第60話・誰かこの状況を説明してください その3
つたない文章力で申し訳ございません。
感想など、ありましたらどんどんお寄せください!!
クレアさんっていう、若くてきれいなメイドさんが割ってしまったつぼを直して十分。
前方から、死んだ魚のような目をした騎士が一人、歩いてきた。
なんかもう、戦争に行かなくても今すぐ倒れてしまいそうだ。
「あの・・・・何か、ありましたか?」
俺なんかが、解決できるとは思えないが、こんな今にも死にそうな人を放っては置けない。
「ああ、カイト様と言いましたか? 私はもう駄目です。今から騎士団長室へ処刑手続きに行ってまいります・・・・・・」
来ました。
さっきの上の処罰。 死刑宣告!!
「待てや。 まず何があったかぐらい話してくれ。」
今日は、災厄日だろうか?
十分間でこれとか、マジやばいだろ。
そうして、その騎士さんに連れて行かれたのは、庭園。
そこには、うずくまっているメイドさんの姿。
手には、ハンカチが巻かれており、真っ赤に血がにじんでいる。
「私は、騎士としてあるまじき行為をしてしまいました!! 騎士道として、これは許されません! いますぐに、私のようなものは処刑を・・・・」
「ど、どうか、落ち着きください! この怪我は、たいしたものではございません!!」
ぐおお~~っと、頭を抱える騎士さん。
両手をかばいつつ、オロオロする、メイドさん。
「さっぱり分からん!! 何があったのか話してくれーーーーー!!!」
この構図が出来上がった状況がちっとも連想できない。
とりあえず、死刑案件ではないことは分かったので、順を追って説明を求めた。
で、延々三十分に渡って説明を受けた事件の概要はこうだ。
・騎士さんが日々の稽古をしていた。
休み時間の自己練習だったらしい。
・ガーデナーメイドさんが、庭の手入れで稽古の最中に近づいた。
もちろん、危険は承知だったので、十分離れた。
・騎士さんが、一心地ついて剣を置いて、木陰で休んでいた。
・木に立てかけていた剣が、倒れてしまった。
・それに気づいたメイドさんが、それを丁重に戻そうとした。
・そこであろうことか、メイドさんは、刃の部分を持ってしまった。
(柄は、騎士の神聖たる部分なので、さわってはいけないらしい。)
・当然、手に怪我をした。
・それに気づいた騎士さんが、発狂。
・現在に至る。
「私の剣で、ご婦人を傷つけてしまいました!! かくなるえは、私自ら・・・!」
決意した目で、自分の喉元に剣を突き立てる騎士。
「お待ちください、騎士様! 私は手を怪我しただけでございます!!」
「いやいや、騎士道として、怪我の程度ではなく、怪我をさせてしまったことに・・・・!!!」
「いえいえいえいえいえ・・・・・・」
「いやいやいやいやいや・・・・・・」
なんだかこの二人を見ていると、イラッとする気がする。
・・・なんだろう、このものすごいリア充感は・・・・・
カイトは、自分のリア充を棚に上げて、他人のソレにモヤッとしていた。
「カイト、どうにかならないの?」
ノゾミが声をかけてきたことで、現実に引き戻されたカイト。
そうそう、こいつが死刑にならないようにするんだったね・・・・・
でも、これはかなり難しい。
被害者は、両手に切り傷を負っただけ。
加害者(?)は、自分のせいだと、わざわざ自分に重い刑罰を与えようとしている。
これは、本当に、難しい。
だって、騎士さんさえ、考えをどうにかしてくれれば本来、何も起きない案件だろうから。
そうして、俺が導き出した答えは・・・・・・
「記憶改ざん!! 剣のことなんか忘れろーーーーーーー!!!」
「「!!!??」」
光に包まれる二人。
収束すると、二人はキョトンとした様子で俺たちのほうを見る。
いち早く、騎士さんがメイドさんのほうを向く。
「ああ! 大丈夫ですか!!?? この手は・・・・」
「ああ、きっとノコギリ草の葉で切ってしまったのでしょう。 気になさらないでください。」
「いけません!! ここから感染症にでもなったらどうするのです!! 私が治癒魔法が使えるもののいる場所まで連れて行きますから!!!」
「おしあわせに。」
おれは、けだるい顔をして、この場を後にした。
「か・・・カイト? あの二人、どうしちゃったの??」
「一時的に催眠効果で、あの二人の『剣』って言うワードを頭から抜いた。」
ようするに、剣で彼女が傷付いてしまったことを、彼らは忘れているということだ。
まあ、一時的なものなので、じき思い出すだろうが、そのときはきっと大丈夫だろう。
あの騎士は、死なないと思う。
彼女がきっと、必死こいて止めるさ。
ようは時間稼ぎだ。
「ふーん?」
ノゾミは、いまいち分かっていない風だ。
しかし、本当に今日はおかしな日だと思う。
いや、もしかして王宮ではこれぐらい、日常茶飯事なのか??
おそろしい・・・・・!
なんて恐ろしいところなんだ・・・!!
「ノゾミ、部屋に帰らない?」
「え~~!? どうして!!? まだちっとも見て廻ってないよお!?」
俺の受難はまだ、終わらない気がした・・・・・
続きます。
でも、次はさらっと流します。(予定)




