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オタクはチートを望まない  作者: 福島 まゆ
第4章 王宮へ
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第54話・逃亡

つたない文章力で申し訳ございません。

少なくとも、200話くらいまでは続くと思います。

よろしくお願いいたします。

「ここは・・・!?」


転移の光が収束すると、アリアが驚きの声を上げた。

目の前に広がっている景色は、当然王都。

俺が転移に指定した座標は、ギルド支部の目の前。

本当だったら、門からいつものとおり入場したかったが、今は真夜中。

闇夜には、半分にかけた月が輝いている。

盗賊とか貴族掃除とかししていたら、いつの間にかこんな時間になってしまった。

王都の内門は、日没とともに閉じてしまう。

本来ノゾミと一緒だったら、外門の中の宿で、明日の日の出とかまで内門が開くのを、待つほうがいいのだが、今は貴族のご令嬢を連れているので、直接転移した。


門番さんには「するな!」って釘刺されてたけど、緊急事態だからしょうがない。

・・・・・明日の朝、門番さんには謝っておこう。


「カイト、これからどうするの??」


転移に慣れているノゾミは、当然平常運転。

早速これから俺がすることを聞いてきた。


「この、アリアって子を家まで送るつもり。 しなきゃいけないこともあるし。」

そう、この子には俺の身の潔白を証明していただきたい。

今、俺のアイテム・ボックス内には、お仕置き中の傲慢ごうまん貴族((ルルアム))が入っているのだ。

誘拐してきたわけじゃないことを、この子には証明していただかねば、俺は大罪人だ。


「あの、壊れた馬車とかおじさん達は?」


「馬車は、俺の浮遊魔法浮かせて運ぶ。 盗賊どもは馬車に縄をくくりつけて連行する。 そうそう、アリア、悪いけど家まで歩けるか?? 馬車はめちゃ揺れると思うからさ。」

未だ、こういったバランスがうまく取れないのだ。

下手したら、横転させてしまうかもしれない。 ようは、危ないのだ。


俺が後ろを振り向いて、尋ねると、桃のように赤く顔を紅潮させたアリアがうなづく。

なぜ俺が声をかけただけで・・・・・

ノゾミ!  お前はいったい、俺がいない間にどんなことをしゃべったんだ!!


するとアリアは、今度は俺に感心したような視線を向けてきた。

「あなた、本当に転移が使えますのね・・・・・・」


アリアが、顔を赤くしたまま、上目遣いにそんなことを言ってきた。

そういえば、会話の最中に転移したっけな。


「信じてくれた?」


「・・・なぜ、あなたのような方が使えるのか、はなはだ疑問です。」


今度は、こちらを見据えるような視線を送ってきた。

でしょうね。

森でノゾミをまじえて力説してくれましたし。


「でも、転移を使ったのは、事実です。 森であなたを疑ったことは謝ります。」


「いや、いいよ。 俺が無知だっただけだし。」


アリアはいい子のようだ。

とっても、一冒険者の俺たちに対して、礼儀正しい。

貴族にもいろいろいるんだな。

あの馬鹿女((ルルアム))は、このアリアって子のつめのあかを煎じて飲むべきだと思う。


すると、ノゾミが不機嫌そうに、頬を膨らましている。

「カイト、まだ私の質問が途中だよ? 連行して、おじさん達はどうするの?」


「ああ、あいつらはこのアリアって子を家まで送ったら、その屋敷の人たちに警備兵団に通報してもらって、連れてってもらうつもり。」


警備兵団とは、地球で言う警察である。

その人たちに、ルルアムも含めて身柄を引き渡す。

そこで、このアリアって子に自分がされたことをしゃべってもらうのだ。

この方法なら、無駄な動きが少なくすむ。

でも、そういえばこの子に家にこのままで行っていいのか、聞いていなかったな。


「アリア、俺たちがこのまま君の家に向かっても大丈夫??」

そこ、重要だった。

貴族の家だからな・・・・

部外者お断りかもしれない。

日本には、貴族なんかいなかったので、いまいちよく分からないが、迎賓館げいひんかんに一般人が入れるのかってレベルだと思う。

でも、今はその家の子もいることだし、もしかしたら・・・・

なんて、楽天的なことを考えていた。

あれのときは、家に向かう前に、警備兵団の兵団舎へアリアにもご同行願おう。


「大丈夫です。 私がいれば、命の恩人のあなた方に危害は加えさせません。」


「おおう・・・・・」


そのまとう雰囲気に、一瞬、気圧けおされてしまった。

さすがは、貴族のご令嬢・・・・なのか?

でも、門前払いとか、されなさそうなのでちょっと安心した。


そうこうしているうちに、右へ左へと案内されていた俺は、ある家の前を通りがかった。


「ルルアム・・・」


さっき、俺が襲撃した屋敷だ。

倒した使用人たちも気がついたようで、蜂の巣をつついたような騒ぎとなっている。

一応、変装がてら黒髪になっていたけど・・・

いまは、いつもの赤髪だ。

大丈夫、気づかれることはないと思う・・・・

でもなんか、一刻も早く通り抜けたい。

気持ち的に落ち着かないのだ。

俺が急ぎ足で、この場を通り抜けようとしたそのときだった。



「おい、そこの者止まれ!!」


野太い声で、呼び止められてしまった。

つーっと俺の背中を、嫌な汗がじっとりと濡らす。

気がつくと、騎士っぽい男十数名に、囲まれていら俺たち。

しかも、手に持っている槍で、俺とノゾミをロックオンしている。

やばい、バレた??

髪の毛ごときではだめだったか・・・・


なんか、言い訳出来るような雰囲気ではない。


「この賊が・・・!!」

とか言ってこちらをにらみ付けてくる騎士たち。


「お・・・お待ちなさい! この者たちは・・・!!!」


「「「うあおおおおおおお!!!」」」


アリアの静止の声も聞かず、俺とノゾミめがけ、騎士たちが槍を構えたまま突進してくる。

各々(おのおの)、鬼気迫る勢いだ。

きっと、アリアの言葉は耳に入っちゃいない。

ここで俺ができるのは・・・・・・



「て・・・・・・・・転移!!!」

ノゾミと手をつないで、咄嗟とっさにこの場を逃げることだけだった・・・・・

カイト、罪を重ねるの巻でした。

この後も、いろいろと想定外だらけのことが起こると思います。

生暖かい目で見ていただければ、幸いです・・・・・・

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