第68話・ビルバス山脈
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『よかったね、カイト。 これで鉄道とか言うのが作れるんでしょ?』
数日前、カイトへ私が言った言葉。
よくは分からないけど、大きな建物の中に数日いた、私とカイトは、『国王』とかいう偉そうな人と会った。
その隣には、さらに数日前に助けた、アリアちゃんがいた。
でも、どうしてか距離が遠く、話せなかった。
カイトとこの建物を前日のように、見て廻りたかったが、カイトは『だめだ。』とだけ言った。
つまらなくなった私は、寝ることにした。
直後、カイトにたたき起こされ、私はカイトたちの話を聞くことにした。
なぜかカイトは冷や汗みたいなのをずっと、流していた。
話にあがったのは、カイトに『勇者にならないか』という事と、『アリアちゃんと結婚をして、「たいこー」とかいう、貴族にならないか』ということ。
勇者の件は、断っていた。
同じ室内にいたイリスさんは、とっても残念そうにしていたけれど、私はカイトに付いていくだけだ。
次の、「たいこー」にならないかという事についての質問で、カイトがピンチらしいことは分かった。
なんだか、国王とか言う人たちに、望まない要求をのまされるような感じ。
私が心配して、口をはさもうとした時、アリアちゃんが『大丈夫だ』と、私に目で伝えてきた。
アリアちゃんとは、森でも結構長く話した。
彼女が大丈夫というなら、大丈夫なんだと思う。
さらに、その話のときに、彼女からは『貴族はお金持ち』ということは聞いた。
ならば、カイトがこの間言っていた『お金が足りない』というのも、解決なんじゃないかと思った。
だから、カイトが私に目配せしたときに、さっき述べた言葉を言った。
「よかったね、カイト。 これで鉄道とか言うのが作れるんでしょ?」と・・・・・・。
結婚とはすなわち、カイトにずっと、アリアちゃんがついて来るという事。
これは、私としてもうれしい。
だって私は、アリアちゃんとはとっても仲良しなんだから!
でも、なんだろう・・・・・・・
カイトと、アリアちゃんの結婚式とか言うものを見てからずっと湧き上がってくる、このモヤモヤッとした感じは・・・・・・・・
◇◇◇
ガツン!!
「いっって~~~~~~~~~!!!!」
「はあ・・・・・・・、これで今日、何度目ですの?? この馬車で頭を打つなんて、よっぽど乗り慣れていないか、足腰を鍛えていない子供くらいのものですわよ?」
ジト目でこちらを見てくるアリア。
王都から、ベアルの街へと至るには、途中にあるビルバス山脈を越える必要がある。
日本で言うところの、奥羽山脈の様なもので、2,000メートル級の山々が連なっている。
これが、この国のあるオア大陸を縦断しており、これから行くベアルも、その山脈のせいで辺境となっていた。
つまり、この山脈を越えれば、国境まですべて、ベアル領だ。
だが、そこへ至る道は、決してよいとは言えない。
川沿いに引かれた、細い一本道の幅は、馬車一台でいっぱいになってしまうほどしかない。
ちなみに、道を踏み外してしまえば、谷底へまっさかさまだ。
カイトの魔法があれば、落ちても大丈夫であるだろうが、なにぶん不安定で怖い。
そのうえ、人の往来が少ないためか、道の状態は決してよいとは言えない。
安全のため、ゆっくり走っている馬車の中でも、馬車内はひどく揺れる。
そのせいで、カイトは馬車の天井や壁などへ、何度も体をぶつけていた。
ちなみに、今回は頭だ。
グワングワンと、頭がさきほどの衝撃で揺れる。
っていうか、勢いよくぶつけたので、メチャクチャ痛い。
今乗っている馬車は、貴族用の揺れにくくて、乗り心地が一番いいものらしいが、日本の列車と比べたら、乗り心地はちっともよくはない。
前にシェラリータから、王都への馬車に乗っていたときも思ったが、馬車ってずっと乗っていると尻のあたりが痛くなってくる。
「アリア、俺はもうだめだ。 ここからベアルまでは、俺は歩く!」
「何をおかしな決意をなさっているんですか? それでは今、馬車で休んでいただいている騎士の方々や、調理番の方に気を遣わせることとなります。 カイト様同様、歩き出さざる負えない雰囲気となってしまうでしょう。 そうなっては、彼らにとらせる休養に、支障が出てしまうんですよ?」
そんなおおげさな。
俺一人歩いただけで誰がそこまで気を使うんだ、と言いかけたが、次のアリアの言葉でそれは遮られた。
「あなたは、『スズキ大公爵』という貴族です。 何度も言いますが、自覚を持ってくださいまし。」
・・・・そうでした。
ついいつもの、冒険者装備に着替えてしまった事で、忘れがちである。
今日の朝、着替える際にこの服に着替えたのだ。
うん、まだ少しはきなれたものの方が、少し落ち着く。
だって、貴族用の服とかさ、自分見ただけで吹きそうになるんだもの!!
ノゾミも、俺同様に着やすい服へと着替えて今は、ぐっすり寝ている。
王都の宿でよく、着ていた寝巻き。
大変肌触りがよく、着ていると安心するのだとか。
これは、シェラリータのオカマッチョの服屋で買ったものだ。
そういえば、シェラリータの街の人たちは今、どうしているだろうか?
あのあと、復興はしてくれただろうか??
この世界は、情報の伝達がとても遅いので、そういうのは未だ、分からなかった。
ガツン!!
「いっっって~~~~~~~!!!!!!!!」
「はあああ~~~~~~~。」
今度は、頭含めて左半身を全部馬車の壁に打った。
さっきの数倍痛い。
当分、アリアとのこのやり取りも、続きそうである。
くそう・・・・
痛えぇなあぁ~~~~~。
もう少しで、ベアル到着(予定)です。




