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オタクはチートを望まない  作者: 福島 まゆ
第3章 王都
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第48話・希望に驀進(ばくしん)!!

拙い文章力で、申し訳ございません。

感想など、ございましたらどんどんお寄せください!!

「う~~ん・・・・」

今は朝。

すっかり陽も高く上り、王都各地では、様々な店が開く準備をしていた。

城門も夜明けと共に開き、多くの人々が王都内を行き交っている。

いつもなら、カイトたちも、この人々の一人となるはずだった。


「ねえ、カイト。考え事の前に、まず朝ごはんにしようよ。 お腹すいた。」


「うん、食おう。 でもその前に、う~~~ん・・・・」

ノゾミの言葉に、相槌あいづちを打つように返事するカイト。

だが、考え事は一向に止める気がなさそうだ。


「・・・・・・・・。」

だめだ、こりゃ。と、あきらめたようなそぶりを見せるノゾミ。


昨日、ガーベア討伐からここ、王都へと帰ってきた『紅炎』の二人。

しかし、思ったより王都支部のギルドマスターとの会話が長引いてしまい、今日の分の依頼の受注を忘れてしまった。

ついでに、昼食の準備も出来なかったので、今日は冒険者稼業はお休みにする事にした。


それはいいのだがカイトは、それをいいことに宿のふかふかのベットの上でで、ふて寝をしていた。


「ねえ、カイト? 昨日の夜位からずっとそうしているよね? 何をそんなに真剣に考えているの?」

カイトのベットの上に座り、ベットからちっとも出ようとしないカイトをのぞき込むノゾミ。


「いや、ノゾミ。 あともう少しで何かがひらめきそうなんだよ。」


昨日の夜、寝る前ぐらいからずっとこの調子のカイト。

ノゾミは、カイトが何を考えているのか、とても気になっていた。

しかし、聞くたびに「あともうちょっとでひらめきそう」としかカイトは言わず、会話は成り立っていなかった。


彼が、昨日の夜から考えていたというのは、鉄道の事である。

今現在、無いのは分かった。

でも自分の魔法があれば、ある程度なら作れるのでは・・・・とも思った。

これが出来れば、人やモノの移動が、もっと盛んになるのではとも思った。

問題は、どうやって線路を敷くか。

何を燃料として動かすか、であった。


聖女のイリスさんに言われたとおり、無いのなら、ほしいなら、作ればいい。

でもこの世界には、石油や石炭、電気などが無い。

地球と同じようなものは、作れそうに無かったのだ。

だから、大事となるのはその石油などに代わる燃料。


これがあともう少しでひらめきそうなところで、のどに小魚の骨が刺さったかのように、出てこなかったのである。

「う~~~~ん・・・・」


「とりあえず、早く朝ごはん食べようよ・・・・」


このやり取りは、心配した女将おかみさんがこの部屋を訪れる、約十分後まで続いた・・・・。


◇◇◇  


「ねえカイト! あそこで何か、面白そうな事をやっているよ!? ・・・・・・・カイト?」

「う~~ん・・・」


昼近く。

ベットで一日中ごろごろしていたら体に悪いと、カイトを外に連れ出したノゾミ。

だがせっかく外に出しても、カイトは何も変わらなかった。

不機嫌になったノゾミは、思案に暮れるカイトのほおを両手でつねった。


「もう、カイト!! せっかくの休みなんだから、とことん遊んで、思い出作りとかをしようよ!!」


「いふぁい、いふぁい! (痛い、痛い!)」


両方のほおをつねられた事で、ようやくに考え事を中断したカイトだった。

こういった二人のやり取りは、だいぶ見慣れたのか、王都のメインストリートにもかかわらず、誰も気に掛けているものはいなかった。


「おや、カイトさんにノゾミさんではありませんか?」


「「え?」」


いきなり後ろから声をかけられた二人は、後ろを振り返った。

そこには、買い物籠ものかごを手からげた、イリスさんの姿があった。



◇◇◇


「なるほど、それはいけませんよ、カイトさん。 せっかくの休日。 妹さんとの時間も大切にしてあげなくては。」

ノゾミから、現在の状況を聞かされたイリスさんは、開口一番、彼にそう言った。

彼女らは、皆同一方向、王都の大聖堂のほうへと歩を進めていた。


「でしょう~~、ほらカイト!」


いつの間にか、女性二人を敵に回してしまったカイト。

彼に勝ち目は無かった。

だが彼にも言い分はある。

・・・・・・ノゾミとの会話をしなかった理由になるかは、はなはだ疑問だが。


「このあいだの、俺が作りたいといっていたものの構想を練っていたんです。 どうやって動かすかを考えていました。」


「この間というのは・・・・・もしや、カイトさんのおっしゃっていた、『てつどう』とか言うものの事ですか?」


「そうです。 あれから、やっぱり作りたいと思っていたんですけど、あれからちっとも動かす、燃料の当てがつかなくて・・・・・」


「それは馬車を馬や牛など以外の力で、動かすという認識でよいのですよね?  ゥ~~~ン、一番よい方法は、魔法で動かす事だと思いますが・・・・カイトさんならば、可能だと思いますよ?」


それは、随分前に考えた。

だが、それでは意味無いのだ。

それは鉄道って感じじゃない。

レールがあって、動きさえすれば鉄道、では無いのだ。


「あとは、魔石をもちいてその力で動かす、という事ぐらいでしょうか?」


ん? 今この人、なんて言った!?


「魔石!?」


「はい。あれの中には大変濃厚な魔力が宿っているので、錬金術の触媒しょくばいなどに良く使われます。 と、言っても、高価なので市井しせいには滅多に出回らないですし、そのような貴重なものを、輸送の動力として使うなんて聞いた事もありませんが・・・・・・・・・」

苦笑を浮かべて教えてくれたイリスさん。


そうか・・・魔石か・・・!

ちっとも気がつかなかった!!


「イリスさん、ありがとうございます!! 今悩みがなくなりました!!」

いきなりズズイッと、イリスに顔を寄せて、深々とお辞儀するカイト。


「そ・・・そうですか? お役に立てたのならば、何よりです・・・・」

いきなりのカイトの、そのリアクションにたじたじとなってしまうイリス。


そのまま、カイトは宿のほうへ全力で走って消えてしまった。


「ちょ・・・・カイト!?」

それを追いかけるノゾミ。


一人、残されたイリスさんは、そのひとみを、大きく見開きながら、首をかしげた。


「いったい、何だったのでしょうか・・・・・?」

しかし、その質問に答えるものは、彼女の周りには誰もいなかった・・・・・・

さしあたっての問題は、

  ・どうやって魔石を使った列車を作るか と、

  ・どうやって線路を敷いたりするお金を捻出ねんしゅつするか、のようです。

ええ、それは、根本的な問題です。

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