第44話・村の希望
拙い文章力で申し訳ございません。
誤字、脱字、感想などがあれば、どんどんお寄せください。
「今日は、採集系じゃなくて、討伐系でお願いします。」
ノゾミとも相談し、俺自身で決めてきたことを窓口の受付嬢さんに言った。
「おや、昨日のは取り下げるんですか?」
ギルドの受付譲さんが、不思議といった顔をして聞いてきた。
依頼を反故にすると、ギルドでは違約金が発生する。
出来もしない依頼を、受注されるのを防止する為だ。
当然、そんな事はしない。
俺は、カウンターテーブルの上に今まで採って、蓄えてきた野草を依頼分だけ出した。
こんなこともあろうと、常日頃、売らずにおいた野草がアイテム・ボックスにまだたくさん、しまってあったのだ。
そのうちまた、使うときが来るかもしれないので、今回カウンターに出すのは依頼分だけだ。
これも全部、時間が経過しない、アイテム・ボックスのおかげだ。
それらを出すと、受付譲さんは、一瞬驚いた顔をして、依頼完了の手続きをしに行った。
「依頼完遂、確かに受け付けました。 それで、討伐というと、どの依頼を受けるおつもりですか?」
「この依頼を、お願いします。」
そういって、俺が提示したのは、パーティー以上でないと受けられない討伐依頼。
せっかくノゾミとパーティーを組んだのだ。
その特権を今、ここで生かす。
そしてその内容は・・・・・・・・
『臨時依頼 ガーベア討伐30匹以上 資格はCランクパーティー以上 場所は、セプト村近郊の森』
と、言うもの。
ガーベアは、メチャデカイ熊。
セプト村は、王都から北東方向にある、マイヤル聖国との国境近くにある小さな村。・・・・らしい。
村の近郊で、ガーベアが大量発生して、すでに村人が数人喰われてしまっていることから、討伐依頼を出したのだとか。
王都から遠く、報酬も結構少ないので、受ける冒険者がまったく居なかったらしい。
だが俺は、転移魔法が使える。
食料調達などの経費もそれほど、金はかからない。
だからこれは、俺がしなければならない依頼なのだ。
メヴィアさんに言われたとおり、俺は逃げない。
逃げれば、それだけ多くの村民が死んでしまうのだから・・・・・・
最初は、これはダメだ、あなたが死んじゃう、他のにしなさいと、頑なに受領してくれなかった受付嬢さんだったが、俺の熱意に負けたのか、しぶしぶ受領手続きをしてくれた。
「いい? ダメだと思ったらすぐに、引き返しなさい。 違約金は取られちゃうけど、若くて強い、あなたみたいな冒険者は、ギルドでも貴重なんだから・・・・」
「はい。」
さっきから、何度もこのやり取りを続けている。
この世界で、俺が出会った人は、皆優しい。
俺は本当に幸せだと思う。 だから、それに応えたかった。
二週間もの間、何もしてこなかった分、少しでも取り返したかった。
だから受ける。
この、ガーベア三十匹討伐の依頼を・・・・・・・・・
ギルドを出て、城門に向かう間、ノゾミと少し、会話した。
俺のこんな自己満足だけの依頼に、彼女は昨日、ついてきてくれるといった。
だが、俺のために無理をしてくれているんじゃないかとも思った。
そしたら・・・・・
「カイト! 私、前にも言ったはずだよ!? 私は、カイトについていく。 絶対ぜったいに、離れないって!! だから、カイトは自分がやりたいように進んで。」
俺に怒ったような表情を見せ、そんな事を言ってくれた。
うれしかった・・・・・
そして、決意した。
絶対に彼女を、もう傷つけないと・・・・・
◇◇◇
さわさわと、森中から木の葉ずれの音だけが聞こえてくる。
その森からは、小鳥のさえずりはおろか、生き物の命の息吹すら聞こえない。
恐ろしいまでに、静かになってしまった森・・・・
ここは、アーバン法国のセプト村近くにある森。
例年であれば、多くの生き物がその森に下り、村では狩りなどで大忙しのころだ。
だが、今年はその獲物がいない・・・・
ある、生き物によって喰い尽くされ、あるいは森を追われてしまったためだ。
ガーベア。
それは図体はでかいものの、動きはそこまで速くは無く、単体ならば討伐ランクはEランクとなるほど、それほどまでに危険ではない動物であった。
毎年、村の近くで二~三匹は出没して、村の男衆総出で狩るのが常であった。
・・・・・・だが、今年は違った。
出没した個体は、少なくとも三十。
とても村の男で対処できる数ではなかった。
すでに、村には何人もの犠牲者が出ていた。
これ以上、被害を増やすわけにはいかなかった。
だから、村人全員でお金を出し合って、ギルドに依頼を出してもらった。
これで、高名な冒険者パーティーにでも討伐してもらえれば、村にすぐまた、平和が戻る。
村人みんながそう思っていた。
だが現実は、非情だった。
依頼を受領してくれる冒険者パーティーは一つとして、なかったのだ。
考えてみれば当たり前である。
一番近くの街からでも徒歩で二日はかかって。
討伐難易度が高くて。
村人全員で出し合ったとはいえ、討伐報酬はわずかで・・・・
こんな依頼を受けてくれる冒険者パーティーなんか、あるはずが無かった。
もう、絶望的だった・・・・・
とうとう村人全員が、一斉に村を離れる相談までし始める。
こんな土地で、長くは暮らせない。
そんな時、そのパーティーはやってきた。
赤目赤毛の、男女二人組みの冒険者のパーティーが・・・・・
ギルドカードの討伐記録は、動物、もしくは魔物だけが記録されます。
植物採集は、現物確認のみになるので、採集量とかでしか報酬が分からなかったんです。
だから、受付の人も驚いていたんです。
ついでになりますが、この世界のほとんどの人は転移魔法は使えません。
超高度な上に、莫大な魔力を消費するので。
使えるのは現在、魔王とカイト、それにあと一人、二人でしょうか・・・・?
カイトは、ホイホイ使っちゃっているので念のため・・・・・・・




