第58話・誰かこの状況を説明してください その1
つたない文章力で申し訳ございません
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カイト様の誤解を解いた後、王宮へ着いて、しばらくの時間がたちました。
今、カイトさまとノゾミさんは、王様に謁見するため、冒険者装備から、礼服へと別室での着替えが終わり、王宮のパーラーメイドの方に、応接の間へと案内していただいています。
ここへ着いたばかりのころのカイト様は、今にも死んでしまいそうな顔をしておられました。
今は、死地へ向かう、戦士のような顔をしておられます。
国王様に会うのが、この方にとっては、それぐらいの覚悟が必要、ということでしょうか?
・・・・違いますね。
なにせ、『聖女』を知らない人なのですから。
と、するとまた、何か勘違いしておられるのでしょうか?
う~~ん・・・
顔をうかがっても、何を考えておられるのかまでは、さっぱり分かりません。
謁見中に、変なことをしでかさなければいいのですが・・・・
先ほどから、俺の体中から、冷や汗が止まらない。
今は、イリスさんの後ろを、ドレス姿のノゾミと並んでどこぞへ案内されている。
これから『謁見』と言う名の裁判が始まるのだ。
裁かれるのは、俺。
内容は、『知らなくていいことを知ったから、消えて? 物理的に。』
ああ・・・・世の中はなんて理不尽なんだ。
シェラリータの街は、良かれと思って魔物退治したら、衰退しちゃうし、
なんか知らんが、この間は通りすがりの目つき悪い男にぶん殴られたし、
列車に轢かれそうになった女の子を助けようとすれば、俺ともども死んじゃうし・・・
・・・・・最後のは違うかな?
「どうぞ、お入りください。」
メイドさんが、デカい扉をあけて、俺たち三人を、中へと促す。
「カイトさん、早くこちらへ! カイトさん?」
何か、イリスさんが言っているが、聞こえない。
ああああ!! もうだめだ~~~~~!!!!!!!!!
プツン。
◇◇◇
「カイト、何もらったの? 見せて見せて!!」
俺がベットで仰向けに倒れていると、ノゾミが、俺のほうへ体を寄せてくる。
「わあ! これなに!? 『かんしゃじょー』ってやつ?? わ!この丸いの何!?」
俺の許可なんかなんのその。
ノゾミは、俺が先ほど『応接の間』と呼ばれる場所でもらった、『感謝状』と呼ばれる紙一枚と、懐中時計っぽい物を手に取り、感嘆の声を上げた。
この世界に、時間という概念があったことのほうが、俺としては驚きだ。
「私もね、木でできた、ギザギザの道具をもらったんだよ!? これ、なんの武器かな!?」
そう言って、実にうれしそうに、ノゾミが俺にそれを見せてきた。
ノゾミがもらったのは、『櫛』
小さな宝石がちりばめられ、とてもきれいだ。
それでいて、けばけばしくなっていないのは、職人の腕によるだろう。
ちなみに俺がもらったという時計も、上に同じくセンスがあって、とても高そうだ。
「分かったよ、カイト! これ、こうして魔物とかに振り下ろすんだよ!!」
ヘヤーっと、櫛を上から下へ乱暴に振り下ろすノゾミ。
魔物にでも突き立てるつもりだろうか?
たぶん、そんな華奢な武器では無理だと思われます。
「カイト、今日はよかったね。 こんなにいい物はもらっちゃうし、野宿じゃなくて、こんな部屋に泊めてもらってさ。」
「・・・・・・そうだな。」
結論から言うと、俺たちが消されるということは、無いらしかった。
応接の間で、俺たち三人を出迎えてくれたのは宰相とか言う偉い感じのおじさん。
王様は、忙しくて来れなかったのだとか。
大変にほっとした。
そして、国王代理としてこの宰相さんからもらったのが、俺が時計と賞状。
ノゾミが櫛だったというわけだ。
その上で、なんだか明後日ぐらいに何かあるとかで、今日と明日はここで泊まるよう言われ、現在に至る。
『消されないんですか?』と聞いたら、部屋にいた宰相さん始め、数人の騎士やメイドたち、それにイリスさんまでびっくりしたような顔をした。
それはもう、『何言ってんの、この人??』って顔で。
そんなわけで俺たちは今、王宮の一室に泊めてもらっている。
これまでの疲れがどっと出て、今はベットへ突っ伏している。
イリスさんはと言うと、教会の仕事があるとかで、帰った。
こんなよく分からない場所にノゾミと二人だけとか、大変心細いが、仕事とあってはしょうがない。
そして更なる問題は・・・・・・
コンコン!
「はい、どうぞ!!」
ドアがノックされたので、とっさに体勢を整えて返事をする俺。
すると、入ってくるのは・・・・
「カイト様、ノゾミ様。 夕食の準備が整いましてございます。」
「あ、どうもありがとう。 もうちょっとしたら行くよ。」
「かしこまりました。」
恭しく一礼すると、部屋を退出していく若いメイドさん。
・・・・そう、よく日本で、マンガとかで見たことがあるメイドさん。
道案内してくれたときにも見たし、そもそもシェラリータの領主様宅にもいたのだから、存在に感激しているわけではない。
なんと、俺とノゾミがいるこの部屋に、専属メイドがあてがわれてしまったのである!!
・・・最初、その事実を知ったときには、真っ白になってしまった。
俺たちは、どこの賓客なのだろうか?
いますぐ、街の白剣亭へ帰りたい。
「カイト! ご飯だって!! 早く食べよう!!」
きらきらした視線を向けてくるノゾミ。
メイドさんとか、まったく気にした様子はない。
なぜ、こんな事になっているのだろうか?
だれも答えてくれる人がいるはずも無く、俺たちはメイドさんに案内されるまま、食堂(?)へと案内された。
ちなみに、ノゾミには、後で櫛の使い方は教えてやった。
カイト君、誰か忘れてませんか~~?




