閑話・炎に焦がされる者
拙い文章力で、申し訳ございません。
本編に、あまりいらなかったので、閑話扱いにしました。
読まなくても、大丈夫かと思いますが、がんばって書いたので読んで貰えるとうれしいです。
ここは、世界随一の国、アーバン法国が誇る王都にある、王宮近くの貴族街。
国の中でも要職につく者のみが、居を構えることを許される貴族だけのエリアです。
そこにある、ひときわ大きなお屋敷が、私の住む場所。
国の重鎮、ラウゼン公爵のすむ、由緒ある場所です。
そこにいるのは、自慢のマルーン色の髪に、茜色の瞳を持つ『王都の華』と揶揄される、その美貌は、まもなくすれば大輪の花を咲かせるだろう美少女。
貴族同士の舞踏会に出れば、注目の的ですわ。
失礼しました。 自己紹介がまだでしたね。
私の名前は、ルルアム・ラウゼン。
この家の、一人娘ですわ。
王家の分家たる私たちは、王宮の一番近くに住んでいます。
当然のことですわ。
そのおかげか、生まれてこの方、会う人間は私に対して媚びへつらう者ばかり・・・・
退屈でしたね。
私が王女だったなら、権力を行使して、貴族優越な社会へと作り変えますのに・・・・・!!
庶民なんて、ただの税金を落とすだけしか能がない、世界のゴミですわ。
でもそんなある日、屈辱的な出来事がありました。
王宮から、王様たちがこの家へ、視察へ参られることとなったそうです。
そこで・・・・
当時六才の私は、年下の、たった四才の子供に、頭を下げることとなりました。
その子は、この国で四番目の王女様のようでした。
あのときは、頭が沸騰して、飛び掛りそうになりましたわ。
でもその王女はなぜか、私に良く懐きました。
好都合ですわ。
この王女を私に良いように誘導して、私の利権拡大の、駒にでもなってもらうとしましょう。
・・・・しかし、うまく行かないものですわ。
あのゴミ王女は、信じられないくらい、庶民寄りな考えの持ち主へと、育ってしまいましたわ。
なぜ、私の言うことにいちいち口出しするのか。
なぜ、私の考えを真っ向から否定してくるのか。
なぜ、貴族第一の社会を否定するのか。
なぜ、なぜ、なぜ・・・・・!!
はあ、はあ、はあ・・・・・・・。
あのゴミ王女が姿を見せるたび、胃がよじれて、引きちぎれそうになりましたわ。
でもそれも、今日で終わり。
予定では今日、あのゴミ王女はこの街の北の森で、盗賊に襲われて、不幸にも亡くなってしまう手はずになっています。
あんな出来損ないのゴミは、この国には不要です。
私の厄介者は消える。
国の発展の錆びも落ちる。
まさに一石二鳥ですわ!
『ばしゅおおおおおおおおおおおお!!』
そんな気分最高だったとき、青白い光が、屋敷を包みました。
それは、カーテンのように敷地をぐるっと取り囲んでいます。
「な・・・・・・・!?」
これは、前にも王宮魔道師に見せてもらった事があるので、見覚えがあります。
これは、障壁魔法です。
障壁魔法は、文字通り有事などに張る、結界の様なものです。
しかし、この規模は・・・・・!!!!
そんな私の動揺に畳み掛けるように、メイドが部屋へ、ノックもせずにはいってきました。
いつもならそんな無礼を働けば、即処刑ですがね。
今回は内容によっては、許してもいいかもしれません。
「なんですか? 部屋に入るときには、まずは必ず・・・・・」
「も・・・申し訳ございません、お嬢様!! しかし緊急事態です!!」
床へひざまずき、そう訴えるメイド。
私の脳裏に、何か嫌な予感が浮かびます。
「何者かが、屋敷へ侵入! 今は衛兵が応戦中ですが、その者は、猛烈な勢いで、これらを蹂躙しているとの事です!」
「は!?」
屋敷に、侵入者!!?
ありえません!!
この屋敷は、王宮から派遣された、上級騎士が警護に当たっています。
侵入どころか、門の前で立ち止まっただけで、手打ちになるはずです!
「また、このなぞの障壁魔法の影響で、外部へ救援などを呼ぶことができません!!」
メイドが、激昂した私の心に、油を注ぐようなことを言ってきました。
く・・・・・・!!
お父様は、この家の領地へ出張。
お母様も、それについていっています。
この家最強の、いいえ、この国最強の、執事のニルドももちろん随伴でいません。
なんて間の悪い・・・・・!!!
「お嬢様! ここは危険です!! 早くご避難を・・・・!!!」
私を、こんなめに合わせる人間。
おのれ・・・・・・・・。
おのれ、おのれ、おのれええええええええ!!!
「お、お嬢様!? ぎゃああああああああああ!!!!」
◇◇◇
「従者を殺したのか? とんでもない貴族のお姉さんだな。」
私の前にいるのは、一度も会ったことのない、黒目黒髪の少年。
見たところ冒険者のようですね。 こやつが侵入者で、間違いはないでしょう。
さっき、私に無礼を働いたメイドは、冥土へ送ってやりました。
剣の一閃で一思いに胸を切りつけてやりましたわ。
ふふ・・・・ 一撃で引導を渡してやるなんて、私は本当に、下々の者思いの、優しい指導者ですわ。
「賊が、勝手に人の屋敷へ上がっておいて、許可もなしに何を喋っているんですか?」
「そっかー、賊かーー。」と、私の目の前で、頭をぼりぼりとかく、少年。
ちっ、挙動のひとつひとつが、イライラしますわね・・・・・
ですが、それより気になることがいくつか、あります。
「あの、障壁魔法は、あなたですか?」
「ああ、探したら使えそーだったから、メンドくさくない様に張ったが?」
やはり・・・・・
しかも、見たところ、この少年一人のようですね。
ということはつまり・・・・
「選りすぐりの衛兵たちが、門と屋敷にいたはずですが??」
「うるさかったから、重力でひねりつぶしといた。 気絶しただけだから安心して?」
くっっ・・・・・
なんて人間・・・・
しかし、ものすごい力ですわ!
この力を手に入れられれば、私は、この国の女王の座だって狙えます!!
「あなた、私の臣下になりませんか? 今までの無礼を罷免した上に、私が女王になった暁には、国の大臣の座につかせてあげても、よろしくてよ?」
もちろん、そんなの真っ赤なうそ。
一度でも私に屈辱を味わわせたものは、地獄を見せてやります。
この人間も、用が済んだら毒で抹殺、といったところですかね。
ポカンとした少年。 すると、突然笑い始めたのです。
自分の将来に、悦に、入っているのでしょう。
ふふ・・・・ これで、あの馬鹿王女を手放した埋め合わせが・・・・・・
「アリアにもその言葉、きっちり聞かせてやるよ? 」
「は!?」
なぜ、この下賤の者が、第四王女の下の名前を・・・・・・!!
そういえば、この人間がなぜ、この屋敷に来たのかをまだ聞いていません!!
「暗闇で償え!!!」
「!!!??」
そう言うと、その者から、暗闇のようなものが飛び出してきました。
とっさに避けようとした私ですが、大きすぎて対処ができません。
「待って・・・」その言葉を言う前に、私はその暗闇へと、飲み込まれてしまいます。
私の意識は、音もない、方向感覚も何もない、暗闇へと沈んでいってしまいました・・・・・・
典型的な、悪役令嬢を連想して書きました。
今後の出番は・・・・
まだ何も考えていないです。
ごめんなさい!!




