第42話・紅炎
拙い文章力で、申し訳ございません。
感想など、ございましたらどんどん寄越してください!!
野草採集依頼を受け続けて早、五日。
朝、王都の城門が開くと同時に外に出て、転移で近くの森へ行って野草を採集。
夕方近くになったら再び、城門の入り口まで転移して、番兵さんにギルドカードを見せてギルドで完了報告。
その後、明日の食料を買い込んで、宿へ帰って休む。
そんな生活がステータスになってきていた。
五日前、出発するときに転移で森に行くことを思いついたのだが、知ってる番兵さんに見つかってしまい、しこたま怒られてしまった。
だから、転移は城門の外でするようにしたのである。
転移は、一度行ったことのある場所へなら、どこへでも距離に関係なく、一瞬でそこへいける魔法だ。
普通の冒険者であれば、野草採集だけでも二日はかかる依頼だ。
王都から、近くの森までは、軽く八十キロはある。
でも、カイトは現場まで、転移で行っているので、距離なんか関係ない。
他の冒険者たちからは、うらやましそうな目で見られていた。
いくつかのパーティーに誘われることもあったが、パーティー活動というのは、行動が制限されてしまうものなので、すべて断った。
カイトは気分屋だったので、休みたいと思ったときには休みたかったのだ。
ようは、自由人だったのだ。
パーティー活動は、彼らにとっては、デメリットしかない。
ついでに、ノゾミの身バレ防止の意味もあった。
そんな勧誘も、昨日からパッタリと止む。
俺とノゾミの、パーティーがあると、知れ渡った為である。
パーティー名は『紅炎』
もちろん、そんなパーティー創設した覚えはないし、しようとも思っていなかった。
だが、俺たちがパーティー勧誘を断り続けたせいで、「すでに、あの二人の兄妹はパーティーを創設しているのだ」と、勘違いされてしまった。
二人の赤目、赤毛の見た目から、つけられたパーティー名が『紅炎』だった。
そしてここからは、笑い話だ。
いつも俺の応対をしてくれている受付譲さんが、この噂を真に受けてしまった。
まじめな彼女は、俺たちからパーティー創設の打診を受けたのに、自分がそれを忘れてしまっていたと、盛大に勘違いしたのだった。
かくして、依頼完了してギルドに帰ってきたところで、「パーティー創設の手続き、完了しました」と、ある日突然に言われてしまったのである。
パーティー解体もできなくは無かったが、これのおかげで、勧誘も減るというので、ノゾミとも相談した結果、そのままにすることにした。
・・・・パーティーの名前も変えたかったが、知名度があるとのことで、これもやはりそのままにした。
そして今日も、依頼完了の報告をして報酬を受け取ってギルドを出る。
「カイト、今日も大漁だったね。」
「んー。」
俺たちは野草採集をしているうちに、誰も来ないらしい、山奥に野草の群生地を見つけたのだ。
おかげで、ほとんど気兼ねせずに、稼がせてもらっていた。
これで、王都からの他の冒険者の稼ぎを、食い荒らすのを防ぐことが出来る。
誰の迷惑にもならず、思う存分稼がせてもらうことが、出来るわけだ。
今日この後にすることは、明日の昼食のサンドイッチを買って、宿に帰ることだけである。
いやはや、今日も稼がせてもらった。
狩猟、というのはやはり一般日本人の俺の性分に合わない。
これからも、これで生きて行こうと思う。
◇◇◇
「「え?」」
「「「は?」」」
ここは、いつもの『白剣亭』の食事スペース。
それとノゾミは、朝と夜の二回、ここで食事を取っていた。
ノゾミが雑食だった件で、このごろ毎日、ここで野菜以外も食わせていた。
最初こそ、露骨に嫌悪の表情を見せていたが、諭して食わせた。
ここに女将さんの尽力があったのは、忘れてはならないことだ。
おかげでノゾミの、体の肉付きがよくなった気がする。
・・・・と、それは置いておいて。
今、俺の目の前には、食事中のファデオさん達『風狼』の面々の姿があった。
宿に着いて、いつものように女将さんに『ただいま』の挨拶をしに行こうとしたら、テーブルに見知った後姿を見つけたので、声をかけたら、なんと本人だったのである。
「は? あんた、カイトよね?? 何で目と髪が赤いのよ!?」
そして開口一番、メヴィアさんにそんな疑問を呈されたのである。
ですよねーーーーーーーーーーー。
フシギにしか思いませんよねーーーーーーーー。
◇◇◇
「は~~ん、魔法で変えたのか。 便利だよなー、魔法ってやつは。」
ファデオさんが、腕組みして俺に向かってそんなことを言う。
「今更驚かないけど、あんた、本当に常識はずれよね?」
メヴィアさんが、水を飲みながら、そんな事を言ってきた。
むむ~~、失礼な!! 俺はそこそこの常識人だぞ!!?
「で、どうしてシェラリータに居た筈のあんたがここにいるのよ!?」
メヴィアさんのもっともな質問に、俺は少し考える。
話してよいものか、と・・・
だが隠しても仕方が無いので、これまでの経緯を三人に説明した。
魔石堀ったら? と、領主様に進言したこと。
王都に見てみたいものが出来たので、来たこと。
そして今、なぜかノゾミと二人でパーティーを組んで、野草採集をし続けていること
など・・・・・・・・・
「ちょっと待って! あんた、パーティーなんか作ったの!?」
メヴィアさんが、そこに食いついてきた。
これは、予想通りだ。
「ああ、はい。 手違いでなぜか出来てしまって・・・・」
本当のことを言っておく。
間違えて誕生してしまったのだ。
その経緯は本人である、俺たちでもまったく不明である。
「パーティーってのは、手違いで創設されるようなものじゃないんだがなー。」
ファデオさんが、まったく分からないと、首をひねる。
「ちなみに、パーティー名は、『紅炎』です。」
「「「・・・!!!・・・」」」
目を見開いてこちらを凝視する、『風狼』パーティーの面々。
なぜこの三人がここまで驚くのか、まったく不明である・・・・・・・
パーティーが爆誕してしまいました。
こんなつもりじゃ、無かったのに・・・・・




