第53話・転移
大変お待たせいたしました。 第53話になります。
ご指摘された、当作品に関する問題点、おかしな点は以後の話などで回収予定です。
なお、今後も至らない点などが、たびたび発生するかと思います。
ご感想など、ございましたら、、お寄せいただければ幸いです。
「あれ? カイト、いつの間に帰ってきたの??」
俺が王都から、転移で森に帰ってくればそこには、談笑してたっぽい、二人の少女の姿があった。
俺が出かける前は、貴族風の少女のほうは、涙を流して泣いていたはずである。
俺がこの場を離れていたのが、大体二十分間ほど。
その間に何があったのか、ちょっと知りたい。
「早かったね、カイト。 どうだった?」
ノゾミは、おれが帰る早々、そんなことを聞いてきた。
おれが王都に行くといったときに、笑みをうかべていたノゾミ。
おれが何をしてきたのかは、分かっているようだ。
俺がしてきたのは、ルルアム・ミューゼンという、傲慢ちきな馬鹿女を、ちょっと怖がらせて、反省するまでアイテム・ボックスという、牢屋で反省するまで入っていてもらうこと。
それだけ。
決して誘拐とかではない。
俺のアイテム・ボックスに入って、反省してもらってるだけ・・・・・・・
・・うん、それが『誘拐』か・・・・・
使用人とかは、魔法で寝てもらったりしただけだから、怪我とかはしていない。
ルルアムに関しても、これからノゾミたちと王都へ戻ったら、出してやるつもりだ。
・・・当然、こいつがやったことをすべて申告した上で、警備兵さんに身柄を引き取ってもらう。
俺も何か、罰せられるだろうか?
『貴族の家に襲撃&ご令嬢の身を短い時間とはいえ誘拐。』
やっべ・・・・考えてみたらもう、死刑になってもおかしくないんじゃ・・・・・・・・・
でもこの、馬鹿女には、これくらいのお灸が必要だったと思う。
前向きに考えよう。
俺には転移がある。
そうだ、死刑とかになったのなら逃げればいい。
それにきっと、この女の子も、俺の身の潔白を証言してくれるさ♪
俺は、今の状況をしばし、楽観視することにした。
「あのアリアって子も、随分と元気になったな。」
おれが疑問に思ったことも、ノゾミに聞いてみる。
そうすると、ノゾミは、ちょっと神妙そうに、でもどこか嬉しそうに、俺に話してくれた。
「あのね、カイト。 アリアちゃんの護衛をしていた人たちのお墓を作ってあげたの。そのときに彼女、『ありがとう』って。 それから、カイトのかっこいい話とかをしていたんだよ?」
屈託のない笑顔で、爆弾発言をしてきたノゾミ。
・・・・は・・・恥ずかしい!!
ノゾミは、何を話したのだろうか!?
アリアのほうを見ると、ポッと顔を赤らめた。
その顔は、何をしゃべったのか雄弁に語ってくれた気がした。
まさにこれは、穴があったら入りたい!!
おれがそんな羞恥プレイに悶絶していると、まだ何かあるように、ノゾミがこっちを見ている。
「まだ何か、あるのか?」
低い声で、そう言い放った俺。
そういう訳ではないのだけど、とノゾミが困った風に俺に声をかけてきた。
「ねえ、カイト。 この人たち、声をかけるたびにずっと、こうなんだけど、何をしたの?」
近くの木に縛り付けられた盗賊(?)達は、俺の姿を見てがくがく震えている。
なんだよ? その世にも恐ろしい化け物でも見るような目は??
いや、分からんでもないけどさ・・・・・・・・・・・・
ノゾミは興味があるように聞いてきた。
アリアも興味津々(きょうみしんしん)って顔をしている。
隠すようなことでもないから、教えてもいいだろう。
「生物ってのはさ、真っ暗で音もなにも聞こえなくて、方向感覚すら失われるような暗闇にその存在を置かれると、発狂しちまうんだよ。 恐怖とかストレスでな。」
これは本当だ。 中学生の頃、クラスメイトが教えてくれた。
何でこんなこと、あいつ知っていたんだ?
まあ、いいや。
ともかく、そんなわけで俺のアイテム・ボックスの中は、まさにそれ。
つまり、完全な真っ暗闇。 音すら何も聞こえない。
「・・・・つまり、外傷を伴わない究極の拷問と、言うわけですね?」
アリアが俺の目を見て、そんなことを言ってきた。
なんか、すごくいい笑顔だ。 黒い。
・・・・っていうかさ、言い方はないのか?
日本人な俺としては、拷問とかは・・・・・
「・・・・・・・・。」
無言で再び、盗賊たちのほうを見る俺。
俺の視線に気づいて、震えが止まらないやつ、ラリってるやつ、様々だった。
うん、盗賊たちの反応から、現実を見よう。
あれは拷問。
やったこととかも鑑みて、それ以上でも、それ以下でもないのは、火を見るより明らかだ。
俺がちょっと、悩んでいると、アリアさんが質問したそうに、何かウズウズしているようだった。
・・・・王都で俺が何をやってきたか、という質問だろう。
どう見ても犯罪なことをしている(現在進行形)俺としては、あまり詮索してほしくはない。
だが、この子に関係あることなので、この子には話さなければいけないと思う。
と思っていたが、彼女が質問してきたことは、予想の斜め上だった。
「ところで話は変わるけど、あなた、本当に転移が使えるのですか??」
実に不思議そうに聴いてくるアリア。
ノゾミとの会話中に話題に上がったようだ。
しかしながら、おれが王都でして来たことよりもそっちが気になるのだろうか?
アリアに聞いてみると、どうやら転移が使える術者は、この世界にはほとんどいないらしい。
そんなことできるのは、王宮にいる魔導師か、上位の魔族くらいらしい。
そんな上級魔法を一人で、やったという俺。
ちなみに王宮になんか勤めちゃいない、ただの冒険者だ。
貴族の彼女が、怪しむのは当然である。
どおりで、ほかの冒険者や、門番さんに不思議そうな顔をされていたわけだ。
「なぜ、あんなやつに使えるんだ?」ってね。
アリアは、本当に怪しいって顔を俺に向けてくる。
まあ、いい。
どうせ、これから王都へここにいる全員と、帰る予定だったし。
盗賊と、アリアの馬車の残骸を一箇所に集め、アリアとノゾミには俺の近くに来てもらう。
「な・・・何が始まるんです??」
不安そうな声を上げるアリア。
まずは、論より証拠。
「転移!!!」
いつもより量が多いので、気合を入れるためそれっぽいことを言ってみた俺。
きめポーズも忘れない。
するといつもより多い光に包まれ、俺たちは森から姿を消していった。
これからもがんばって更新していきますが、話の精査などで更新が遅れることもあるかと思います。
なにとぞ、ご了承ください。
今回、ご指摘くださった皆様方、本当にありがとうございました。




