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オタクはチートを望まない  作者: 福島 まゆ
第4章 王宮へ
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第52話・燃える炎

つたない文章力で、申し訳ございません。

感想など、ありましたらどしどしお寄せください!!

ノゾミが、最初の攻撃をした。


ノゾミの渾身こんしんのパンチは、一人の少女をつかみあげていた男の顔面に決まった。

それを回避もせず、まともに顔面に受けてしまった男は、体ごと吹き飛ばされ、数メートル先の大木に、叩きつけられて止まった。

ノゾミを、怒らせてはいけない。

その光景を見て俺はそう、固く誓った。

いきなりの出来事に、襲われていた少女は、ポカンとした表情で俺たちのほうを見ている。


その姿は、きらびやかな桃色のドレスで包まれている。

見た目から、どこかの貴族の令嬢か何かだろう。

ということは、地面に転がっている兵士風の人たちは、お抱えの兵士か何かだろう。

この状況から、突如襲われ、奮戦空ふんせんむなしく全滅・・・・・と言ったところか。

この少女もきっと、怖い思いをしたのだろう。

目の色は、絶望に包まれている。


そして少女に、こんな思いをさせた張本人たちは・・・・・


「てめえらあああああああ!!!  こんなことして,ただで済むと思うなよおおおおおお!!」

「こいつら同様、血祭りにあげてやる!!」


・・・・・見た目からして、盗賊だろう。

やだねーーーーーー こんないたいけな少女相手に・・・・・

こんなやつらのために、一ヶ月近く悩んでいたのかと思うと、自分が馬鹿らしくなる。

でもあれは俺にとって、人間であるための、必要なものであった。


「ノゾミ、殺さずに、倒せるか?」

さっきノゾミが、パンチで倒した男は、泡を吹いて気絶している。

よかった・・・ 死んでない。

俺たちは、なるべく人は殺したくは無いからな。


「できるけど・・・ あの女の子を危険にさらすことになるよ?」

ああ・・・

いや、それは俺もフォローする。

少女に近付くやつは、重力で地面に押さえつける。

今の立ち位置では、魔法を行使すると、少女にまでかかってしまうのだ。


しかし、そんな俺の考えは、ノゾミによって否定された。

「違うよ、カイト。 あの人たちは、あの女の子を殺すのが、目的みたいなんだよ。」


なに・・・・・・!?

物盗りが目的じゃない盗賊・・・・・・・・?

おかしい。

そんな盗賊、居はしない。

おかしい、おかしすぎる。


「あなたたち、早くここから逃げなさい!!! ここにいては、あなた達まで殺されてしまうわ! 関係が無いあなたたちが、首を突っ込んだって、良いことは無いわ!!」

少女が、大声を張り上げて、俺とノゾミに、逃げるよううながしてくる。

なるほど。

この少女は、事情を知っているようだ。


「へへ、そうさ。 ここにいちゃ、俺たちに殺されちまうぜ? もっとも・・・」

そこまで言うと、男が剣を振り上げて、こちらに間合いをつめてきた。


「逃げちまう前に、俺たちに殺されちまうがなああああああああ!!」


ぐおっと、剣を俺の顔の正面へ向けて振り下げてきた男。

正直、対処できないはやさでは無い。


ずがん!!


俺の剣で、男の剣を叩き斬ってやった。

男は、そのまま前のめりになり、自分の真ん中あたりから切断された剣を、信じられないものでも見るような目で見ていた。

もちろん、そのすきを逃すつもりは無い。

俺は、剣のつか部分で男の背中を思いきり殴ってやった。

崩れ落ちる男の体。

それに呼応するように、盗賊(?)共がいっせいにこちらへ向かってくる。

魔法による、ロングレンジ攻撃を仕掛けてくるやつもいる。

俺とノゾミ二人で、それらを蹂躙じゅうりんしていく・・・・・



◇◇◇



目の前の光景が、信じられない。

城の中でもりすぐりの、騎士たちですら勝てなかった賊達が、たった二人の赤目赤毛の、冒険者風の二人の子供に、蹂躙じゅうりんされている。

さっきは、危険だから、逃げることをうながした。

助けてもらえた事は、うれしかった。

でも、彼らは子供。

さっき男が吹き飛ばされたのは、油断していたからだろう。

でも今度はそうは行かない。

だから、「逃げろ」と言った。

彼らには関係ないのだから・・・・・

死ぬなら、自分ひとりで十分だ。

だが、さっきギルと呼ばれた男が、彼らに剣を向け、間合いをつめた。

殺された、殺されてしまった! 関係の無い者たちまで、わたしのせいで・・・・・


しかし、彼らは、私が目を開くと涼しい顔をして、その男を倒していた。

それに呼応して、彼らに向かっていく賊たちもどんどんその数を減らされていく・・・・・

そしていつの間にか、賊で動いているものはいなくなっていた。



「大丈夫か・・・?」


私を心配するように、声をかける赤髪の少年。

その彼に差し伸べられた手は、とても暖かかった・・・・・



◇◇◇


賊どもを全員倒した俺たちは、地面にペタンと、座り込んでいる少女へと歩み寄る。

見たところ、外傷は無いようだ。

でも、怖い思いをしたからだろう。

少し震えているように見える。

盗賊(?)共は、気絶させただけだが、あとで少し痛い目を見せてやろう。

いたいけな少女に手を上げるとは、男の風上にも置けないやつらだ。


少女に、「大丈夫か?」と、右手を差し伸べると、泣きながら胸のあたりに抱きついてきた。

怖かったのだろう。 嗚咽おえつは決してとどまる事は無い。

しかし・・・・・

俺の理性が、彼女の胸部にある二つの物体に破壊されそうになる。

ぎりぎりのところで俺は、理性をたもち続けるのだった・・・・・



しばらくして。

落ち着いたらしい、彼女に事情を聞いてみた。

今は、真っ暗なアイテム・ボックスに入ってもらっている盗賊のこと。

(時間が盗賊の周りだけ動くようにした。)

いったい、何があったのか、と言うこと。


彼女の身分とかは明かしてもらえなかった。

まあ、初対面のやつに素性話すやつは居らんわな。


そしてその中で・・・

彼女が、自分と、一番親しくしていた従姉妹いとことやらに、狙われたらしいことを、泣きながら話してくれた。 未だ、信じられないことなのだろう。

自分の言葉を時折、否定しながら俺たちに説明するさまは、見ていて哀れだった。

高飛車たかびしゃな見た目とは違い、中身はまだ子供のようだ。


アイテム・ボックスから尋問のために出した男は、ガクブル状態で話してくれた。

依頼したやつの名前。

居場所。 動機。 

憤慨した。

貴族の、傲慢ごうまんなその考え方に。

その、利己的で、残忍な考え方に・・・・


だから俺は・・・・・・

「ノゾミ、ちょっと出かけてくる。 なるべくすぐ戻るよ。 そのアリアって子を頼む。」


「いいけど・・・・どこ行くの?」


疑問を口にするノゾミに俺は、笑顔で応えた。

しなければいけない。

さすがに俺の怒りが収まらない。

だから・・・・・

ノゾミと、アリアと名乗った少女を森において、俺はちょっと出かけることにした。


王都に。




次回、閑話です。

その後に、53話の予定です。

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