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オタクはチートを望まない  作者: 福島 まゆ
第3章 王都
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第40話・放浪

つたない文章力で申し訳ございません。

誤字脱字や、感想などががざいましたらよろしくお願いいたします。

「到着して以来、ずっと来ていなかったので心配していたんですよ~。」


ギルドに着いた途端に、受付の人が窓口から、俺にそう声をかけてきた。

三日間、ずっと『心の病気』で寝込んでいたカイト。

言われてみれば、王都到着の報告に来て以来、ここのギルドを訪れるのは初めてだ。


「心配かけてすみません。 あの後少々、体調を崩してしまいまして・・・」


「はあ、そうだったんですか。 いえ、そうですよね・・・・」


ん? 

この人今、俺から視線はずさなかった??

まさかイリスさん同様・・・・

いや、詮索はよそう。

無駄に気持ちが、沈むだけだ。


「それで、今日は依頼の受注ですか?」


「いえ、今日は息抜きのために外の風にあたりに来ました。」


「そうだったんですか~。 あ、お連れの方とは仲直りしたようですね?」


ああ・・・見てたんだ。

結構な人が見ていたし、そんなに不思議ではない。

だいぶ沢山の人に醜態しゅうたいをさらしてしまった。

でも、そのおかげか変な連中に、ノゾミのことで絡まれるということが無かったので、悪かったとは一言では言えない。

でもあの一件は、ちょっと恥ずかしいので、あまり話したくない。

まあ、これは時間が解決してくれることだろう。

ノゾミとのきずなも深められたことだし、よしとする。


すると、ニコニコ顔だった受付譲さんが、ある一点を見つめ、ボーっとしだした。

なにか、ものすごいものを見つけたような顔だ。


「か・・・カイトさん? そちらの方は・・・・」

受付譲さんが、俺の後方に向かって、恐る恐るといった感じで手を伸ばす。

後ろにいるのは、イリスさんだ。

・・・なるほど。

俺となんかが、修道服着た教会の人がいたら、そりゃ変に思うだろう。

現に、俺も客観的に見たら、変に思うし・・・・・・


「あらためまして、マイヤル聖国から来ました、イリス・ムアイと申します。 かの国では聖女などをやらせて頂いております。 以後お見知りおきを。」


俺にやったときみたいに、きれいなお辞儀をして、自己紹介をしたイリスさん。

するとザワッと周りが騒がしくなった。

ん?

何かあったのか??

目の前の受付の人に視線を戻すと、顔が青くなっている。

途端、あわてているような声を発した。


「せ・・・・・・せせ、聖女様!!???? ななななな・・・なぜカイトさんと一緒に・・・・・」


というか、ものすごく取り乱している。

周りの人たちも同様だ。

というか、平伏へいふくしてお祈りをささげている風な人までいる。


「えっと・・・・聖女様って?」


前の自己紹介のときにも、イリスさんが聖女様、ということは聞いていた。

でもそれが、何を意味しているのかがさっぱり分からない。

知らない事は、知っている人に聞くに限る。


「ええ!?カイトさんは聖女様を知らないんですか!? 聖女様という方はですね・・・・」

そこまで受付譲さんが、言葉を発したところで、イリスさんに言葉の続きを制止させられる。


俺に聞かれちゃ、まずいのだろうか?

ノゾミも、人間の勢力のことは知らないのか、キョトンとしている。


「えっと・・・・・・」

ますますわからない俺は、イリスさんに聞こうとした。

すると、何時かの優しげな笑顔を、こちらへ向けてくるイリスさん。


「いいんですよ。 カイトさんは今のままでいてください。」


「・・・・・・・。」


周りの刺すような視線が怖い。

やっぱりこれは、いろいろな意味での地雷なのではなかろうか?

しかしここで、イリスさんとの関係悪化はもったいないので、流すことにした。


◇◇◇


「ふう・・・・・」


ちっとも息抜きにならなかった。

むしろ、『イリスさん』という爆弾を抱えてしまった気がする。

街歩く人々も、イリスさんと俺たちを見て、不思議そうな表情を浮かべていた。

よっぽどに、アンバランスらしい。


「イリスさんって、今日は教会のほうはいいんですか?」


「大聖堂のほうですか? 私のほうならば何も問題はありません。あの場所での仕事はもともと、私にはありませんから・・・・・」


んん? とすると、本当に聖女様って毎日何しているんだ?

あのデカい教会の一室で、ニート生活を謳歌おうかする、イリスさんの姿を想像してみる。

ここでのポイントは、髪をかき乱し、服をはだけさせ、寝相悪く布団で、ゴロゴロさせる事。

超絶だるそうな顔をさせるのを、忘れてはならない。



・・・・・うん、想像できない。

きっと、俺にはあずかり知らない、すごい仕事をしているんだよ。

さっき、自己紹介でも『マイヤーセー国の聖女』とか言っていたし、そこで働いているのだろう。

今は、ちょっとした布教活動とかをしに、この国へやってきているのだろう。

そうだ。  間違いない!

俺にかまってくれる理由は分からずじまいだが・・・・・・・・


俺たちの放浪は、始まったばかりだ。






◇◇◇



「国王陛下、申し訳ございません! シェラリータへ送った密偵の報告によりますと、『天の光』を発動させた人物は特定できず。 また、現場を見ていた人物もいなかったとのことでございます。」


宰相さいしょうからの報告に、眉間にしわを寄せる国王。


「そうか・・・・見つからなかったか。残念だ・・・・・・」


残念そうに、床へと視線を落とす国王。

しかし!と、宰相さいしょうは報告を続けた。


「その時間、城門から外へ出た人物がいたようです。『天の光』の後、示し合わせるように街へと、戻ってきているようです。」


「ほう、してその人物の証言は取れていないのか!?」

身を乗り出す国王。

しかし、宰相さいしょうは首を横に振った。


「残念ながら、すでに街を離れた後だったようです。特徴は、黒目黒髪。その者は、馬車で東へ向かったとか・・・・・」


「東、か・・・・・」

方角的に、東とは王都も入ることになる。

だが、二つの国との国境もある。


宰相さいしょう、国境線に黒目黒髪のものが現れたら、通さずにとどめおくようにさせろ! その上で、国の東側に、密偵を放つのだ!! もちろん、この王都にもだ。」


「はは!!」


宰相さいしょうは、そのまま部屋を退出していった。

後には、思案に暮れる国王の姿だけがあった・・・・・


聖女様とは、いったい何者なのか?

これは近々、話の中でご説明したいと思います。

・・・・って、そういえば閑話(19・5話「それぞれの思惑」)で書いていましたね。

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