第48話・希望に驀進(ばくしん)!!
拙い文章力で、申し訳ございません。
感想など、ございましたらどんどんお寄せください!!
「う~~ん・・・・」
今は朝。
すっかり陽も高く上り、王都各地では、様々な店が開く準備をしていた。
城門も夜明けと共に開き、多くの人々が王都内を行き交っている。
いつもなら、カイトたちも、この人々の一人となるはずだった。
「ねえ、カイト。考え事の前に、まず朝ごはんにしようよ。 お腹すいた。」
「うん、食おう。 でもその前に、う~~~ん・・・・」
ノゾミの言葉に、相槌を打つように返事するカイト。
だが、考え事は一向に止める気がなさそうだ。
「・・・・・・・・。」
だめだ、こりゃ。と、あきらめたようなそぶりを見せるノゾミ。
昨日、ガーベア討伐からここ、王都へと帰ってきた『紅炎』の二人。
しかし、思ったより王都支部のギルドマスターとの会話が長引いてしまい、今日の分の依頼の受注を忘れてしまった。
ついでに、昼食の準備も出来なかったので、今日は冒険者稼業はお休みにする事にした。
それはいいのだがカイトは、それをいいことに宿のふかふかのベットの上でで、ふて寝をしていた。
「ねえ、カイト? 昨日の夜位からずっとそうしているよね? 何をそんなに真剣に考えているの?」
カイトのベットの上に座り、ベットからちっとも出ようとしないカイトを覗き込むノゾミ。
「いや、ノゾミ。 あともう少しで何かがひらめきそうなんだよ。」
昨日の夜、寝る前ぐらいからずっとこの調子のカイト。
ノゾミは、カイトが何を考えているのか、とても気になっていた。
しかし、聞くたびに「あともうちょっとでひらめきそう」としかカイトは言わず、会話は成り立っていなかった。
彼が、昨日の夜から考えていたというのは、鉄道の事である。
今現在、無いのは分かった。
でも自分の魔法があれば、ある程度なら作れるのでは・・・・とも思った。
これが出来れば、人やモノの移動が、もっと盛んになるのではとも思った。
問題は、どうやって線路を敷くか。
何を燃料として動かすか、であった。
聖女のイリスさんに言われたとおり、無いのなら、ほしいなら、作ればいい。
でもこの世界には、石油や石炭、電気などが無い。
地球と同じようなものは、作れそうに無かったのだ。
だから、大事となるのはその石油などに代わる燃料。
これがあともう少しでひらめきそうなところで、のどに小魚の骨が刺さったかのように、出てこなかったのである。
「う~~~~ん・・・・」
「とりあえず、早く朝ごはん食べようよ・・・・」
このやり取りは、心配した女将さんがこの部屋を訪れる、約十分後まで続いた・・・・。
◇◇◇
「ねえカイト! あそこで何か、面白そうな事をやっているよ!? ・・・・・・・カイト?」
「う~~ん・・・」
昼近く。
ベットで一日中ごろごろしていたら体に悪いと、カイトを外に連れ出したノゾミ。
だがせっかく外に出しても、カイトは何も変わらなかった。
不機嫌になったノゾミは、思案に暮れるカイトの頬を両手でつねった。
「もう、カイト!! せっかくの休みなんだから、とことん遊んで、思い出作りとかをしようよ!!」
「いふぁい、いふぁい! (痛い、痛い!)」
両方の頬をつねられた事で、ようやくに考え事を中断したカイトだった。
こういった二人のやり取りは、だいぶ見慣れたのか、王都のメインストリートにもかかわらず、誰も気に掛けているものはいなかった。
「おや、カイトさんにノゾミさんではありませんか?」
「「え?」」
いきなり後ろから声をかけられた二人は、後ろを振り返った。
そこには、買い物籠を手から提げた、イリスさんの姿があった。
◇◇◇
「なるほど、それはいけませんよ、カイトさん。 せっかくの休日。 妹さんとの時間も大切にしてあげなくては。」
ノゾミから、現在の状況を聞かされたイリスさんは、開口一番、彼にそう言った。
彼女らは、皆同一方向、王都の大聖堂のほうへと歩を進めていた。
「でしょう~~、ほらカイト!」
いつの間にか、女性二人を敵に回してしまったカイト。
彼に勝ち目は無かった。
だが彼にも言い分はある。
・・・・・・ノゾミとの会話をしなかった理由になるかは、甚だ疑問だが。
「このあいだの、俺が作りたいといっていたものの構想を練っていたんです。 どうやって動かすかを考えていました。」
「この間というのは・・・・・もしや、カイトさんの仰っていた、『てつどう』とか言うものの事ですか?」
「そうです。 あれから、やっぱり作りたいと思っていたんですけど、あれからちっとも動かす、燃料の当てがつかなくて・・・・・」
「それは馬車を馬や牛など以外の力で、動かすという認識でよいのですよね? ゥ~~~ン、一番よい方法は、魔法で動かす事だと思いますが・・・・カイトさんならば、可能だと思いますよ?」
それは、随分前に考えた。
だが、それでは意味無いのだ。
それは鉄道って感じじゃない。
レールがあって、動きさえすれば鉄道、では無いのだ。
「あとは、魔石を用いてその力で動かす、という事ぐらいでしょうか?」
ん? 今この人、なんて言った!?
「魔石!?」
「はい。あれの中には大変濃厚な魔力が宿っているので、錬金術の触媒などに良く使われます。 と、言っても、高価なので市井には滅多に出回らないですし、そのような貴重なものを、輸送の動力として使うなんて聞いた事もありませんが・・・・・・・・・」
苦笑を浮かべて教えてくれたイリスさん。
そうか・・・魔石か・・・!
ちっとも気がつかなかった!!
「イリスさん、ありがとうございます!! 今悩みがなくなりました!!」
いきなりズズイッと、イリスに顔を寄せて、深々とお辞儀するカイト。
「そ・・・そうですか? お役に立てたのならば、何よりです・・・・」
いきなりのカイトの、そのリアクションにたじたじとなってしまうイリス。
そのまま、カイトは宿のほうへ全力で走って消えてしまった。
「ちょ・・・・カイト!?」
それを追いかけるノゾミ。
一人、残されたイリスさんは、その瞳を、大きく見開きながら、首をかしげた。
「いったい、何だったのでしょうか・・・・・?」
しかし、その質問に答えるものは、彼女の周りには誰もいなかった・・・・・・
さしあたっての問題は、
・どうやって魔石を使った列車を作るか と、
・どうやって線路を敷いたりするお金を捻出するか、のようです。
ええ、それは、根本的な問題です。




