第37話・王都観光その2
拙い文章力で、申し訳ございません。
感想など、ございましたらぜひお願いします!!
「ありがとう、ございましたー。」
笑顔で俺とノゾミを送り出す、アクセサリーショップの店員さん。
「本当に、それでよかったのか?」
「どうして?」
質問の意味が分からないといった風に、俺に質問を投げ返すノゾミ。
本人が良いなら、いいか。
これ以上の言及はやめにすることにした。
彼女の胸には、今買ったばかりのものが、キラリと光る。
彼女が買ったアクセサリーは、黒い葉っぱのブローチ。
葉っぱは本当に真っ黒で、なんか紫色の実っぽい毒々しいものまでついている。
一体これの製作者は、何を狙って作ったのだろうか?
案の定、あのアクセサリーショップでも売れ残りだったらしく、大変安く売ってくれた。
値段は小銀貨三枚。
懐のお金はほとんど減らなかった。
お金が減らなくて安心したが、逆にそんなのでよかったのかと思ってしまう。
・・・・まあ、本人も満足しているし、いいのだろう。
さしあたって次は、どこに行くか・・・・・
俺が思案していると、ノゾミが声を上げた。
「ねえカイト!! あれにはなんて書いてあるの!?」
彼女は字が読めない。
何か気になる看板でも見つけたのだろうか。
そう思ってノゾミが指差す方向に、視線を向けると・・・・・
『レスターサーカス団,巡業中!! 今回は王都!』
と書いてあるのぼりが。
へえ、こんな世界にもサーカスなんてあるのか。
これはびっくりだ。
「ねえぇ! なんて書いてあるの!?」
目をキラキラさせて、俺に回答をせがむノゾミ。
何かの雰囲気で、これは楽しいことだ、と理解しているようだ。
「サーカスって言ってな、人間が空を飛んだり炎を操ったりするやつさ。」
これは、地球での知識だ。
地球のサーカスを、ノゾミでも分かるように脳内変換した。
でも異世界だって、そう大きくは変わらないと思う。
『サーカス』って言うぐらいだし。
「ヘエェェ・・・・・・。」
あ、ノゾミの目の色が変わった。
これはすごく行きたそうだ。
入場料も二人で小銀貨二枚とリーズナブルだ。
時間もあることだし、俺も素直に興味があるから行ってみよう。
さて、異世界のサーカスとはいかなるものなのか・・・・・
◇◇◇
・・・・前提を、間違えていた。
ここは、剣と魔法がフツーの世界。
だから、サーカスでも剣や魔法を使う。
それはいい。
だが、パフォーマンスでの使い方は、常軌を逸していた。
魔法で、剣で、腕や足などを模擬戦闘で切り落とす。
最初は事故かと思った。
でも、観客は別に驚いている風には見えるものの、あまり動じてはいない。
そして、治癒魔法などで落とした腕や足を生やす。
そう、同じく小汚い感じの魔術師っぽい人に、腕や手を生やしてもらっていた。
どこにいるかは知らないが、獣人は魔力が一般的に強いらしい。
彼は、先祖がえりで、魔力が強いのだとか。
だからこんなすごい治癒魔法をやってのける・・・・らしい。
デカイ火柱をあげて、氷でできた槍を撃って、舞台上でドカンドカンやっている。
サーカスというより、闘技場を観戦しているのに近い感覚だった。
めちゃ、スプラッタであった。
さっきまでの浮ついた気持ちは、どこかへ吹き飛んでしまった。
意外だったのは、ノゾミが平気そうな顔をしていたことである。
本人曰く、「殺気がしないから、平気だった」らしい・・・・・
・・・・・・・そ、そうなんだ・・・・・・・・・・。
こうしてサーカスが終わるころには、俺は憔悴しきっていた。
なんか、どこかで休みたい・・・・・・・・
そうして俺は、王都にいくつか存在する広場にある、噴水の近くのベンチで休憩していた。
サーカス見物ってあんなに疲れるとは思わなかった。
今、俺の体は汗でびっしょりだ。
魔法でどうにかすることもできるが、心境的に集中できないので、発動は難しい。
なんかね、
こう・・・・昨日の一件の古傷がすごく傷んだ気がする。
「ごめんね、カイト。 私が見たいって言っちゃったばっかりに・・・・・」
ベンチに座る俺の汗を、向かいで立って拭ってくれるノゾミ。
別に彼女が気にするようなことではない。
彼女が行きたいって言わなかったらきっと、俺が行こうって言っていたから。
気にするなと、彼女に伝える俺。
俺を気遣ってくれるノゾミ。
二人でそんなことをしているうちに、陽がてっぺん辺りに来ていた。
もう昼か。
ノゾミもお腹が空いた、と言うのでここで昼食をとることにした。
それで・・・・・・・・
サンドイッチとか、ハンバーガーみたいなのが売っている、テイクアウト専門店で昼食を買って、ベンチで食べることにした俺たち。
これは主に、冒険者向けの食料らしい。
これから依頼を受けたときには、ここで買ってから行こう。
うん、実にうまい。
うまいのだが・・・・・・
「ノゾミ、お前、野菜以外も食えたのか?」
ノゾミが、俺と一緒になってはじめて、野菜以外の肉とかパンを食っている。
これまで、野菜しか食っている姿を見たことがなかった俺としては、十分な驚きである。
「え? そっか。カイトは知らないんだ。 トビウサギはね、雑食性の生き物なんだよ?」
「は!? だってお前、これまで野菜しか・・・・・」
「野菜が大好きなの私。 それ以外はなんか食感って言うか・・・・・あ、でもこれは美味しいよ?」
そう言って俺に、食べかけの肉挟みパンを見せびらかしてくるノゾミ。
・・・野菜しか食わなかったのって、ただの好き嫌いかよ・・・・!!
今まで、冒険中とかにノゾミの食料は、鑑定を使って現地調達していた。
結構手間だし、見つけ出すのも大変だけど、ノゾミはこれしか食えないんだから・・と、頑張っていた。
それがこの、衝撃カミングアウト。
今までの苦労を考えたら・・・・・・
ヤバイ。
さっきより疲れが出てきた。
そんな俺の気持ちは露知らず、ノゾミはパクパクと美味しそうに、サンドイッチ(もどき)を頬張っていくのだった。
その3に続きます。
ちなみに、サーカスの団員たちは、皆奴隷のようです。
治癒魔法使いの方も、忌み子として、売られてきたようです。




