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オタクはチートを望まない  作者: 福島 まゆ
第3章 王都
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第45話・嵐の前の静けさ

拙い文章力で、申し訳ございません。

誤字、脱字、感想などがありましたら、どんどんお寄せください!!

ガーベアが出没するという、森に転移でやってきたのがつい先ほど。

ガーベアの居場所が分からなかったので、村へ、ノゾミと共に向かった。


森は、大変静かであった。

さわさわと聞こえてくるのは、風と葉ずれの音だけで、生物のいる気配がしなかった。

魔の森ですらいた、多くの虫も、鳴りをひそめていた。


そこは、まるで時が止まっている錯覚を覚えるほどに、静かだった。


「胸が、ざわざわする・・・・・・」


真っ青な顔をしてノゾミは、胸を左手で押さえて震えていた。

俺も気持ちは分かる。

森が、静か過ぎる。

俺の動物的な本能が、『逃げろ!!』と告げているような気がした。


が、俺たちの目的は、これをどうにかすること。

どうにかできなければ、ここまで来た意味が無い。

ざわざわと落ち着きの無い胸を押さえ、俺とノゾミは、村のほうへと向かった・・・・



◇◇◇


「カイト、なんだか村の人たち、あんまり感じよくなかったね。」

ノゾミが少し不満げに口をとがらせ、愚痴ぐちをもらした。


「まあ、しょうがないさ。」

俺は、たきぎを拾い集めて、たき火の材料とする。


夕方、やっとの思いで村に到着した俺とノゾミは村の中でもひときわ大きい、集会所のような建物に入った。

そこには、村民らしい老若男女多くの人々が集まっていた。

最初、扉を開けたときには、神様のご来光でも見たように、目に希望が浮かび上がっていた。

だがそんな村民の目は、すぐに失意の底へと落ちていった。


俺とノゾミだけという、極小パーティー『紅炎』の姿を見たことで・・・・・・


当然の対応だ。

やっと来た冒険者が、子供二人。

ランクとかは関係ない。

期待した分、がっかりが大きかった。

それだけの事だろう。

これが来たのが、筋肉モリモリのおっさん二人パーティーだったら、たとえFランクでも村民は喜んだ事だろうと思う。

気持ちは分かる。

それに俺は、そんな事を気にしようとは微塵みじんも思ってはいない。


ガーベアを倒す。

ただそれだけで、あの村民達の暗い表情を、明るくする事ができるのだから・・・・


「俺たちは、どう見ても子供二人の貧弱パーティーだ。 そこは察してやってくれ。」

ノゾミに昼間、王都のいつもの店で買った、サンドイッチのいくつかを渡す。

夕食だ。


「む~~、カイトがそう言うなら・・・・・」

少し不満げにほおを膨らませながら、俺の手からサンドイッチを受け取るノゾミ。


さわさわと風で木が揺れ、そこら中から葉ずれの音が聞こえてくる。

たき火の火も、揺らめく。


「ねえ、カイト? どうしてガーベアが大量発生したんだろうね?」


まくまくと、サンドイッチを食べながら俺に聞いてくるノゾミ。


「さあな。 このあたりじゃ何年かに一回、こういう大量発生とかが起こるとか受付の人が言ってたけど、ガーベアは始めてらしいし。」

まったく原因は分からないらしい。

そもそも、ガーベアは群れで行動する種族ではない。

さっぱり訳が分からないのだ。


「あいつらは、本能で生きているような生き物だから、倒すのは比較的簡単だよ?」


「そうか、なら安心だな。」


ノゾミの解説に、相槌あいづちを打つ俺。

問題なのは何匹いるか。

今、俺たちの周りには、魔法で作った何かが近づいて着たら発動する、トラップを仕掛けてある。

一匹二匹程度なら、このトラップだけで狩りは終了だろう。

だが相手は、三十匹以

数は詳しくは、分からなかったらしい。

村もだいぶ憔悴しょうすいしきっていた。

俺たちがもし、討伐に失敗したら、村はなくなってしまうのだろう。


これは思っていた以上に責任重大だ。

俺の胸が不安で、張り裂けてしまいそうだ。


すると、ノゾミが俺の体に両手を回してきた。


「大丈夫。 がんばろう、カイト?」


「!!」


ああ、俺はノゾミに助けてもらってばっかりだ。

そうだ。

ここで不安になんか、なっていられない。

精一杯、やるんだ。

今まで、この世界の人たちに助けてもらった分を、ここで少しでも返すんだ。


「ありがとう、ノゾミ。 元気がいてきたよ。」

笑顔を、ノゾミに返す。


途端に安心したような、優しい笑顔になるノゾミ。

「どういたしまして。」


そうだ。

俺には仲間がいる。

ノゾミという、頼もしいパートナーが。

俺は、一人じゃない!!


ビュウウゥゥッと、これまでで一番強い風が吹いて、森中が騒がしくなる。

俺とノゾミの、赤い毛が風になびく。

火も、風にあおられ、パチパチと音を出しながら、風に流されそうになる。


その風も、すぐに止んで辺りはまた、静かになる。

こんな静かな夜は、生まれて初めてだ・・・・・



ドズン!!!!

ズン!!!!

ドオオオオオオオオオオン!!!


途端に、その静けさを破るような、大きな音がいくつか鳴る。


「!! ・・・カイト!」

鋭い眼光で、音のしたほうを見やるノゾミ。


「ああ・・・!!」

間違いない。

今、俺の仕掛けたトラップ魔法に、何かが掛かった。


ノゾミ同様、俺も音のした方角を見る。


そこには、闇夜にはっきりと浮かぶ、無数の赤い点が浮かんでいた。



次回、戦闘(予定)です。

よろしくお願いします。

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