第38話・王都観光その3
拙い文章力で申し訳ありません。
感想や、誤字、脱字などがありましたら、どんどん寄せてください~
ノゾミの、ご飯に関する衝撃カミングアウトから気を取り直して食後。
俺たちはとりあえず、今日の宿を決めてからまた、王都をブラつくことにした。
泊まる宿の候補は三つ。
『安い。宿泊するだけならここが一番。 蒼狼亭』
『料理がうまいならここが一番。 黒い森亭』
『お風呂がある宿。飯はそこそこ。 白剣亭』
「ノゾミは何か希望とか、ある?」
「カイトがいるならどこでも良いよ。」
「・・・・・・。」
恥ずかしいから、止めてくれ。
そんなこと真顔で言われたら、恥ずかしさで身悶えてしまう。
ってなことは置いといて・・・。
「いや、そうかもしれないけどさ、なんかこうしたい!っていうような希望とかはないの?」
俺の言葉に、う~んと、考え込むノゾミ。
するとあっと、何かを思いついた様子。
彼女の希望は、一体何なのだろうか??
素直に気になる。
「ご飯が野菜だけのお宿ってある?」
あるか!!!! んな宿、誰も泊まらんわ!!
なんつーこと言うんだ、この女は。
そんな宿たとえあっても、俺は泊まりたくない。
ノゾミもそれは分かっていたのか、「ふう・・・・」と残念そうにため息をつく。
これでノゾミの、変なわがままは回避された。
「じゃあ、カイトが決めた宿で良いよ。 私、それなら文句言わない。」
そうか。 それなら俺は元、日本人だ。
そんなわけで・・・・・・・・・・
◇◇◇
「空き部屋ってありますか? 二人なんですけど・・・・」
「あ~~~、ごめんなさいね~。 二部屋って言うのはちょっと・・・・」
ん、二部屋??
なんか、勘違いされたようだ。
俺とノゾミで一部屋を使うつもりだから、二部屋なんて要らない。
「あー、違います。 二人で一部屋をつかいます。」
「そうかい? それなら大丈夫だ。 二人一部屋で良いんだね?」
「はい、そうです。」
よかった。
宿は取れそうだ。
ここは風呂があると言う、白剣亭。
泊まるのならここがよかった。
それでもノゾミに、何らかの希望があればそれを優先させたが・・・・
シェラリータではせっかく二部屋借りたのに、結局ノゾミは俺の部屋に来てしまい、それ以降、俺と一緒のベットで寝ていたので、借りるのは一部屋で良い。
ノゾミは、キョロキョロと、宿の中を見て廻っている。
もちろん、俺の視野の範囲内で。
よしよし、ちゃんと分かっていらっしゃる。
「あの子はあんたの、コレかい?」
そう言って、俺に右手の薬指を上げたのを見せてくる宿屋の受付のおばさん。
コレは、この世界で言う、『嫁もしくは、恋人』の隠語である。
「ち・・・違いますよ!! 彼女は俺の妹です!!」
前、領主様相手についた、あの話をおばさんにした。
領主様相手に通じたんだから、宿のおばさんくらい大丈夫だろう。(と思う)
「おや、そうなのかい? かわいい妹さんだねー。この国じゃ、義妹でも結婚が認められてるから、
唾つけとくなら今のうちだよ~~。」
にっこりとした笑顔で、俺にそんなことを教えてくるおばさん。
うん、いいや。
俺とノゾミ、似てないし。
そもそも種族すら違うし。
「料金は、一日一人、銀貨一枚だけど、二人で一ヶ月泊まるなら、銀貨四十枚にまけるけど、どうする?」
それは安い。 いや,シェラリータと比べりゃ,桁違いだけど・・・
「お願いします。今一括で払います。」
どうせ、王都には長く滞在するつもりだ。
それで良いだろう。
「あいよ。 羽振りが良いねー。 ちなみにこの料金には、食事代と風呂代が込みだよ。」
なぬ!? それはいかん!! なるべく毎日帰らないと、もったいないではないか!!
なるべく、即日終了の依頼を受けて、宿には毎日帰ってくることにしよう。
「部屋は二階の、青色の扉の部屋ね。 風呂はいつでも入れるようにしてあるわ。 他に質問はあるかい?」
「はい、これから彼女と出かけるんですけど、夕食はいつからですか?」
「夕食なら、日没から出してるよ。 それ以降ならいつでも大歓迎さ。 なるべく、夜遅くならないと良いね~~。」
「分かりました。 その辺りには戻ってきます。」
そうして踵を返して、宿を出ようとすると。
「ああ、急がなくて良いよ? いやいや、若いって良いね~~。」
なんか、盛大に勘違いをされてしまっているっぽいが、誤解を解くのが面倒そうなので、そのままにすることにした。
「ノゾミ、行くぞ!」
「は~い」
まだ太陽は、傾いたばかり。
これからもっと遊ぶぞ~~!!
◇◇◇
「おおう・・・・・」
俺は、露店の荷台の上にあるものに感動していた。
これだ!
これのために俺はここまで来たのだ!!
「兄ちゃん、随分子供用のおもちゃに興味津々(きょうみしんしん)だねー。 弟さんへのお土産かい?」
そうではない。
俺に弟なんかいないのだから。
俺の目の前にあるのは、木でできたSLと、それに引かれる貨車のような、おもちゃ。
(すくなくとも、カイトにはそう、見えた。)
やっとこの世界で、鉄道を見つけた。
よしよし。
これならたぶん、この都市にもどこかに・・・・
そう考えると、自然と笑みがこぼれてきた。
「おい、兄ちゃん大丈夫か?」
大丈夫な訳が無い。
この世界に来て早三ヶ月。
やっと念願の鉄道を見つけたのだ。
「ふ・・・・フハハハハーーーーーーー!!!」
「「!?」」
その、カイトの変貌ぶりに、この露店の店主とノゾミは、たじたじとなってしまっていた。
周りの、買い物をしていた住民や、露店経営者なども、何事かと視線を向け始めていた。
・・・この、子供のおもちゃ片手に奇声を上げる変人を。
「やったぜ、ベイベーーーーーーーーーーー!!!」
そんな周りの様子なんかに、テンションMAXでパーサク状態に陥っているカイトは、幸か不幸か、まったく気が付いて無かったのであった・・・・・・
カイト、やっと鉄道の片鱗、発見の回でした。
ええ、彼もわかっていますよ?
ただの偶然で、鉄道なんか無いって事くらい・・・・
いわゆる禁断症状です。
生暖かい目で見守ってやってください・・・・・・




