、何かが起きた場合、俺はとっさには反応できない可能性が高い。

まして、今は王都から付いてきているメイドさんたちや、シェフの皆さんがいる。

彼らは、襲われたらひとたまりもない。

ここは、アリアの言うとおりに逃げた方がいい。

そう。

彼らは、逃げた方が良い。


「危険性は分かった。 急いでベアルへ向かってくれ。 俺はここで様子を見る!」


と、言うわけで俺一人で事態に対処してみることにした。

不安要素は、排除してしまえばいいのだ。

ここで言う、不安要素というのはメイドやアリアたちのことである!!


カイトの、このあたりの考え方が、浅はかとか、アホだとか言われる所以ゆえんである。

この発言で、カイトをおいて逃げようとする者が、どこに存在するというのか。


「カイト様! 私の話を聞いていなかったのですか!? 『魔族』は危険な存在です。 いくら能力バカなカイト様でもお一人は危険すぎます!! カイト様が残るというのであれば、私もここに残ります!」


「そうです、カイト様!! 魔族を討つというのであれば、我々騎士もここに残ります!!」


「我々メイドも、戦闘は得手分野えてぶんやではありませんが、ここに残り、卓越たくえつながら戦闘の補佐をさせていただきます!!」


「ちょ・・・・・ちょっと待ってくれ!!」


ここにいる、ほぼ全員のいきなりの戦意むき出し発言に、カイトはたじろいでしまった。

アリアの、『能力バカ』発言は、大変に気になるがそれは後回しである。

彼は、「分かりました。 御武運を。」とか言われると思っていたので、答えにきゅうしてしまったのだ。

彼のこの考えは、これから変えていかねばならないだろう。

もし、この世界で生きていく心積もりなら。


「気持ちはうれしいが、今、気配察知とかの魔法を使ってみたら、この辺りには何もいなかったんだ。 ちょびっと気になるから、森の中を見てみようとしただけなんだよ。」


みんなに、さっきの魔法の結果を話してみた。

この森に、小動物以外の気配はない。

でも、ノゾミは何かを感じている。

だから、調べてみるのだ。

森の散歩みたいなものである。

だが、それでもアリアたちは納得しない。

だから俺は、ここであんまし使いたくなかった言葉を使った。


「この土地の領主として、ほんの少し気になることを調べるだけだから、一人での行動の方がやりやすいんだ。 大丈夫。 夕方までには帰ってくるから。」


・・・なにかのフラグ全開の発言であった。

当然ながら、ここにいる全員が、この人を一人にしてはいけない!!と、そう思った。

もちろん、カイトはこのことに気付いていない。

カイトは、使うセリフと場所を、完全に間違えてしまった。


そうしている間にも、刻々と時間だけが過ぎていった・・・・・・・

ベアルの描写は、もう少し先になりそうです。

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