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オタクはチートを望まない  作者: 福島 まゆ
第5章 大公様とベアル
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第69話・山脈を進む

これからもがんばっていきます!

感想や、誤った箇所など、ありましたらどんどんお寄せください!!

ビュオオオオ!!

っと、大きな風が巻き起こる。


それと同時に、地上の俺たちの馬車の隊列は、その風にあおられる。


「ドラゴンか・・・・・・」


飛竜が近くを通った際は、その羽ばたきによる風で強い風が巻き起こる。

今は日も沈み、野営の準備中なので、風で土煙が起こる程度だが、これが街道かいどう通過中だと馬車が揺れ、かなり怖い思いをする。

だが今は、街道の途中にたまにある、休憩スペースにいる。

ここは、谷間に設けてある広場のようなもので、割とそれは広く、結構な人数がいるカイトたちの隊列でも十分な広さがあった。


「この近くには、飛竜たちの巣があると聞きます。 最近、よく見かけるのはそのためでしょう。」


使い捨ての食器を、組み立て式の簡易テーブルに並べながら、クレアさんが説明してくれる。

ここ数日、『飛竜』とやらをよく見かける。


空の随分ずいぶん高いところを、悠々(ゆうゆう)と俺たちを気にした様子もなく、飛んでいくのだ。

この世界でも、そこそこ珍しい部類に入るらしい。

はじめて見た時は、かなり感動した。

地球では、絵とかゲームとかで見たことはあったが、実際見ると迫力はくりょくが違う。


鉄道以外、なかなか興味を示さないカイトだったが、こればっかりは感動したのだった。



だが、それも最初のころだけ。


日に何度も何度も、その姿を現す飛竜の姿に、さすがのカイトも飽きてきた。

あれだ。

動物園にいるパンダも、毎日見に行ったらどうでもよくなってくる感じ。

あれに似ている!!


まあ、実際パンダなんか見たことはなかったけど、今回の飛竜ほどは珍しくないと思う。

そもそもあの竜たちは、高空を飛んでいても近くに寄って来ることは無く、全容はほとんど見えない。

見えるのは、決まって竜の腹だけ。

これでは興味も薄れていくというものだ。



「カイト様。 先日は、またも食材を分けていただき、誠にありがとうございました。 今日も腕によりをかけて料理させていただきます。」


「ああ、楽しみに待っているよ。」


この隊にいる、シェフのうちの一人が俺に対し、いつものように意気込みを語ってきた。

王都から出発してから、ほぼ毎日の日課のようなものである。


『先日』というのは、獲物があまりとれず、その日の食材に困っていた彼らに、アイテム・ボックスから出したガーベアの肉とかを出してあげたときのことだ。

人数が多いため、食材などは騎士たちが、隊の護衛の合間に、現地調達をしていた。

それがある日、あまり多くを狩れなかった日があった。

そのとき、ものすごい勢いで頭を抱ええていたシェフ達の姿が不憫ふびんで、アイテム・ボックスを確認したらたまたま、まだ少しだけ前に狩った獲物がまだ、残っていたのでそれを出したのだ。


このシェフさんは、シェラリータの『蒼き炎竜亭』で出されていた日本のシチューや、カレーのような物を作ることができた。

これは、素直にうれしいことだ。

王都では、まったく口にすることができなかったので・・・・・・・

そしてこの人ももちろん、くじに当たった人の一人だ。

俺の屋敷に住み込みとなる、らしい。


ノゾミも、この人の料理には大満足であった。

といっても、主食は相変わらずサラダだけどね・・・・・・・・


「ふふん。 彼は王宮内でも、指折りのシェフです。 そんじょそこらの定食屋のご主人たちと同じにされては、困ります。」


まるで、自分のことのように得意満面になるアリア。

彼女が小さいころからいたシェフだったようで、自身もかのシェフが作る料理が、大好きだったらしい。

もちろん、彼だけで料理を作るわけではないのだが、その存在は大変に大きいようだ。

付いてきたメイドたちも、テキパキとその調理の手伝いをしている。

だんだんと、辺りには美味おいしそうな料理の、いい香りが漂ってきた。


今日は、カレー(もどき)だな・・・・・・


そんな感じで、今夜の夕食へ期待をこめていたころ、騎士の一人が、俺たちのほうへ、歩み寄ってきた。


「カイトさま。 旅の商人たちが、ここでの野営の許可を求めてきております。 許可を与えても、よろしいですか?」


「もちろん。 人は多いほうが楽しいからな。」


「ありがとうございます。 彼らも喜ぶことでしょう。」


とてもいい笑顔で、騎士さんの姿は、街道のほうへと消えていった。

ここまでで、初めてのベアルの方からやってきた人たちだ。

彼らからは、街の事とかを聞いてみたい。


俺はこれから聞けるであろう、俺たちの新天地に関する話に対し、期待に胸をおどらせるのだった。




◇◇◇



ここは、どこ・・・・・・・??


あるのは森の木々。

さわさわと、木々の葉づれの音が聞こえてくる。

そこかしこには、野生の動物たちの鳴き声だけが響く。

しかしそれらは一層、彼女の不安をあおるだけだった。


何かと戦った後のようで、黒髪の少女は、体中が傷だらけで、ボロボロの状態であった。

特に右足には、大きな切り傷があり、痛みから彼女は、その足を引きずりながら歩んでいた。

しかしそれらを彼女は、思い出すことができなかった。

なぜ、自分はボロボロなのか・・・・・・・・・


気がついたら、ここにいた。

ここがどこなのか、自分が何者なのかさえ、思い出すことができない。

その状況がより一層、彼女の不安をあおってくる。


赤いふさのある髪をなびかせ、彼女は森の中を進んでいた・・・・・・・・







ドラゴンの住処すみか、一応、頭の片隅においていてください。

このあと、ちょっと大事な(?)キーワードですので・・・・・・・

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